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姫と始まりの町

漸くかけました。

【戦闘が終了しました】

【経験値4500獲得】

【レベルが5レベルに上がりました】

【3万2千ゴルドを手に入れた】


戦闘終了とレベルアップを告げる無機質な声がハッキリと響く。

念のために他の仲間が居ないか確認するが仲間所か人っ子一人いなかった。

刀を納刀し、『ふぅ』と一つ息を吐き昂ぶった感情を落ち着かせる。

初の戦闘はあっけなく終わったもののこの先の事を考えると少し不安になる。


「手間が省けましたね」


シウがそんな事を言いながらこっちへと近づいてくる。

シウの言う通り手間は省けたのだけれど・・・。


「この後の事を考えると面倒になってくる。もう帰えりたいよ」

「そんな事を言わないでくださいよ。それに、そんな格好をしなければいけない状況に置かれた時点で誰かに襲われる運命ですよ」

「改めて言われると地味に凹むからやめて。と言うか、僕がこんな格好をしないといけないって事知ってるんだ」


教えていなかったし、あの現場に立ち会っていた訳でもないから知っている事が少し不思議だった。


「レイさんが気絶している時にドロシーさんが教えてくれました」

「あぁ、あの時か。因みに聞くけど、ドロシーに変なことを吹き込まれてないよな」

「へ、変なことにゃんて言われててて無いでしゅよ」


顔を赤らめてオーバーリアクションを取りカミカミで必死に否定をしているシウの態度に僕は一抹の不安を感じる。


「なぁシウよ。一体何を吹き込まれた」

「えっ、えーと。いいじゃないですか。そんな事より今は今後の事を話しましょう」


僕がジト目でシウを見つめると、彼女はツツツと視線を横に泳がせ話題を無理やり変えてくる。


「まぁいいや。ドロシーに何を吹き込まれたかまた今度聞く事にしよう」


僕の言葉にホッとした表情を浮かべるドロシー。


「今後の予定だが今回の一件で目を付けられたと前提で行動する。と言うことで手始めにドラグンについて調べようと思う」


実際のところ目を付けられたかどうか五分五分だろうと考えている。

奴等が虎の威を借りるために名前を出しただけと言う可能性も有る訳だし。

まぁ、それもドラグンという奴を調べていけば自ずと解ってくるだろう。


「それがいいと思います」

「その方針で進めていくからアドバイスがあったら頼む。あと、この世界に法律って有るのか」

「有りますよ。といってもドロシーさん(いわ)くこの世界の法律ってレイさんの世界の法律を元に作り出されたらしいので、もしかしたらレイさんの方が詳しいかもしれませんけど」

「そうなのか。じゃあ今回の一件はどうなるんだ。3人ほど()ったけど」

「確かに街の中でしたら犯罪になる可能性が有りますが、ここがフィールドなので問題ないです」

「もしかして、フィールドは管轄外になるのか」

「その通りです。フィールドはどの都市にも所属していないという事になってますから、裁く法律がないのです」

「なるほどね」


つまりはフィールドで襲われる可能性が非常に高くなる訳だ。


「他に聞きたいことはありませんか」

「いや今は無いかな」

「では、街へと案内しますね」

「あぁ、出来れば遠回りでいいから奇襲されづらい見晴らしがコースで行って欲しい」

「大丈夫ですよ。今歩いているコースが一番見晴らしがいいコースになりますから」


シウと僕は周囲に注意しながら街へと向かった。

もっとのんびりと色々見て廻りたかったな。


☆☆☆


歩き始めてから数分が経った頃、僕達は街の入り口までやってきた。

何事も無く到着したのはいいが、この道中モンスターどころか生物を一匹も見かけることは無かった。

正直、この森は僕が知る森の中で一番気味が悪かった。

息を潜め僕達を狙らっている。なんて錯覚さえ感じるほどだ。

いや。今、考えても仕方は無いな。


さて街はと言うと石の壁で囲まれており、入り口は立派な門が設置され、厳つい風貌の鉄の鎧と槍を装備した兵士が二名が立っていた。

ここからでも有る程度街の中は見えるのだが、人がいる割には妙に物静かであまり活気を感じられない。

それどころかピリピリとした空気が張り詰めていた。

どうやらここもあまり居心地がよさそうな場所ではないらしい。


「身分証明書の提示をしろ」


右側の兵士が僕たちの前に立ちはだかり、威圧感をを放ちながらながらそう言ってくる。

身分証明書なんて物は当然ながら持っていない為シウに視線で救援を送る。

するとシウは手紙をどこからか出現させ立ちはだかった兵士へと渡した。

彼はその手紙に目を通すと眉間に皺を寄せ『通れ』とぶっきら棒に道を空けてくれた。

僕は彼等の態度や街の雰囲気に疑問と不信感を抱いたため、薮蛇だとは解っているが声を掛けてみる事にした。


「なぁ、聞きたいことがあるんだが」

「黙れ。渡り人風情が」


立ちはだかっていた兵士が怒鳴り、左側の兵士が慌てた表情を浮かべる。

周りの人達も何事かと此方をこちらに注目している。

中には此方を高圧的に睨みつけている人もいたり歓迎されて無い様子だ。

成る程ね。ずいぶん面倒な事になっているのだろう。


「で、聞きたいことが有るんだけど」


別に此方に否が有る訳じゃないし此処は引き下がる訳には行かない。


「貴様等に話すことなどない」

「つまり職務放――

「お、おい」


流石に見かねたのか静観を決めいてた兵士が僕の言葉を遮って、怒鳴っていた兵士を連れて行き少し離れた場所で内緒話を始めた。


「レイさん。ここで、情報収集は無理じゃないですか。他の場所に行きましょうよ」


シウは怯えているようだ。


「ごめん。それは出来ないんだ。僕の後ろに隠れてていいからな」


シウの頭を軽く撫でてやるとシウは涙目のまま、嬉しそうな笑みを浮かべた。

こうやって面倒ごとに巻き込まれるのは僕の特技か何かだろうか。

とは言えここで引く訳にもいかない。

ここはきっちりと、勝たせてもらおう。


「相手が貴族だろうがなんだろうが関係ないだろうが」


突然の怒鳴り声。

どうやら諭されていたようだが腹の虫が収まらなかったのだろう諭していた兵士に怒鳴りついたようだ。

『あぁ、馬鹿』と諭していた兵士は彼の口を塞いだが、ばっちりとと聞こえた。

成る程、僕の服装を見てどこかのお偉いさんと思ったわけだな。


「なんじゃあ騒がしいな」


向こうの収集が付かなくなり始めていた時、町のほうから一人の老人が歩いてきた。

白髪が混じっている彼は普段着らしきラフな服装に腰には長剣を帯刀している。

どうやら影響力がある人らしくこちらを睨みつけるように見ていた人達はこぞって気まずそうに視線を彷徨わせている。


「ド、ドレイク隊長」

「なんじゃあ、ミックが怒鳴っていたから来て見れば何じゃこの有様は」


ドレイクは二人を睨みつける。


「こいつらが仕事を妨害してきたんですよ」


怒鳴っていた方の兵士、ミックは悪びれる事無くそんな事を言い放つ。

この野郎。如何してくれようか。


「仕事の妨害ねぇ。僕はただこの街について聞きたいことがあって声をかけただけなんだが」

「成る程のぉ」

「一応聞きたいのだがそれは仕事の妨害になるのか。僕はそれはてっきり彼等の仕事の範疇だと思ったのだけど違うのか」

「違わんの。それはこやつ等の仕事の範疇じゃのう」


そう言ってワザとらしい合いの手を入れてくるドレイク。

一部始終を何処かで見ていたのか、すでに事を知っている様にも見て取れる。

それでも此方に聞いてくるのは恐らく僕の口から事の顛末を言わせたいのだろう。

一方のミックはと言うと青い顔をして脂汗をダラダラと流している。

恐らくあちら側も意図を理解しているのだろう。

とは先に仕掛けてきたのはあちらなのだから、慈悲は無しだきっちりと止めを刺す。


「そうか、なら僕達が『黙れ渡り人風情が』と怒鳴られる謂われも無かったのか」


僕の発言を聞くと同時に高速でミックに拳骨を三度落とし、倒れたミックの前に仁王立ちした。

かなりの実力者だ。


「馬鹿垂れが、お前これで何度目だとおもってるんじゃ」


地面に倒れ気を失うミックとやれやれと呆れるもう一人の兵士

そうしてそんな光景を見ている、シウと周囲の人々は唖然としている。


「いまの、なんですか。気づいたら倒れてました」


どうやらシウには早すぎて見えていなかったようだ。


「今のは、目にも留まらぬ速さで3回殴ったんだよ」

「ほぅ、回数まで解ったか。おぬしなかなか良い目をしておるなぁ」

「そこは重点的に師匠に鍛えられたから」

「良い師匠に巡りあったのう」

「師匠には感謝しても足りないぐらいだ」

「ふむ。気に入った。質問じゃがワシで良ければいくらでも答えてやろう」


どうやら気に入られたようだが、僕そんな気に入られるような事をしたかな。

若干気にはなるがここは遠慮せずに有りがたく申し出を受けることにした。


「お願いする」

「ジェイク。そこに寝てるバカの介抱を頼むぞ。ワシは中で話をしているからそのバカが目覚めたらワシの所まで来るように伝えておけ」


ミックを宥めたり、気を使ったりとある意味不運な兵士ジェイクにドレイクは指示を出し僕等を石造りの駐屯上の中へと案内していく。


「こんな狭いところで悪いがくつろいでくれ」


僕らが案内された部屋は小窓が一ついている部屋で中には机が一つとイスが机を挟むように複数設置されている部屋。所謂取調室のような部屋だった。


「お茶の準備をしてくるから椅子にかけて待っててくれ」


そう言うとドレイクは部屋から出て行った。

残された僕達は彼の指示道理に椅子が2脚設置してある側の席へと付く。


「あの、今のうちに聞きたいのですが如何してあの時引かなかったのですが」


横に座っているシウが問いかけてくる。

恐らく暴言を吐くミックに対し僕が神経を逆なでするような発言をしたことをいっているのだろう。


「理由は簡単だ。今現在、僕達『渡り人』と『住人』の関係が悪くなっている可能性が高いからだ」

「住人とのですか。あの無礼な男がわめき散らしていただけでしたが・・・」

「シウは気づかなかったようだが僕等を睨みつけるように見ていた奴等がいたんだ。これは推測だが、渡り人と住人との間で揉め事が頻発しているのだろう」

「それは、文化の違いからですか」


文化の違いと言うよりは本質の違いだろう。

ゲーム感覚で遊んでいるだけの『プレイヤー』と生活がかかって本気で生きている『住民』。

『住民』からしてみれば遊び感覚で行動を起こし自分達の生活を脅かす『プレイヤー』は目障りだろう。

しかし『プレイヤー』からしてみれば本来の使い方で楽しく遊んで居るだけだろう。

ゲームマナーを守る『プレイヤー』は多いだろうが『住民』の生活まで考慮している『プレイヤー』は極少数だろうしな。

摩擦が起きても不思議ではない。僕はそう推測している。


「まぁそんなところだろう」


シウにそんな裏側の話をしたくないため肯定し、話題を早急に流す。


「これからどうなるんですか」

「さすがにそこまでは解らないが、この街の立たされている立場は余り良くないのだろうな」

「やはり、気づいておったか」


ドレイクはお盆の上にお茶を4つ乗せてこの部屋へとやって来た。



どうだったでしょうか。結構削ったのですがまだ説明臭いですかねぇ。

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