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107 狩りの約束

本日四回目の更新です


「モグラさん、明日は空いてますか?」

「明日かー。明日はちょっと狩りに行く約束があるね。どうしたの?」

「昨日話してた一緒に狩りに行くってやつ、明日どうかなと思いまして」

「ああ、オレも話しようと思ってたんだよ。さっきの装備の素材も、宝石とかと同じダンジョン?」

「そうですね」

「じゃあさ、明後日はどう? 俺もゴロウちゃんも空いてるから」


 昨日ゴロウに装備の作成を依頼しに行った時にモグラもいた。

 二人とも素材として出した宝石に喰いついたから、一緒に狩りに行こうと約束をしていた。

 それを明日にしようと思ったが、埋まっていたようだ。

 でも明後日なら空いてるらしいし、そうするか。


「じゃあ明後日行きましょう。ゴロウさんも空いてるって分かるんですか?」

「二人で狩りに行く予定だったからね。宝石はゴロウちゃんも欲しがってたし、予定変えても問題ないと思うよ。メッセージも送っとく」


 そういうことか。じゃあゴロウの方も問題なさそうだな。

 というか別に狩りに行かなくても素材なら売るんだけど。


「宝石とか素材とか、売ってもいいですよ」

「ああ、無理無理。高級素材過ぎてとても買えたもんじゃないって。そこの筋肉が買えるのはうまいこと商売してるからであって、普通そんなにポンポン買えないからね」

「ふっふっふ」


 モグラもゴロウもお金が足りないようだ。

 確かに≪古代異界烏賊≫の素材なんかも結構高く買い取ってもらっていた。


 その値段から値引するのはマッスル☆タケダに悪いし、中々手が出せないだろう。

 モグラに名前を挙げられたタケダは不敵に笑っている。


「まぁ俺もナガマサさんのおかげで稼いでるだけだけどな。持ち込んでくる素材が見たことないもんばっかりで、楽しくってたまんねぇぜ」


 とのことだった。

 今の俺達はかなり強いモンスターと戦ってるし、MVPボスの素材はほとんど流れてなくて貴重みたいだからな。

 プレイヤーだけでなく、NPCにも高く売れる上に装備に加工すれば更に高くなる。

 今露店に並んでいるのは普通の武器防具だが、高い方の特別価格で受注生産もしているらしい。


「それじゃあ明後日よろしくね」

「はい、こちらこそ」

「あの、すみません、それは私もお邪魔しても良いんでしょうか?」

「タマもタマも!」


 モグラと改めて約束をしていると、ミルキーが遠慮がちに聞いてきた。

 タマも便乗してきた。手を挙げて飛び跳ねている。

 

「勿論そのつもりだよ。俺だけだと何か起きた時に困るし。タマはそもそもずっと一緒だろ」

「俺とゴロウちゃんも全然気にしないよ。むしろお邪魔してるのは俺達の方だし?」

「ありがとうございます」

「わーい!」


 ミルキーを置いていくつもりは特になかった。

 俺達にとってはただの収穫でも、モグラやゴロウにとって危険な狩場なのは間違いない。

 俺とタマだけだと対処しきれないことがあるかもしれないし。


 ミルキー本人が別行動したいということであれば構わないが、一緒に行きたいと言うなら拒む理由は全くない。

 タマはただ会話に混ざりたいだけだな。

 俺の相棒パートナーなんだから一緒に来るのが通常の状態だ。

 

 タケダも誘ってみたが、生産しているのが性に合っているということで断られた。

 楽しみ方は人それぞれだからな。

 いい素材を投げて、いい装備を作って貰おう。


 そして今日はこれで解散した。

 ゴロウのところへ行く予定があるからどうするか聞いたが、ミルキーは疲れてしまったから寝たいと言われ、宿へ送り届けた。


 何故か申し訳なさそうにされたが、休むのは大事だ。

 俺も用事が済めばすぐに寝るし。


 というわけで、モグラと二人でゴロウの露店へとやってきた。

 ゴロウは以前は商売がメインのプレイヤーだったが、あまり商売は上手くなかったらしい。


 商売をフォローしていたモグラの負担を減らす為に俺とタマ、モグラの引率でストーレの森で狩りをして、結果として冒険者に転向した。

 職業とかは変わらずに、あくまで行動やステータスとスキルの振り方での話だ。


 だから今でも空いた時間はこうして、露店を開いてのんびりしているそうだ。


「こんばんは」

「やっほー! にゃーこさんもやっほー!」

「おっすおっす」

「ばんはー。やっほやっほ」

「にゃあ」


 胡坐をかいた脚の上に、毛玉のようなモサモサの猫が丸くなっている。

 タマの挨拶に返事をしているようにも見えるけどどうなんだろう。


「頼まれていたネックレス出来てますよ。はいどうぞ」

「ありがとうございます」


 ゴロウから≪太陽のネックレス≫を受け取った。

 黄色い宝石であるスファレライトが飾られた、シンプルなネックレスだ。

 魔法の威力に補正がかかるが、ただの誕生日プレゼントだし気にしなくても良いだろう。


「ゴロウちゃん、さっきメッセージ送ったけど見た?」

「おお、マジだ。にゃーこ撫でてて気付かなかったわ」

「そんなことだと思った。明後日狩りに行く予定だったじゃん? それを、ナガマサさん達と一緒にその宝石がドロップする場所にどうかなって話してて」

「行く行く! 超行く! お金無いから荒稼ぎしたい!」

「だってさ」


 ゴロウはマイペースだ。

 のんびりし過ぎててメッセージにも気付いていなかったらしい。

 そうかと思えばモグラの話の途中で同意したりと、この人からもパシオンと同じ気配を感じる。

 こう、オンとオフの切り替えが激しいというか。


 モグラの言っていた通り明後日で問題ないようだったので、確定となった。

 それまでに俺も準備をしておかないと。


「二人ともそんなにお金無いんですか」

「装備揃えるのに結構お金が必要で困ってたんだよねー。いやー、助かった」

「俺もそんな感じ。武器の強化が意外とお金がかかってさ」


 素のステータスが高いせいで、装備に無頓着だったから忘れてた。

 モンスターと戦うのに必須な装備品はどんどん切り替えていく必要もあるし、お金がかかるんだったな。

 武器なんかは狩場に合わせて何本も用意するらしいし。


 俺は今日依頼した上着が出来れば一通り揃うし、性能的にもしばらく更新の必要はないだろう。

 あとは拠点を買う為にしばらく貯金だな。

 


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