第2話 家族
チュン・・チュチュン・・・
鳥の声に起こされ眼を開けるとまだ朝もやに包まれていた。
「早く起きすぎたかな?」
辺りに耳を澄ましても何も聞こえない・・・。
(二度寝するには短いな・・・、父様の所にでも行ってみよう)
ベットから飛び降り、寝巻きから普段着に着替える。
ドアを開け裏口から中庭に出ると朝もやの中から空気を切り裂く音が聞こえてくる。
「父様!お早うございます!。」
僕は声を掛け、しばらくの間立ち止まる。
切り裂く音が止み、朝もやの中から赤い髪の男性が現れる。
「おはよう、レオン。今日は随分早いなぁ?まだ皆寝てる時間だぞ?」
「目が覚めてしまって・・・それより稽古を観てていいですか?」
「ああ、それじゃあお前を一緒にやるか!!」
「はい!!」
満面の笑で頷く。
「木剣をとってくるから準備運動してなさい。」
そう言うと父様は離れの小屋に行った。
僕は言われた通りに準備運動を始める。
(もう五年か・・・・・)
体を動かしながら考える。
僕ことレオン・レーヴァテインが産まれて五年の月日が立っていた・・・・・
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僕が産まれた先は【深緑国】の男爵家の長男だった。
父様の名はアーサー・レーヴァテイン。
赤い髪に黒目、身長180cmぐらいの中肉、イケメン、25才。
どこにでも居る一般人と思っていたのだが服を脱いだら凄かった・・・
まさに細マッチョ。初めて裸を見たときポカンとしてしまった。
元は平民で僕が生まれる前にあった【魔物大進行】の時に【深緑国】の王様を助け、その功績を認められて男爵位と領地を授かったらしい。
レーヴァテイン領のになる前に収めていた領主はミラン・ジーン男爵と言うお祖父さんで跡取りもなく国策にも携わる事も良しとせず年を理由に貴族位を返上し、奥さんと一緒に近所に住んでいる。
母様の名はマリアージュ・レーヴァテイン。
透きとおる様な金髪に青い瞳、身長170cmぐらいの中肉、かなりの美人、25才。
父様と結婚する前は領地を持たない下級貴族の三女の生まれで【深緑国】の第一姫の親衛隊にいたとの事。
父様と母様の馴れ初めは母様が噂を聴いた所から始まった。
《赤髪、黒目のイケメンの平民出の強い兵士が居るらしい・・・》
そんな噂を城のメイドが話していて、その話を聞いた第一姫が母様を連れて見学に来たことが始まりらしい。
母様は当時、男性兵士にも負けない強さを持っており姫に言われ試合をしたらしい・・・
結果はあっさり負けたそうだ。
かなり悔しく暇を見つけては父様に挑んでいたそうだ。
その後、仲良くなり恋仲になるのだが問題は身分の差であった。
下級とはいえ母様は貴族、父様は平民。
諦めるしか無いと思っていた時に【魔物大進行】が発生し父様は男爵になり問題が解決し結婚したそうだ。
他に一緒に暮らしているのは父様の家族と執事とメイドが一人
父様の母親、僕のお祖母様だが名はサクラ・レーヴァテイン・クロカワ。
黒髪に黒目で身長170cmぐらいで50才以上の筈だが外見が母様と余り変わらないという変わった人だ。
名前でわかると思うがお祖母様は日本人で【勇者】だった・・・
それが何故こんな田舎で平民暮らしをしていたかという理由は別の機会に語ろうと思う。
父様の妹、名はリリアン・レーヴァテイン。
黒髪、黒目、身長は160cm。20才の中肉中背でお祖母様と並ぶと姉妹に見える。
叔母様と呼んだら怒られるのでリリィ姉様と読んでいる。
次は執事とメイドだが此の二人は前領主のミランさんの紹介で一緒に暮らしている。
執事の名はロック・フリスト。
灰色の髪に灰色の目、身長180cmぐらいのジブいお祖父さんだ。
お祖母様と同じ位の年齢らしいが此方は歳相応と行った感じだ。
メイドの名はローラ・ココナ。
栗色の髪、栗色の瞳、身長160cmぐらいでふくよかな女性だ。
歳はロックさんより若いらしい。女性に年齢を聞くのは失礼と思うので詳しくはきいていない。
執事のロックさんは下級貴族の出身で執事学校を主席で卒業し【セバスチャン】の称号を持っている。
(執事学校は貴族しか入れず、そこを主席で卒業した者だけが【セバスチャン】を名乗れる。此の称号を持って居る者は主に王族や公爵などの上級貴族に仕えることが多い。)
何故我が家に仕えているのか聞いた所「御恩あるミラン様より『若いお前まで隠居する必要は無い、その知識でアーサー様を支えて差し上げなさい。』」と言われたからとの事。
今ではその選択が間違いでは無かったと笑顔で話してくれた。
メイドのローラさんの苗字だが、此の世界【アースガルド】の平民には基本ファミリーネームは無い。変わりに産まれた所をにファミリーネームする。
つまりローラさんは(ココナ村で産まれたローラ)となる。
次いでに僕らが住んでいる場所がココナ村だ。
大きさは村としては大きく、町としては小さい。もう少し人口が増えれば正式に【町】になるだろう。
ん?なんで我が家は平民出身なのにファミリーネームがあるのかって?家のファミリーネームは既に他界しているお祖父様が他国の没落貴族の出身だからだ。男爵位を貰った時に再興したそうだ。
貴族なのにメイドや使用人が少ないのはお祖母様の考えで『自分の事は極力自分でする』が我が家のルールになっている為である。
元が平民であった為、我が家では問題は無い。
以上が我がレーヴァテイン家の家族である。