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130 下見と同意

本日二度目の更新です

新章開始します!


 今日は拠点となる物件を探しに行く。

 昨日の狩りでもそこそこ稼いだから、今の所持金は三人合わせたら1Mcを越える。

 Mというのはメガのことで、所持金が数千万なんてザラなゲームの世界では百万のことを略してこう呼んだりする。


 とは言っても、今日すぐに買うのが決まってる訳じゃない。

 下見だ。

 もしかしたら今の手持ちで買える物件もあるかもしれないが、どうせなら気に入った場所にしたい。


 良い物件を見つけて、それが買えなさそうなら予約なり分割払いの交渉をすればいい。

 時間さえもらえるなら稼げる筈だ。

 MVPボスを狩って素材を売りはらってやる。


 朝食を食べてミルキーと合流した。

 拠点を買えば待ち合わせもしなくて良くなるのかな。

 しかしこうして待ち合わせするのもなんとなく良いものがある。難しいところだ。


「じゃあ行こうか」

「おー!」

「はい」

「……あれ? パシオンさん?」

「うむ、おはよう」

「ぱしおうじだー! おはよ!」


 挨拶を済ませて出発しようとしたところで、見知った顔が現れた。ぱしおう……パシオンだ。

 時間は朝10時。

 早朝ではないがこんな時間に何故こんなところに。


「どうしたんですか?」

「ナガマサよ、昨日拠点を探そうと思っていると言っていたな」

「言いましたね。丁度これからどんなのがあるか見に行こうかと思いまして」

「ふっふっふ、どうやら間に合ったようだな。行くぞナガマサ!」

「えっ、ちょっと、どこへ!?」


 パシオンが俺の腕を掴んでずるずると引きずって行く。

 俺のStrは14万を越えているのに、全く抵抗が出来ないのはシエルと一緒。

 やっぱりイベント時の強制移動には逆らえないらしい。


 そういえばタマもこの時は邪魔をしないし、文字通り強制みたいだ。

 ミルキーも苦笑いしながら付いてきてくれている。

 一体どこへ連れて行かれるんだ。


「ここなんかどうだ。城からも近く、広さも申し分ない。二階建てで部屋数は二十もあるぞ」

「ちょっと広すぎますね」

「よし次へ行くぞ!」

「うええ」


 連れてこられたのは空き物件だった。

 しかも少し見たら別の場所へ。

 気に入ったかどうか聞かれても、そんなにしっかりと希望の場所の条件を考えていた訳じゃないから困る。

 というかどれも広い。貴族用の物件なんじゃないのか?


 結局、六件程周ったけどどれもピンと来なかった。

 タマやミルキーは楽しそうだったけど、実際の拠点にするとなるとこれだというのはまだ無かったらしい。

 広さとか美しさとか豪華さだけ説明されてもなぁ。

 機能的な部分はよく知らないらしいし。


「ぐぬぅ、一体何が気に入らないというのだ」

「なんというか雰囲気がですね……というか、一体どうしたんですか?」

「なに、貴様が拠点を探しているというから紹介してやろうと思ってな。城の近くであれば依頼もしやすく、父上がナガマサとミゼルを結婚させようなどとトチ狂いでもした時に、防ぎやすいからな」

「はぁ」


 パシオンは相変わらずの謎理論で動いていた。

 頼ってくれるのは嬉しいんだけどな。


 王様にはとりあえず本人の意思を無視しないように言っておいてくれ。

 ミゼル本人がアピールするのは良いとして、王様に押し売りされて怒ってたからな。

 また嫌われるぞ。


「ううむ、またいくつか候補を探しておくからしっかりと条件をまとめておくが良い。ではな」

「はい、ありがとうございました。ではまた」


 なんだかんだ言いつつも、護衛も連れずにやって来るパシオンは悪い奴ではない。

 友達だと思ってくれてるのは称号が保障してくれてるし。


 護衛に出汁巻玉子でも連れて来れば良いのにと思ったが、出汁巻はミゼルの護衛を任されているそうだ。

 この間の魔王襲撃の一件でミゼルが危ない目に遭ったからな。心配してるんだろう。


 パシオンが去って、どうしようかと思ったらまたしても見知った顔が現れた。

 ミゼル、そして出汁巻玉子だ。

 よし、ちゃんと服は着てるな。


「こんちはっす」

「ナガマサ様、タマちゃん、ミルキー様、ごきげんよう」

「ミゼル様まで……。何か御用ですか?」

「ナガマサ様が拠点を探していると窺ったものですから。宜しければ、おすすめの物件をご紹介したいと思いまして。良い場所を出汁巻玉子が見つけてくださったのですよ」

「頑張ったっす」


 兄妹だからなのか、昨日の雑談を聞いてミゼルも俺達の為の拠点候補を探してくれていたらしい。

 そうか、それで出汁巻は昨日夕食の途中で出かけて行ったんだな。

 よく見ると少し眠そうだ。

 もしかして徹夜で探してたなんてないよね……。もしそうだったら申し訳ない。


「そうなんですか。気を遣ってもらってありがとうございます」

「そういう訳なんで今から大丈夫っすか?」

「せっかくなのでお願いします。ミルキーも大丈夫?」

「今日は元々物件を見る予定でしたからね。お言葉に甘えちゃいましょう」

「ミゼルー!」

「あらあら」


 パシオンが紹介してくれた物件を見てる間も楽しそうだったし、ミルキーはミゼルのおすすめとやらを見に行くのにやる気を見せている。


 タマも、ミゼルに抱き着いてるから会えて嬉しいんだろう。

 見た目は少しタマの方が幼いくらいなのに、態度とか雰囲気が全然違う。精神年齢は多分15歳くらい離れてるな。


「それでは馬車を待たせてるんで、それで行きましょう」



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