表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/86

1ー5

「おまたせ。……わお。すごいや」


 楓さんはお風呂から出てくるなり、ため息をついた。


「すごい!! プロのお仕事なみに完璧な配置がされてる!! 里奈ちゃん、やっぱりうちで働かない? お給料は満足に出してあげられないかもしれないけど、三食食べてもらえるし、ここで寝起きできるのなら、家賃はいらないから。ね? お願いだからうんって言って! 他の部屋も好きに片付けていいからっ!!」


 お風呂上がりの楓さんはまたえらく艶っぽくて。湿り気を帯びた髪が襟足の短い黒髪を(なまめ)かしくシャープな顎の輪郭をたどる。


 女性だとわかっていても、どきどきしちゃう。


 それに、アーモンド型の瞳で熱っぽく見つめられたらもう!!


「わかりました。あたし、住み込みで働かせてもらいます!!」

「よかった。朝食はこれから作るよ」

「手伝います」


 くん活で忙しいカブラくんを放っておいて、楓さんの後へつづく。キッチンはドアの向こう。つまり、開けられるドアの向こう側だったのだけど。ここもやはり物が散らかっている。


「ごめんね、本当。あたし片付け苦手でさぁ。顧客も逃げちゃうほどなんだよねぇ」

「ちなみに、ペットサロンってどんな仕事なんですか?」

「ん〜?」


 楓さんは、形のいい唇を悩ましく歪める。


「ペットのお悩み相談に近いかなぁ? 後はトリミングやお散歩代行、ペットホテルも兼ねてたんだけど、散らかっていたからどれもまともにできなくて困ってたんだ」

「なるほど。それでカブラくんのことも心配してくれていたのですね」

「そうなのよ」


 そう言うなり、楓さんは冷凍庫からブロックの氷を取り出し、ミキサーに入れる。


「あの、もしかして朝食って?」

「そう。スムージー。野菜はご近所さんからもらうんだよね。米は今きらしてるけど。炊飯器もないし。かなりの極貧生活だけど、いい?」

「ちょっといいですか?」


 いったんお断りをしてから、冷蔵庫をのぞくと、まんまと野菜とヨーグルト、お酒といったもので埋まっている。


「あ。味噌がある。よかったらあたし、お味噌汁作りましょうか?」


 って、え? 崇められてる?


「里奈ちゃん、お味噌汁作れるの? どこの女神様?」

「そんな、大げさですよ。野菜は使ってもいいんですよね? だったらスムージーよりお味噌汁の方が身体にやさしい気がします」


 って、まだ崇めてるし。こんなに綺麗な人に崇められると、なんだか胸がざわついてしまうのだよね。複眼、複眼。


     つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ