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新しいホームページに、あたしたちはキャッキャしながらよろこんでいたのに、なぜかお父さんが水をさす。
「里奈。父さんなぁ、今のお母さんに帰ってくるなって言われてしまったんだよ」
「そうだろうね。仕事もしてないのにギャンブルなんかやるからだよっ。後妻さんに迷惑かけるなっ」
おもわず強めに返してしまったけれど。それじゃあ、どこで寝泊まりしているんだろう?
「いやぁ、おれも実家から追い出された口でさぁ。三人で和也んとこのマンションルームシェアしてんの」
「ルームシェアしてる自覚があるのなら、家賃を払ってくださいね?」
和也の笑顔が崩れるなんてめずらしい。それくらいお父さんと悟は図々しいってことだ。
「でも。だったら和也はどうやって家賃払ってるの?」
あたしが問うと、ノートパソコンを指さす。
「ホームページ作ってほしい企業って、結構多いんだよね」
なるほど。和也はアルバイトと言ったが、それならペット可能のマンションに入れるわけか。
なんてなごんでいたら。
ぽたん、と水がどこからか滴ってきた。
「え? まさか、椿二階のシャワー使っちゃってる!?」
楓さんがあわてて二階に駆けだした。たしか、二階のシャワーは水漏れしているから使わないようにと釘を刺されていたけど、椿さんゆうべは深酒してたからわすれているのかもしれないっ。
やがて、二階からぎゃ〜、と悲鳴がもれて、男三人がそろって鼻の下をのばしていたので咳払いでわきまえろと告げた。
やがて、水漏れは本格的に一階まで浸透してきた。
少しすると楓さんが、スマホ片手にあわあわしている姿を見せた。
「ああ、はい。できるだけ早めにお願いしたいんですけど。……えと、今日は無理ですか? わかりました。またお願いします」
がっかりした様子の楓さんが、あたしをひしっと抱きしめる。
「里奈ちゃんどうしよう。水道屋さん、どこもすぐ来てくれないんだよぉ〜」
こんなになさけない声を出す楓さんがめずらしくて、あたしはつい楓さんの背中をはげますようになでた。
「え? ここは父さんの見せ場じゃないかい?」
ん? お父さん、なに言ってるの?
「実はおれ、排水設備工事責任技術者の免許持ってるんだよ」
「嘘〜!!」
「父親を信じてください。と、言うわけで。もう二階にあがってもかまいませんか?」
「ああ、はい。椿はもう部屋でふてくされてますから」
それならばありがたい、と楓さんはお父さんと二階に向かう。もちろん、あたしたちも二階へゴー!!
間違っても椿さんと二人っきりにはさせられないんだからねっ。
つづく




