プロローグ
※注意
この作品は、作者的には小説に分類していいのか微妙な作品です。でも、書きたかったので書きました。
それでも大丈夫な方は、どうぞこのままこの作品をお楽しみください。
「クレオ先輩こんばんわー、ビビです。…先輩?いないんですかー?」
今日は珍しい日だった。
いつも、仕事の時だけは超一流、何をやらせてもほぼ完璧な先輩が色々とミスをやらかしまくっていた。
業務連絡も上の空で聞き流す、依頼書を書いている時に勢い余って破く、喧嘩の仲裁時に加減を間違えて半殺しにする、ギルド長にお茶をぶっかける、などなど。今日は本気でおかしかった。
体調不良には見えなかったがちょっと心配になった私は、先輩の忘れ物を見つけたのをいいことに、こうして家に様子を見に来たのだ。
しかし、肝心の先輩は、どうやら留守のようである。
「…って、鍵空いてる。不用心だなー。お邪魔しまーす。」
若い女性の1人暮らし。もう少し、防犯の面も気にしてほしいものだ。
しょうがないので、中で待たせてもらうことにしよう。
部屋は特に散らかっている様子はない。今日の様子を見ていると、壁に穴が開いているんじゃないかと心配になったが、どうやら杞憂のようである。
「ん?これは…?」
そこで、私は1つだけいつもと違う物を見つけた。
年季の入った大きい木箱が1つ、机の上に置かれていた。
「こんなの、前に来た時はなかったよね…。何が入ってるんだろう?」
先輩とは、使われず新品同様の勝負下着をお互いに見せ合った仲だ。今更、箱の中を勝手に見たぐらいで怒ることは無いだろう。
…アレは、凄まじい虚無感を覚えたものだ。
「………やめよう。さて、中身は何かなー。」
≪クレオの日記~勝手に見たらお仕置き≫
「………えいっ!」
私は、たくさんあった先輩の日記帳を迷うことなく手に取って開く。
こんなの、見てくださいと言っているようなものではないか。だからこれは、先輩が悪いのだ。
それにしても、可愛い字だ。どうやら、私が手に取ったのは一番古い日記。すなわち、一冊目の日記帳らしい。
私は、痛いぐらいに高鳴る鼓動を必死に抑えながら、ゆっくりとページをめくった。