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強欲のレオン  作者:
序章 世界の終わり
2/21

プロローグ 2

「ここは・・どこだ・・・?」


辺りは真っ白で何もない世界が広がっている。

自分が浮いているのか落ちているのか飛んでいるのかも分らなかった。


《此処は終わった世界》


何処からか声が聞こえてくる。

男にも女にも聞こえる。


「お前は誰だっ?なぜ俺はここに居る?みんなはどこだっ!?」


《落ち着いて下さい。シンジ》

 

「なぜ俺の名を知っている?、お前は誰だっ!?」


《私は【世界の意思】。あなたが滅ぼした世界の意識です。》


「世界を滅ぼした?、何の事だ?俺は【勇者】を殺したが世界は滅ぼしていないっ!」


《いいえ。貴方があの世界【アースガルド】を滅ぼしたのですよ。》


「どういう意味だっ!」


《・・・教えましょう・・・世界の成り立ちの話です・・・》


シンジの前にスクリーンが生まれた。

 

「これはアースガルドか?」


スクリーンに映し出された世界は地球の中世イギリスを想わせる世界が広がっていた。


《この世界、アースガルドは多種多様・多岐に渡る生物が暮らす世界でした・・・シンジ、貴方が居た世界には居ない生き物も居たでしょう・・・その中でも人類種は爆発的に増えて行きました・・・しかし増えすぎた人類種は世界のバランスを狂わせ始めました・・・・バランスを取る為に敵対種がうまれました・・・それが【魔物】であり、それらをまとめる者が【魔王】です・・・最初は上手くバランスが取れましたが人類種はそれを良しとはしなかった・・・人類種は自分達では【魔王】に勝てないと分かり【魔王】に勝てる人類を創り出そうとしました・・・それが【魔族】の始まりです・・・造られた【魔族】は【魔物】を駆逐していき、【魔王】の元に辿り付きました・・・【魔族】を見た【魔王】はその有り様に怒り狂いました。【魔族】はアースガルドの生物と人類種を混ぜ合わせて造られていました・・・【魔王】は【魔族】を生み出した国を一瞬で滅ぼし【魔族】に自我を与え自らの庇護に置きました・・・【魔王国】の誕生です・・虎の子の【魔族】でも【魔王】に勝てないと知った人類種は【勇者召喚】の魔法を創り出しました・・・この【勇者召喚】で呼ばれた異界の者はアースガルドでは有り得ない強さを誇りました・・・そして【魔王】と【勇者】の闘いの始まりです・・・》


そしてシンジもそうやって此の世界にやって来た。


いや、やって来たと言うよりも拉致といっても良いだろう。

日野真司ことシンジは日本人の高校2年生で平凡なサラリーマンの両親に妹が一人いるどこにでも居る学生だった。

学校帰りの夕方、人気のない住宅地を歩いていると足元に大きな穴があき此の世界にやって来た。

シンジを呼んだのはアースガルドに数ある国の一つ【光輝国】といい【勇者召喚】を行えるただ1つの国だった。

その後はお決まりでシンジは自分の国に帰る為【魔王】討伐に向かい数年に渡る旅路のはてに遂に【魔王】と対峙しました。


「魔王っ!此の世界の平和の為、貴様を倒すっ!」


「・・・勇者よ、此の世界の平和と貴様は言うがそれはどんな世界だ?・・・」


「みんなが笑顔で暮らせる世界だっ!」


「皆が笑える世界だと?他の世界から来た貴様が何を知っている?此の世界の何を知っていると言うのだっっっ!」


「我が前に立つ前に自分の歩みを振り返るがいいっ!!」


【魔王】の居る玉座の間が一瞬で暗闇につつまれ足元に映像が映る。


「貴様が人類種の為に開放してきた所だ」


そこに写って居たのは人類種意外を奴隷として扱っている映像だった。


魔族以外にもエルフ種やドワーフ種まで鎖に繋がれている。


「ーっ!騙されないぞっ!こんなまやかしに俺は騙されたりしないっ!」


「ならば自分の目で確かめるがいいっ!【光輝国】に飛ばしてやろうっ!」


「くっ!」


魔王の手が光りシンジは余りの眩しさから咄嗟に目を庇うように腕を出し光に包まれ転移させられる


「此処は【光輝国】の下町ダウンタウンか?」


《そうだ、国の中でも弱い者が暮らす場所だ》


「ーっ!その声は魔王!」


《落ち着け。勇者は目立つから姿を消せ》


「っ!《幻影の衣ミラージュ》」

幻影魔法で自身の身を隠すと下町を歩き始める。


「何だ此処は・・・」


《・・・貴様は気が付かなかったかも知れないがこれが此の町の闇の部分だ・・・》


路地には悪臭が立ちこめ、明らかに体調の悪い者が溢れている。何処かで人が殴られている音が聞こえ死んでいると思われる人の持ち物を漁る子供が居る。


「王様や姫様は知っているのか?」


《勿論知っているに決まっている。何なら聞きに行くといい》


シンジは姿を消したまま王城に入って行く。


玉座の間の先にある王族専用のテラスで王様達がお茶を愉しんでいた。

幻影魔法を解こうとした時に魔王から待ったがかかった。


《このまま王の話を聴くがいい》


「勇者は良くやっているようだな。」


「はい、報告によると魔王城にたどり着いた様です。」


「奴のおかげで周辺国からの寄付金がたんまり入って来たわ。他にも魔族から奪い取った土地や財宝、奴隷達でまだまだ金が入る、笑いがとまらんなガッハハハハ!」


「ところで魔王を倒した後の勇者は如何致しましょう?」


「そうだな?姫よ勇者を婿にとり結婚するか?」


宰相と話していた王が姫に話をふる


「嫌ですわ、あんな真っ黒な髪に瞳なんて気持ち悪いっ!お父様の命令でしたから我慢して相手していましたのに結婚なんて絶対に嫌ですっ!それに私は親衛隊長と結婚したいのです。」


親衛隊長は此の国の公爵の息子であった。


「そうか、ならば魔王を倒して戻って来たら毒を使い殺すとしよう。あの強さを他国に使われてはたまらんからな。」


「あちらの世界送り返しては?」


宰相がそう口をはさむが、


「送り返す事は出来んのだ、あくまで呼ぶだけだ。それを知ると勇者は働かんからな、魔王を倒せば帰れると思っておるわ。」


シンジは自分の足元から崩れ落ちそうになるのを必死に耐えた。あの優しかった姫様や王様、稽古をつけてくれた親衛隊のすべてが偽りであった。


《・・分かったであろう?お前は帰れず、いいように利用されているだけだと・・》


「・・・それでも・・・・俺は・・・」


シンジがそう呟くと親衛隊の一人がテラスに入ってきた。


「準備が整いましたが如何いたしましょう?」


「おおっ! やっとか!!楽しみだな。」


王達はそう言うと移動を始めた。


「何処に行くんだ?」


シンジもその後を追うと訓練所に行き着いた。


王が椅子に座ると兵士が声をあげた


「これより試合を始めます。」


訓練所の真ん中には武器を持った魔族とおぼしき子供達が居た・・・













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