6ー7
その夜。
マカロンちゃんはそのまま清羅さんたちに預けてきた。
サロンに戻ったあたしたちは、マカロンちゃんのあたらしい家族が見つかったお祝いとして、お酒を飲むことになった。
なので、柳くんと誠くんはお家に帰ってもらって。カブラくんにはガムをあげたり、ボタンちゃんにはヒマワリの種をあげたりして、みんなでお祭り騒ぎ。
まさかサロンでお酒を飲む日が来るとは思ってなかったあたしは、ずっと考えていた疑問を楓さんにすることにした。
「あの。楓さんってどうしてふつうの獣医さんではなく、サロンという形にしたんですか?」
やっぱり、シロちゃんの影響なのかと思ったら、意外な答えが返ってくる。
「う〜ん、その前からかな? よくあるなんちゃら喫茶とは違うものにしたかったんだよね。大きな犬も飼いたかったし」
「ああ。楓まだ兄ちゃんのこと引きずってるんだ?」
椿さんが氷をからから転がしながら言うと、楓さんはそんなこと……、あるかもしれない、と恥ずかしそうに答えた。
「えと? 椿さんにはお兄さんがいらっしゃるのですか?」
あたしが聞くと、椿さんは双子のね、と答えた。
「いるよ、山茶花って名前なんだけど、こいつがまた女にモテてね。見かねた親父が犬を飼うことにしたんだわ。白いシェパードのリクって言うんだけど」
へぇ、白いシェパードかぁ。かっこいいんだろうな。
「そもそも実家が獣医だから、珍しい犬種も集まってくるのさ。で? どこまで話せばいい?」
じぁあ後は自分で話すと言って、楓さんは話を引き継ぐ。
「リクが本当にきっこよくてね。ついでに山茶花兄さんもかっこよかったんだ。それが、あたしの初恋」
わぁ。まさかここで楓さんの初恋を聞くことができるなんて。レアすぎるぞ。
「リクと山茶花兄さんもすごく仲良かったから、あんなことになってあせった」
そこまで話すと、楓さんは缶ビールをぐっとあおってから息を吐いた。
「あんなことって、聞かない方がいいですか?」
「聞いて。むしろ聞いて欲しくて話し始めたから」
楓さんはあわてて話す順番を考えるふうにして二本めのビールのプルタブを開けた。
「一回目はリクの散歩してた山茶花さんに車がぶつかったっていうか、もう人災だったのよ。山茶花兄さんに振られた年上の彼女が復讐してね。リクは山茶花兄さんをかばってくれたけど、結果的に山茶花兄さんは半身不随になって、リクも重傷になって。そこからはもうなんか、二人して感染症にかかっちゃったんだ」
仲がいいとは言え、そこまでシンクロしてくるとは、また驚いた。
けど多分、話はここで終わらないよね?
つづく




