2 ジュリアンヌ様はご乱心
「……ッ……!!」
な、なに、これ…………?!
突如頭の中に『ジュリアンヌ』に関する膨大な情報が流れ込む。
どうすることも出来ない。
吐き気がする。
冷汗が止まらない。
「ジュリアンヌ様…?!」
私…は……………
*******************************
「………………ん…………」
「あぁジュリアンヌ……!」
「ジュリアンヌ!」
「……おとう…さま……おかあさま…」
……らしいです、はい。
まだ何とも言えない感じなんです。
どうやら私は『汐留由良』でありながら『ジュリアンヌ』様になってしまったらしい。
どうやらこれは_____夢ではない。
「まだ気分が優れないのなら治療師を呼ぶが……」
「……ご心配をおかけして申し訳ありません。少し怖い夢を見てしまっただけなのです」
「なら良いのだけど……」
「ジュリアンヌ顔色が優れない。今日はゆっくりしなさい」
「……はい。申し訳ありません。ケイトも……下がって頂いて結構です。何かあれば呼びますわ」
「畏まりました」
パタン_
「…………ふぅ」
我ながらうまく振る舞えたと思う。誰か褒めて欲しいくらいだ。
しかし、そんなことも言っていられない。絶賛大混乱中の頭の中を整理しなくては___
『ジュリアンヌ』は上流貴族であるルイス家の三女として産まれた。他に兄が二人いる。
ルイス家の主人である父ザックスは、王国の騎士団の魔法部隊団長。その保持魔力は国内一とされている。
対する母リリーは魔法学園を首席で卒業した才女。中流貴族でありながら父に見初められた人である。
二人の遺伝子を受け継いだジュリアンヌは外見こそ地味目だが(遺伝子オイ)、保持魔力は他の5歳児とは一線を画する。
そう。
ジュリアンヌは、5歳なのである。
ベットから降りて姿鏡に映る自分を見る。
……ちょ、遺伝子?
あの美男美女夫婦の子が、コレ…?
受け継いだのダークブラウンの髪色とエメラルドグリーンの瞳だけじゃねぇか両親の良いとこ詰め合わせパックは次女パターンかよォォォォ…!!
どうせなら絶世の美少女に転生したかったと思いつつ無理もないかと肩を落とす。
何故なら私はこの世界を、『ジュリアンヌ』を知っている。
恐らくこの世界は___『アース冒険記』なのだ
アース冒険記は私が愛読していた少年漫画で主に魔法やら剣やらの冒険もの。現時点で恋愛要素は少なめ。
主人公はライオット=エリオスで、伝説の剣に選ばれた王道の主人公。ヒロイン枠は3人で、ルイーズ、ティラ、マリィだ。
本編は幼少期後の魔法学園在学中の模様を描いていたから、その後のこと、つまり、16歳の成人以降は私にも解らない。
一応ジュリアンヌはエリオスの幼馴染みの設定だったが、モブ気質からなのか、いつからかヒロイン枠から離脱していた。現に学園編が始まりヒロイン達が登場してからは全く本編に登場しないのだが……




