表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/407

98 おろし金の進化


 お昼は露店をいくつか周って購入した。

 NPCだけじゃなくプレイヤーの食べ物の露店も沢山あって、今回はそれを狙って行った。


 プレイヤーの出す露店は安定感のあるNPC製と違って、値段も味もピンキリだったりする。

 他の店と変わらない塩焼きもあれば、どうやって作ったのか、香ばしいソースをたっぷり塗ったようなものもある。


 俺はシンプルな兎肉の塩焼きと魚の塩焼き。

 ミルキーは固めのパンに野菜と肉を挟んだ、サンドイッチのようなもの。

 タマは色々買って食べた。


 魚はあまり見かけないから美味しく感じた。

 プレイヤーがそこそこ離れた港町から運んできたらしい。 

 シエルからの依頼とある程度のレベル上げを済ませたら、港町に向かうのも良いかもしれない。


 腹ごしらえを済ませた俺達は街の北へと向かう。

 今日の目的地である≪輝きの大空洞≫はMAPで言うと、北へ4マス進んだところだ。

 目的がはっきりしてるし、城の訓練場からおろし金で飛んで行っても良いかもな。

 途中の山には用がないしそうするか。


 ミルキーやタマに相談したところ、特に反対されなかったらから飛んでいくことにした。

 タマなんかは大喜びで賛成していた。

 おろし金の背中がそんなに気に入ったのかな。


 いつものように城に入ったところでパシオンに出会った。


「ナガマサよ、どうしたのだ? 今日も北の山脈へ探索に行くのか?」

「どうも。そんな感じですね。それでお願いがあるんですけど」

「なんだ、言ってみろ」

「訓練場からおろし金で飛んだり、訓練場に下りてきたりしても良いですか?」

「そんなことか。貴様らなら大抵の願いが聞き入れられるだろうが、守護竜の姿が見られるとあらばむしろ願ってもないだろうよ」


 せっかくだから訓練場をおろし金の発着場にして良いか聞いてみたら、二つ返事でOKしてくれた。

 おろし金が守護竜扱いされてるおかげで全く問題ないらしい。

 むしろどんどん使って、騎士や王にその姿を見せてやってくれとまで言われてしまった。


 訓練場に移動しておろし金を召喚すると、周囲から歓声が上がる。

 おろし金は大人気だ。

 いつの間にか王様達まで駆けつけている。忙しくないんだろうか。


 そうだ、新しいコインがあったんだった。

 向こうで進化させて戻ってきた時に姿が大きく変わっていたら驚くだろうし、今皆の前で済ませておこうか。


「おろし金」

「キュルッ」


 ドラゴンモードのおろし金に声をかけて、一枚のコインを頭の辺り目掛けて軽く放る。

 おろし金は短く鳴いた後に俺の投げたコインを見事に口でキャッチした。

 コインの持ち主は≪神滅魔剣ドルメリオン≫。

 あの魔王と同格っぽいけど、どうなるかな。


 コインを食べたおろし金の姿に変化が現れる。

 角や突起が鋭くなって、一部の鱗や剣が黒くなっていく。

 羽から生えている剣も黒と銀で半々だ。


 途中から剣のようになっている尻尾も、二又の剣になった。

 光と闇が合わさり最強に見える、って感じだ。

 かっこいい。


 種族名は≪滅魔神剣金蛇めつまカナヘビエボリュート≫となっている。

 漢字が追加されてるのに読み方は変わらないらしい。


「おお、あの姿は伝説で恐れられている魔の剣の力!」

「流石守護竜様。≪魔の者≫の力ですら取り込んでしまうとは……」


 今までの白というか白銀の鎧に黒が混じっていて、ダークなかっこよさがプラスされている。

 みんな驚いてはいるが好意的だ。

 守護竜ってすごい。


「しゅっぱーつ!」

「キュルル!」


 俺達三人がおろし金の背に乗ったところで、タマの号令でおろし金が飛び上がる。

 明らかに飛べるような形じゃない翼で飛べるのはファンタジーではお馴染の光景だな。

 騎士達が手を振ってくれているので振りかえしておいた。


 おろし金の飛ぶ速度は中々のもので、城がどんどん遠くなっていく。

 俺達は地上を走ってもかなり早いけど、≪解放の左脚≫を連続で使うのは結構疲れる。

 景色がばんばん変わるからただの移動で使うのもなって感じ。

 おろし金に甘えよう。


「よーし」


 景色を眺めていると、突然タマが立ち上がった。

 風の影響はおろし金の加護か何かで受けないとはいえ、立ち上がっているのを見るとなんかハラハラする。


「どうしたタマ?」


 タマは俺の質問に答えなかった。


「ふふん、とうっ!」

「タマ!」

「タマちゃん!?」


 何故か得意げに笑ったかと思うとおろし金の背中から飛び降りた。

 そのまま落ちて行くかと思ったら、飛行機のように両腕を横に伸ばしたタマがおろし金の隣を飛んでいた。


「……あれ?」

「え?」


 そういえばスキルのところに≪浮遊≫と≪飛翔≫ってあったような気がするな。


「わーい!」

「ああびっくりした」

「驚きましたね」


 タマのスキルリストとか、もう随分開いてなかったから忘れてた。

 スキルやステータスももうタマの好きなようにさせてるし。

 パートナーをカスタムした覚えがほとんどないけど、楽しめてるからいいや。


「そういえばミルキーの相棒って鏡だったっけ? 育ってる?」

「ええっと、鏡が中々手に入らなくて全然レベルが上がってなかったんですけど、ナガマサさんのお陰で戦闘で少ししか入らなかった経験値が多くなってそれなりに育ってます。もう少しレベルが上がったら戦闘でも使えると思います」

「そっか、それなら良かった」


 相棒を育てる方法は、主にその相棒と同種のものを破壊するか吸収させるかのどちらかだ。

 戦闘でもほんの少しずつ経験値が分配されるが、それはあくまで補助的なもの。

 それが経験値が増えるスキルが共有化されたことで、戦闘でも結構な経験値が入っているようだ。


 落ち着いたらミルキーの為に鏡を探したり作ったりするのもいいかもしれない。

 現実世界では鏡ってどうやって作ってたんだろうか。

 昔のは金属の板を磨いてたんだっけ?

 とりあえずそれで作ってみて、鏡になったらミルキーの相棒に吸収してもらうか?


 これも、覚えてたらだな。

 既にいくつか忘れている気がするが、覚えていた順に消化していきたい。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作始めましたので、こちらもよろしくお願いします!
友人に騙されたお陰でラスボスを魅了しちゃいました!~友人に裏切られた後、ラスボス系褐色美少女のお嫁さんとして幸せな日々を過ごす私が【真のラスボス】と呼ばれるまで~
面白いと感じたら、以下のバナーをクリックして頂けるととても有難いです。 その一クリックが書籍化へと繋がります! ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ