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で? 悟はあたしのことが好きだって? 嘘ぉ。
なんならうちのお父さんと一緒にブスの大合唱していたくせに。
それに和也まであたしのことが好きだって? そんなのありえないって。
「わかった。これはあたしに対する大がかりな嫌がらせなんでしょう? 発案はお父さんとして、悟と和也が口裏あわせてるだけで」
そう思ったら、どんどん悔しい気持ちがわき上がってくる。
なんだよ、もう!!
「いや、あの。里奈? おれは別に里奈のことが好きだからってわけじゃなくて。そんなこと言えてたら、最初から偽装結婚なんてしようとしてないし」
あ。結婚式を間近に控えてとか言ってたな。あれも嘘かよ。
「待って。悟のはどこまでが嘘でどれが本当なの?」
もうこの際だから聞いてやる!
「……ごめんなさい。結婚の話も潔癖症の彼女のことも嘘でした。で、里奈に害虫を寄せ付けないためにあなたをブスだと思わせてきました。かなり個性的で可愛らしいのが、おれが見た限りの里奈の特徴です。だから、ずっと里奈のことが好きだったんだってばっ」
「阿呆か!? そんな告白の仕方ってある!?」
「いや、おれもないな、とは思ったものの、おじさんがブスって周りにも周知させておいた方がいいって言うから」
「それめっちゃトラウマになってるんですけど。なんなら鏡で自分を見たくないくらいに」
腹が立ったらお腹空いてきちゃったよ。まったく馬鹿馬鹿しい。
膝の上でちんまりしていたカブラくんも、あたしとシンクロしたのか、悟にうなり声をあげている。
『ほら、やっぱり〜。だからおれたち誰も里奈に告白できなかったんだぜ。ちなみに女の子にもてたいってところとあわよくば里奈と仲良しになりたいとの下心ありでラブちゃんを飼い始めたのは反省してる。ごめんなさい』
「まったく、命をなめんなっ」
あたしはうっかりスマホを投げ捨てそうになっていた。くっそう。なんだかこれまでの人生損した気分なんですけども。
『チャンスがあるならおれも告白する。里奈、同じクラスになってからずっと好きでした!!』
「ちょ、里奈ちゃん。あたし言っていい?」
頭がどうにかなりそうなほど怒り心頭なあたしに、楓さんがやさしく話しかけてくれる。もう涙目でうんと答えるのが精一杯。
「そういうことで、里奈さんを口説きたかったら、動物のことをよく知りなさい。でもその前にラブちゃんの人生をもてあそんだ罪で、ラブちゃんはサロンで飼うことにします。異存はないよね?」
ない、けどあたし。これからラブちゃんをかまうたびに悟と和也にもて遊ばれたことを思い出すことになりそう。
あと、お父さんには厳重注意しなくちゃ!
つづく




