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ところでお父さん、いつの間にそんな資格とってたのって聞いてみる。後ろで悟が、おれも知りたいと悔しそうに顔をゆがめた。
「いやぁ、なんとなくだな。父さん実は資格ハンターだったんだ。実戦はこれが初めてだけど」
「え? 大丈夫なの?」
「うむ。美女がシャワー浴びた直後のかほり」
ぐうでお父さんの頭を殴っておいた。
「父がすみません。おなじ遺伝子なのが恥ずかしい」
その後、連帯責任で悟と和也も殴っておいた。
まったく、男ってやつは。
そして。なんとか水漏れは防げたものの、やはり本職の方に配管工事をやり直してもらわなければならないことになり、お父さんのコネクションで、午後から来てもらえることになった。
「このシャワーさぁ、時々シロのシャンプーで使ってたんだよね。だから、暴れて配管が傷んでいたのかもしれない」
楓さんはやけにしんみりした表情で言ったけど、野郎共が奇妙なテンションなので一旦一階に降りることになった。
楓さんを見るなり、私服の上に白衣をまとった椿さんは、ごめーん、とあやまった。
「別にいいよ。誰だって間違いくらいあるし、こんなことになる前に、きちんと修理を頼むべきだったんだから」
楓さんは神妙な面持ちから一気に破顔させて、ラブちゃんに抱きついた。
「ん〜。獣臭最高!!」
なんだか少し、楓さんのキャラが変わったような気がしたけれど、気にしない。
それより、悟はなんだったら得意なのか聞いてみたら、野菜の名前がわかる、だけ。という残念な答えが返ってきた。
やっぱり悟とお父さんって、通じるものがあるみたいで怖い。
幼なじみで友達じゃなかったら、遠ざけておきたい程度のポジションだ。
だけど。楓さんはもしかして、シロちゃんとの思い出があるから、配管を直さずにいたのかもしれない。
そう思うと、今の楓さんの笑顔がとても尊く、はかなげに感じられた。
あたしもいつか、遠い未来にカブラくんとお別れする時がくる。その時、平静でいられるだろうか?
想像したら怖くなって、腕の中のカブラくんのぬくもりをあらためて感じた。
カブラくんはくすぐったそうにもだえて、床に降りた。
長生きしてね。そう思うだけで今は精一杯なのだ。
もしかしたらあたし、ペットロスになりそうな予感がする。
その時、楓さんたちに相談できるだろうか?
それとも寝込む?
カブラくんたちとの生活があたり前すぎていて、それ以前の孤独な生活を思い出せない。
あたし、贅沢だな。もっともっと、カブラくんたちや楓さんたちとここに居たいって思ってしまう。
つづく




