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後編

その次の日、竜勢群は来ないかわりに、


別の来るべき事が先にやってきた。


シュルゲに宮仕えのお達しが来たのだ。


「まあ、特産階級としてはいつか受け入れるべき境遇だしね」


覚悟はできている、


妻は毅然として動じないでいるのに、


おれは動揺していた。


「なに? 私がいなくなると寂しい?」


「それは・・・当たり前じゃないか」


「あなたは誇らしくないの? 特産階級を扶養する夫は、妻が宮仕えをするその時まで妻に尽くし、その時が来たら妻も自分も永遠の名誉が下されるんだから」


「名誉だなんて・・・そんなものいらないよ」


「あなたって本当に情けない男だわね。そりゃ、特産階級の妻は子供は産めないし、あなたみたいな人は二度と結婚はできないだろうから、この後は哀しい人生になりそうだけど、そのかわりに名誉が授かるのだからね。もっと胸を張りなさいな」


シュルゲはおれを元気付けようとしているのだろうか。


「おれは、君みたいに強くはないから」


「そうだね。まったくその通りだわ」


がはは、と彼女は豪快に笑う。


(きれいだな)


おれは初めてそう思った。




夜、シュルゲは居住まいを正し、


白い薄絹のサテンのような衣服を着て、


おれを伴い、サロモナの待つ聖堂へと向かった。


聖堂にはサロモナの他、


シュルゲと同じ特産階級と思われる人々が数人集い、


中のふたりはシュルゲの父親と母親であった。


「用意は良いようだな、シュルゲ」


「はい、お父様」


「キレイね。きっとお気に召していただけるわ」


「はい、お母様」


三人はささやき合うように言葉を交わしていた。


親子の会話、心に打ち込まれる一本の釘。


すこしぼお、としていたら、父親が話しかけてきた。


「君もよく頑張ってくれたな。感謝するよ」


「いいえ、そんなこと・・・」


「わがままな娘で大変だったでしょう?」


「いいえ、むしろ、楽しかった・・・です」


そうだ、シュルゲといるのは楽しかったのかもしれない。




行き先はビルの地下、


聖堂からは裏口にあるエレベーターから一直線に行ける。


地下にはごつごつした岩石をうがって造られた


洞窟があった。


やがて、一行がたどりついたのは


底が見えないほど地の奥深くまで落ち込む、


噴火口にも見紛う巨大な穴であった。


円周は計り知れなく、


穴の深さもそれ以上に計り知れない。


洞窟の暗闇さえも塗りつぶす


真の最暗黒が口を開いて


すぐそこまで迫っているのである。


おれはその光景だけでも総身がふるえ、


自分たちの足元にあったとてつもない秘密に


いまさらながら血の気が引いていくのであった。


「はじめましょう」


サロモナの指図のもと、


シュルゲは穴の縁に歩いていき、


人工的に岩をならした台のようなものに横たわった。


おれは唇を噛みしめ、


叫びそうになる口をようやく押さえていた。


と、シュルゲが手を胸元にもっていき、


首の付け根をそっと押さえた。


おれは、彼女の首元に、


見覚えのある紐が巻き付いているのに


やっと気づいた。


それは、昨日、おれが作ったペンダントの紐であった。


今晩のために、彼女は自分の所持品をすべて処分していたのに、


どうしてそれだけは手元に置き、


この場に持ってきていたのだろう。


おれの疑問に答えるように、


シュルゲはおれと視線を合わせ、


一瞬、かすかに、いつもの意地悪な顔で、


ニッと笑った。


(そうか、これはおれへの嫌がらせなんだね)


おれはついに涙をこらえることができなくなり、


ひそかに嗚咽した。




宮仕えとはわれらの唯一神、


リヴァイアサンのもとに行くことを示している。


特産階級とは


そのためだけに定められた選民であった。


彼ら彼女らが命をかけて神に身を捧げることで、


住人すべての加護が約束されるのである。


特産階級の犠牲がなければ、


おれたちはとっくの昔にドラゴンに滅ばされていただろう。


舞台は整い、サロモナは穴の縁に行き、


虚空に向かって呼びかけた。


「来たれ、リヴァイアサン。生け贄を捧げよう。そして、われらをあがなわれよ!」


言葉は空洞内で反響し、


穴の底に吸い込まれていく。


やがて、地の底より振動が伝わってきて、


ついには地震のような大揺れとなり、


巨大なものがその一端をあらわにした。


姿を現わしたのはまぎれもなく


ドラゴンの首であった。


ただし、普段から目にするものをはるかに凌駕する、


およそ人間ではぜったいに太刀打ちできない


別次元の存在であった。


「おお、リヴァイアサン。たたえあれ。これなる生け贄はお気に召されたようで」


サロモナは大声を張り上げ、


巨竜に呼び掛ける。


「もうすぐ竜勢群がやってきます。どうか、そのまえに災いの盾となり、われらに恵みを与えてください。そなたの一声に従わぬドラゴンはおらず、そなたを恐れぬ生き物はこの世におられないからです」


そのような言辞がはたして


この生き物に通じているのかどうかさえ定かでないが、


まるでサロモナの言葉を理解しているかのように、


リヴァイアサンは動きを止めて


こちらに目をとめている。


「さあ、どうぞ召し上がりください。そして、約束してください。われらに滅びを寄せつかせないで下さい」


サロモナは後ろへ下がり、


穴の縁べりにはシュルゲただひとりとなった。


シュルゲはこの間もけっして怖気づくことなく、


上方のリヴァイアサンだけを見ていて、


体を固くしていた。


やがて、リヴァイアサンの巨体が


その途方もない大きさの首が


雲の動きのようにゆっくりと下がり、


岩山のような口先が開いていった。


(食われる!)


おれは目を開けていることがきなかった。


まぶたを閉じ、心のうちで


妻に今生の別れを言った。


しばし、時間が経過した。


いつまでたってもそれ以上の物音がしなかった。


「リヴァイアサン! どうしたのですか!」


サロモナの不可思議な叫びに


おれは再び現実と相対した。


巨大なドラゴンは捕食姿勢に入りつつも、


肝心の獲物の上で触れらず


静止していた。




「生け贄をお受けにならないとはどうしたことです? リヴァイアサン、あなたはわれらをお見捨てになろうというのですか!」


サロモナが必死に呼びかけても、


相手はまったく反応しようとしない。


「あの子、何か手にもっていない?」


シュルゲの母親がこそっとつぶやいた。


「なんですって? 儀式に不要な物を持たせたのですか?」


「いいえ、そんなことは滅相もない!」


夫婦ともども恐縮してあたふたしていた。


サロモナは捧げの台座に歩み寄り、


「シュルゲよ、正直に答えなさい。あなたは何を手にしている?」


突拍子もない質問を唐突に投げかけられたとでもいうように、


シュルゲは驚愕の面持ちであった。


「サロモナ様、私は何も持っておりません」


「嘘を申すな。では、その胸を押さえる仕草はなんだ?」


「大したものでは・・・けっして・・・」


シュルゲは服の下からペンダントを取り出した。


すると、サロモナの顔面は異様にひきつり、


また、リヴァイアサンが低く呻いた。


「おお、汚らわしや! 異教の紋章ではないか。そんなものをどこで手にいれ、よくも聖域に持ち込んだものだな!」


「サロモナ様、誓って私には邪な心などありませんでした。この品にしても、ちょうど昨日夫からゆずり受けた粗品に過ぎません」


シュルゲの弁明を聞いて、


サロモナはおれの方を向き、


歯をむき出した。


「おのれ・・・異端の子息め。やはり親共々、裁きにかけるべきであった」


やはり、あの時、おれの耳にささやいたのはサロモナだったのだ。


あの時以来、おれは親から聞いた話のすべてを忘れたのだ。


「呪われよ! われらの敵は呪われよ!」


サロモナは今度はシュルゲのほうを向き、


「汚れの紋章を身につけ、聖域を汚した愚女めが。貴様には生け贄の資格などない。シュルゲ、セイチェン両名、神の裁きを受けられよ!」


神の裁き! その言葉は両親の最後の場面を呼び覚まし、


おののきのために膝から崩れ落ちそうになった。


(ああ、やはり、あの時、ライダーといっしょに逃げればよかった。どうして彼の誘いを拒否してしまったのだろう)


(そうだ、妻のためだとか言ってここを去らなかったのだ。お笑い種だ。結局、妻の道連れにおれも死ぬのだ)


(特産階級の夫になるなど、身の丈にあわぬことをしなければよかった。いや、そもそも、あいつがくだらないペンダントなんかを持ってこなければ、死ぬのはあいつひとりだけだった。それも自分も望む名誉の死だ。それが最良の結果だったのに)


(まったくおれはなんと情けないのだろう。いつも選択を誤って不幸なほうへと転がっていってしまう。そして、それをはね返す力さえももっていないのだ)


(ドラゴンとサロモナへの恐怖に負けて大事な両親との思いでもおぼろげにしか思い出せない。妻のピンチであるのに彼女を助けることさえできない。シュルゲの言うとおり、おれは根っから駄目な男なのだ)

(それでも、なんだかんだと文句をつけつつも、シュルゲはいっしょにいてくれた。最後には、どんな装飾品よりも、おれの作ったペンダントを身につけてくれた)


(両親だってそうだ。どうして身の危険を冒してまで、おれに禁断の教えを与えてくれたのだ? 決まっている! おれに託したのだ! 未来を!)


(夫の務めは何だ? 言ってみろ、セイチェン!)


「妻に尽くすことだ」


曲がりかけた膝がまっすぐになった。




おれは駆け出し、


サロモナをつきとばした。


「何をするのです!」


しりもちをついた女司教は金切り声をあげた。


「彼を止めなさい! これ以上聖域を荒させはしません!」


しかし、他の人々はリヴァイアサンに恐れをなし、


穴のほうには一歩たりとも近づけなかった。


そのすきに、おれはシュルゲのいる台座にとびつき、


彼女を下ろそうとした。


「セイチェン! どうする気!」


「君を救う!」


「無理に決まってるでしょう! 早く離れて!」


「だめだ! おれたちは生きるんだ! 生き残るんだ!」


なおも言い募ろうとするシュルゲの口を


おれは自分の口でふさいだ。


それはすごく短かったけど、


結婚してはじめての接吻に他ならなかった。


「やってくれたな、異端者共」


サロモナが立ち上がり、


すさまじい憤激と憎悪もあらわににらみつけてきた。


「もはや、神の裁きにかけることも不届きだ。この場で私が罰を与えてやる」


司教は懐に手を突っ込み、


鋭利な短剣を取り出してみせた。


「サロモナ様! シュルゲだけは・・・どうかシュルゲだけは助けて下さい!」


「ならん! 貴様の娘も罪深い。裁きは平等である!」


一瞬の言い合いのうちに、


おれはシュルゲの手からペンダントをもぎ取った。


「どうするの!」


それはおれ自身にも知りえなかった。


しかし、いま、おれの体を動かしているのは


どうやら、おれひとりの意志ではないようだった。


もっと別の、さらに高貴な力が


おれの全身に満ち満ちていた。


おれはペンダントを、


縦が長く横が短い十字状に切り出した紋章を高々と掲げ、


そして、おれの記憶は


忘却の彼方よりある言葉を引き出した。


「聖なる主、イエス・キリストの御名によりて、


悪魔よ、去れ!」


かつて人間が栄えていた頃に存在していた教え、


人間が王であった時代に天の座に君臨していた人類の救い主、


敵を打ち滅ぼし、人に恵みを与える慈悲なる神。


その名を唱えた時、


いっさいの光が差し込まぬはずの地下世界の上方より


まばゆい安らぎの光が闇を追い散らし、


闇に隠れていたリヴァイアサンの全貌を照らさんとした。


「うわああああああ!」


サロモナは光を遮ろうと目を覆い、


地面に膝を突いた。


おれとシュルゲも目がくらみ、


また、再び、地震が起きたため、


地面に転倒してしまった。




光は去った。


また、洞窟を圧倒しいていたリヴァイアサンも


姿を消していた。


おれたちは起き上がり、


周りの様子を確めた。


ついてきていたひとびとはみんな気絶しているようだった。


サロモナを除いては。


「わが神は去った」


サロモナは地に座り、


意気消沈の態であった。


髪の毛をふりみだし、


衣服はぼろぼろで、


まるで十年は老けたように見えた。


「これでこのビルも、住人たちも、ドラゴンから守ってくれるものはいなくなった」


「外に出て行けばいい」


「簡単にいうな。外はドラゴンで満ちている。全滅は目に見えている」


「外の世界には、おれたちの知らないことがあるんだ」


おれはライダーを思った。


「知らないことの幸福を忘れたのか。無知であれば安全に生活できる」


「そうかもしれない。だけれど、それは、まるで死人と同じだ」


「死人であったらどれだけよかったか。死ぬことで生きる不幸から脱却できるのならな」


「恨み言を言っても始まらない。どうせ、もう選択肢はないのだ。残って滅びるか、進んで生きるかだ」


「後にも先にも死しかない。私はここで死のう」


「他の住人は?」


「私と心中するしかない」


「馬鹿な!」


「もうお前たちが気にすることではない。ここの支配者は私だ。私が倒れたとき、共に倒れることは宿命だ。他者に身をあずけるとはそういうことだ」


だが、とサロモナは続けた。


「お前たちは私の支配から脱したのだ。好きにするがいい。もっとも、私が少し先に行くだけことだと思うがな」


サロモナは最後に地上へ出る近道を教えてくれた。


おれとシュルゲは腕を組み、


連れ立って歩いていった。




地上は強い風と、


黄色い土ぼこりで腕の先までの視界さえきかなかった。


おれたちは手をしっかり握って進んだが、


しばらくすると、自分たちがどこにいて


どちらに進んでいるのか見当もつかなかった。


これはあまりにも異常といえた。


普段から風と土ぼこりはすごいが、


これはその比ではない。


やっとおれたちは休息できそうな場所についた。


そこは目的の知れないがらんどうの廃墟で、


床は土で埋り、


ただ壁とむき出しの鉄骨だけが残っていた。


「見てあれ!」


シュルゲは上を指差して叫んだ。


天井が欠けたすきまから外の情景がみえた。


舞う砂のあいまあいまから見透かせた空は、


いつもの見慣れた空ではなかった。


「竜勢群! もう到来していたのか!」


考えてみれば、この尋常ではない風と土ほこりは


何千何万もの竜が空を覆っている証拠であった。


終わりのように思えた。


やはり、サロモナの言い分が正しかったのだ。


こんな世界で、おれたちのようの籠のなかの鳥が


どうして生きていけるだろう。


おれは妻の手をかたく握り、


穏やかな最後を迎えられるよう


神に祈った。




気づいた時には


妻の様子は明らかにおかしかった。


おれの手を離し、


両手で頭をかかえて、


地面に倒れのたうちまわっていた。


「シュルゲ? どうしたんだい?」


「あ、頭、痛い・・・割れるように痛い」


「ど、どうして? どこかにぶつけたのかい?」


「ちがう・・・呼んでる」


「呼んでる? 誰が?」


「呼んでる・・・・・・私を」


その時であった。


建物の入り口に一つの影が差した。


目を向けるとそこには、


いましも獣じみた口吻がのそのそと入り込んでいるところであった。


(ああ、ドラゴンに見つかってしまった)


おれは妻を守ろうと彼女の震える体を抱きしめた。


そして、死が来るのを待った。


が、


「ちょっと、邪魔。どいて」


守ろうとした妻のきつい言い方に、


死を覚悟していたおれは驚いて彼女から離れてしまった。


「ねえ、このドラゴン、ちょっと変じゃない?」


そういわれて、おれはそこにいるのが


ライダーの乗っていた草食種であるのがわかった。


ということは、彼は近くにいるのか?


しかし、その希望とは裏腹に、


そのドラゴンはライダーの相棒とは別の個体であるとわかった。


「えっとね、何て説明したらいいか・・・」


おれはこの前の屋上での出会いをかいつまんで説明した。


「なるほどね、じゃあ、この子は人を襲うどころか、人に味方にもなってくれるんだ」


「この子?」


「そう。私、なんだか呼んでいたのはこの子だったような気がする」


ドラゴンに呼ばれる? 


そういえば、このまえ感じた空から呼ばれたような錯覚は


錯覚ではなく、この種に呼ばれたのでは?


この種は人と心を通じ合えるのではないか?


それなら、こいつを手なずけられたら、


この状況を打開できるのでは?


おれはこの前教えられたみたいに


ドラゴンに手をさしだしてみた。


「・・・・・」


しかし、相手はうんともすんともいわず、


しかも、おれを通り過ぎて、


妻のほうに行ってしまった。


「あっ、まて!」


(シュルゲが危ない!)


そう思ったが、杞憂であった。


なんと、ドラゴンはシュルゲの手をぺろぺろなめているではないか。


「くすぐったい!」


妻は楽しそうに笑っている。


こんな状況で笑える妻に、おれはあっけに取られていた。


「ねえ、この子の助けてもらって、ここを脱出しましょうよ」


「ど、どうやって?」


「この子に乗るしかないでしょ!」


言うが早いか、シュルゲは見事な跳躍をきめ、


ドラゴンの背中に乗っていた。


ドラゴンも嫌がるどころか、


お気に入りのご主人様を乗せた馬のように


喜び勇んでいるようだった。


「あはは、すごい! きっと私って才能あるんだね!」


そうなのだろうか? 


もしかして、あのときおれのことを呼んだのは、


シュルゲが妻だったから?


ライダーのドラゴンが警戒をといたのも、


おれからシュルゲのにおいがしたから?


やはり、おれは単なる病弱男なのか?


「なにしてんの、セイチェン! ほら行くよ!」


妻がおれに手を伸ばす。


彼女とこの前のライダーが重なり、


おれはまた、情けない夫に戻っていく気がした。




ドラゴンに乗り、一気に上空にぬけると、


風は強いが、土ぼこりの層はぬけ、


視界が開けた。


空では大量の肉食のドラゴンが飛行していた。


「見て、ビルが・・・」


示されるまでもなく、


おれもそれを見ていた。


極太のビルの表面は穴ぼこだらけにされ、


たくさんのドラゴンがはりつき、


あちこちから火の手が上がっていた。


おれたちはしばし沈黙し、


ドラゴンはおれたちの気持ちをふきとばすかのように


一気に速度を上げた。


渡りをしているドラゴンのすきまをたくみにぬい、


ついには群よりも一段と高いところまでのぼりつめた。


「こんな景色はじめてみた!」


シュルゲは興奮してドラゴンの体を叩いた。


ふと、妻の首もとにあのペンダントが巻きついているのが目についた。


(いつのまに・・・・・・)


おれは少し笑い、


彼女の腹に回した腕に力を込めた。


黄色い空の向こうからは朝日がのぼろうとしていた。


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