第6話 訓練2
「あの後大変だったな~。」
走り込み中に初めてのキャンプを思い出していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
野営地にたどり着き、事の顛末を師匠に話した後、僕は気を失ってしまった。
「此処は・・・・」
次に気がついた時は自宅のベットの上だった。
体中に包帯が巻かれ、手当がしてあった。
どうやらボアの最後の一撃で肋骨が何本か骨折しているらしく呼吸をすると痛みが走る。
師匠の話では全治6ヶ月との事なので暫くは訓練も休みになった。
エリーに怪我をして訓練を休んでいる事を手紙で伝えると一週間もしないうちに宮廷治癒士を連れて我が家にやって来た。
僕の手紙を読んだエリーが心配して王様に頼みこみ、王様も普段我侭を言わないエリーのお願いだったため許可したそうだ。
馬車が止まった途端に駆け出し僕の部屋に飛び込んで来た。
「レオちゃん!大丈夫!?」
今にも泣き出しそうな顔で僕の枕元まで来る。
「エリーちゃん、まだ痛むゲド大丈夫だよ!それよりせっかく来てくれたのに一緒に遊べなくてゴメンね?」
「ううん、一緒に遊べないよりレオちゃんが怪我をしてるほうが嫌だよ。怪我をしてるって書いてたからお父様に頼んで治癒士のおじいさんと一緒にきたんだよ、きっと痛いのも治るよ!。」
コンコン
「姫様、よろしいですか?」
開けっ放しのドアをノックした音が聞こえ、そちらに目を向けるとエリー専属のメイドと治癒士のおじいさんが此方にやって来た。
「レオンくんだね?簡単な怪我ならすぐ治せるんだが大きな怪我はゆっくり治療した方が体に無理が無く良いんじゃよ。何回かに分けて治療していくからの。」
そう言うと毛布をめくり体に両手をつける。
「かの者の傷を癒したまえ・・・《癒しの光》」
おじいさんの両手が淡く光る。
それに伴い体の痛みが少し和らぐ。
「ふうっ・・・それではまた食事の後にでもかけようかの・・・それまでゆっくり休むといい。」
毛布を元に戻しおじいさんは部屋を出ていく。
「レオちゃんが良くなるまでは一緒にいるからね!」
エリーが僕の手をとって笑顔でそう言ってくれた。
その後エリー達は僕の怪我が治る約1ヵ月間滞在し、その間僕の介護をエリーがやるといいメイドさんを困らせていたが最終的にはメイドさんと2人ですることで落ち着いた。
このときにエリーは料理に目覚めたようで避暑の為に我が家で滞在する時に皆で料理をしている姿を見かけるようになる。
エリー達が帰城後リハビリと訓練の日々が続き約半年が過ぎ、僕は6才を過ぎていた。
「ゴブリン討伐に行きますっ!」
訓練後の後片付けをしているときに師匠かいきなり切り出す。
ゴブリンとは体長1mほどで顔は醜く体の色は緑、筋力は成人男性を遥かに凌ぐ。
何よりも厄介な能力は繁殖能力でほぼ全ての他種族との交配が可能で、生まれるまで1週間と掛からない為すぐに増える。
また少なからず知能があり武器を使用したり、稀に魔法を使う個体も居る。
まちがっても6才児が勝てる相手では無い。
「はい?」
「ゴブリン討伐」
「退治では無くて?」
「討伐ですっ!!」
退治の場合は少数を狩り、討伐の場合は巣ごと破壊する。
退治ならば村の男衆を総動員で当たれば問題ないが、討伐となると領主軍やギルドでパーティーを組まない限り無理である。
「討伐は無理があるでしょ、師匠?」
「大丈夫!私達は後詰よ。アーサー達領主軍が打ち漏らした奴を叩くわよっ!!」
「う~ん・・・それなら何とかなるかも・・・?」
「討伐まで日にちが無いから急いで準備に取り掛かるわよっ!」
それから僕は討伐用装備を整えた。
ゴブリン討伐装備
武器
・檜の槍(槍頭は銅製)
・合成弓(動物の角や骨、革を使ったリカーブボウ)
・木の矢×20(矢頭は銅製)
・疾風の短剣(身に付けるだけで素早さが上がる。師匠からの贈り物)
・銅の小柄×10(ナイフより一回り小さく持ち手が無い)
防具
・布の服
・革の帽子
・革の胸当
・革の手袋
・革の靴
道具
・小柄用ベルト(革製)
・アンチドート(解毒薬)
・ポーション×5(体力回復薬)
・道具用ポシェット(革製)
・ロープ
野営セットや保存食等は師匠が持って行ってくれるので準備したのは以上だった。
そして僕の初めてのゴブリン討伐が始まった。
・作中では動物や魔物の皮を使った物は革としています。
皮→動物や魔物の皮を剥ぎ取ったもの。
革→皮を加工したもの。
・ポーションやアンチドートは基本飲み薬です。
・薬草、毒消し草等の植物はすりつぶして患部に使用します。
・ポーションやアンチドート等の入れ物は試験管ではなくキーパーと呼ばれる物で結構丈夫です。内容量は試験管と同じ位と思ってください。
・ポーションは正しくは自己治癒力加速薬です。分かりやすく作中では体力回復薬と記載させていただきました。
分かりずらくてごめんなさい。