いち
初めましても久し振りも何方でも、南條 樹です。
短編以外では、かなり久し振りとなる百合小説です!
あ、いや···18禁の方では書いてましたよ( ̄▽ ̄;)
なろう版の方で書くのは久し振りなだけ。
取り敢えずマイペースで更新します( ̄・ω・ ̄)
放課後の教室内は、何処の学校でも同じ様な光景が広がっている。一日中あった授業の疲れを引き摺りつつ部活へ行く者、さっさと帰って行く者、仲の良い友達と話をしている者と多種多様。
そんな私も帰る準備をしている所。
「千草、帰りに駅前のクレープ屋に寄って行かない?」
「いいね! 行こ! あれ真紀は?」
「担任に呼び出し食らってる」
「あぁ······課題忘れたとかのヤツ?」
「そうそう」
「じゃあ、駅前のクレープ屋行くのは私と和夏だけ?」
「そうなるね。何、私と二人っきりは嫌なの?」
「嫌なワケないじゃん、なら早く行こう」
下駄箱から自分の靴を取ろうとしたら、靴の上に封筒が数枚、内心「またか」と思いつつ鞄に仕舞う。最近は少なくなってきたとはいえ、ゼロになる事は無い。女子校所以なのか同性同士の恋愛は当たり前な感じ。私自身も女の子同士の恋愛に寛容だけれども、流石に毎日告白されるのは疲れる。
「千草、またラブレター貰ったの? 今日は何通?」
「今日は3通。 私以外に、綺麗な人や可愛い人だっていっぱい居るのに、何で私ばかりなんだ」
「そりゃ、千草はカッコイイもん。 誰とでも直ぐに仲良くなれるし、勉強や運動だって出来るから、女の子の憧れなんだよ」
「そんな事言われても······こっちは毎回、昼休み潰れるから大変なんだよ」
「それは······諦めるしか無いね」
「もう! 他人事だと思って!」
「ほら、さっさと行くよ。 早く行かないと時間無くなっちゃうよ」
和夏とじゃれ合いながら玄関を出ると、外では運動部の人達の掛け声が聞こえてくる。
私は西陽の眩しさに目を細めつつも、先を歩く和夏を追いかける。和夏に追い付いた所で隣を歩き出すと、何処かから告白している様な声が聞こえてきた。
声のする方を向くと、一人の生徒に対し、数人の生徒が一斉に告白をした模様だ。
『ごめんなさい』
一言。告白された側の生徒が、告白をした生徒達に向かって頭を下げつつ謝った。
告白をした側の生徒達は、涙を流しその場で崩れる者も居れば、『諦めないから』と言って去って行く者、放心状態に陥っている者と様々だ。
そんな様子を見た私は、さっさとその場を離れた。
後を追い掛けてきた和夏が、さっきの告白の事を話てきた。
「告白されてたのって、ウチのクラスの水上さんだよね?」
「そうみたいだね」
「彼女も人気あると噂聞いてたが、あそこまで人気とは。千草、機嫌悪そうだけど···ひょっとして、彼女より告白される人数少ないからって嫉妬してるの?」
「そんな事は無い」
「本当に? それにしては眉間に皺寄ってるよ」
「これは違う事でだよ」
「それなら良いけど」
私と水上さんは、見た目だけでも対象的だ。
私が男っぽい感じなら、水上さんは清楚なお嬢様な感じ。
成績や運動は同じだけれども、性格は正反対。
だからと言って、私と彼女の仲は悪いのかと言うと、それは無い。まぁ、私と彼女とでは一、緒に居る友達が違うと言うだけだ。そんな事を思いながら歩いていると、駅前のクレープ屋に着いた。
「和夏は、何にするの?」
「うーん、私はいつも通りのフルーツミックスかな。千草は?」
「私は新作のトリプルベリーだね」
「あぁ、千草ベリー系好きだもんね」
私達はそれぞれ好みのクレープを注文すると、出来るまでの間店の前に置かれている椅子に座って待っていた。
出来上がったクレープを受け取り食べ始める。やはりブルーベリーは美味しい。ラズベリーやクランベリーの酸味も丁度良い。
隣を見れば、和夏が今にも零れ落ちそうなメロンと格闘していた。微笑ましく思える光景を見つつ、残りのクレープも食べ終える。その後、和夏と他愛も無い話をして解散となった。