【EXTRE・STORY】それぞれの思い
―――ガンツ・ドロシーside―――
「いっちまったな」
「そうね」
レイ達を見送ったガンツとドロシーはしみじみしていた。
「さて、そろそろ話を聞かせてもらおうか」
「何のことかな」
「おいおい。レイに状態異常魔法を掛けたことに決まってるじゃないか」
「えー。なんと言えばいいのかしら」
「時間はあるようだからな。キリキリ吐いてもらうぞ」
シドロモドロなドロシーに対しガンツは意味ありげな笑みを浮かべ強気に言う。
「解ったは言うわよ。あの子が探して居た人がレイなのよ」
「それって、レミリアがずっと言ってた奴か」
「間違いなくね。後レミリアじゃなくて今はシウよ」
ドロシーは観念したように話している。
「だが、よく解ったな」
「よく解ったってねぇ・・・あなた私の能力を忘れていない。あの忌々しい能力を」
「覚えているさ。まさかとは思うが使ったのか」
ガンツは苦虫を噛み潰したような表情をした。
「えぇ、出会ったときからそんな気がしたから使ってみたら見事にヒットしたわ」
「何考えてるんだお前は。俺達が如何して廃棄させられたか解ってるんだろう」
ガンツはドロシーの行動に対し憤りをあらわにし少し強めな口調で話す。
「えぇ。解っているわ。ガンツの憤りもね。でもね私はこれっぽちも後悔していないわ。どうせ何時どうなるか解らない命、娘のために使って何が悪いって言うの」
「・・・・そうだな。済まなかった。ついカッとなった」
「そう。解ってくれたらいいわ」
「でだ。まだレイに状態異常を掛けた理由を聞いていないのだが」
「あ、あれぇ。いい話で、有耶無耶になると思ったのに」
「そうかそれは残念だったな。で聞かせてもらえるんだよな」
ドロシーは冷や汗を掻いた。
「ほら、彼。あんまりパートナー付けるのに乗る気じゃなかったから後押しをしてあげたのよ」
「ほうほう。でもあんなやり方じゃなくてもやり様があっただろう」
「えっと・・・・ごめん。そこは悪乗り☆」
「ほうほう。お前の悪乗りのせいで下手したら大事な娘が傷つくような事をしたというわけか」
「でも、でもそのお陰でレイも覚悟が出来たじゃない」
「確かにな。だが、それは偶然だろう。シウが斬られなかったのも、レイが覚悟を決めたのも」
「えー・・・えーっと」
「さて、覚悟は良いか」
「出来ればお手柔らかにお願いします」
「善処するよ」
ガンツはドロシーにアイアンクローをかます。
ギリリ、ギリリという音と共にドロシーの悲鳴が部屋中に木霊した。
―――シウside―――
いま、私は膝枕をしている。
そう、私の膝の上にはレイさんの頭があるんです。
それを考えるだけで心臓が張り裂けそうなほど痛くなります。
今の私は、物凄く幸せです。
だけど・・・、やっぱり不安もあります。
私みたいな欠陥品がこんなに幸せでいいのかな。
そう私は欠陥品、誰にも望まれる事もなく生まれてしまったモノ。
本来ならこんな事すら許してもらえないのですよ。
いやいや、ここでめげては駄目です。
私は全てを捨ててここに来たのではないですか。
何をいまさら後悔しているのですか。
そうです。私とレイさんは恋人になりそして・・・最後は・・・・・。
いけません、そんな事を考えるのはここまでにしましょう。
私の未来のためには恥ずかしさを押し殺してでも、一生懸命アピールしていかなければいけません。
まぁ初対面で全裸にされたのは流石にそれは事故としてノーカウントにしてますが。
そういえば、見られたんですよねぇ。私の裸・・・・あれ以上のアピールってなにかありますかね。
思いつきませんね。
まぁ追々考えましょう。
それにしても、レイさん中々目覚めませんねぇ。
こう言うときどうしたら良いのでしょうか。
童話とかではキスが定番ですかね。
キスですか。しちゃうのですか、しちゃうんですか・・・・。
想像しただけで鼻血が出そうです。
けど、こんな機会、逃したら次は無いかもしれません。
・・・・・・それだけは、駄目です。
きっと、目覚める前なら大丈夫ですよね。
大丈夫ですよね・・・・・。
・・・・・・・・・。
やっぱり出来ません。
何を軟弱な事を言ってるのですか私は。
このままだと、レイさんが起きて機会を失うかもしれないのですよ。
女は度胸です。
やりますよー。やっちゃいますよーー。