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6ー5

 あたしたちは、清羅さんの話を真剣に聞いた。ドッグランでのトラブルや、食べ物の好き嫌い、ちょっとした仕草まで丁寧に覚えていて、話してくれる様は、まさにセラピーそのものだった。


「ああ。たくさんお話をしてしまいました。わたし、また犬を飼いたいなって、パートナーとも話し合っているのですよ。ちょうどマカロンちゃんみたいな大きな犬です」


 そうですか、と答えた楓さんの声がやたらにさみしそうに響いた。


「実はマカロンちゃんも里親を募集していたんです。でも大型犬ですし、成犬ということもあって、うちで引き取ることにしたんです」


 それから楓さんは、歌子さんとの運命的な出会いをマカロンちゃんを通じてしっかりと話して伝えた。


「だから、マカロンちゃんには幸せになってほしくて」

「わかります。わたしも、こんなんですから偏見の目で見られますし、犬を飼う資格がないなんて罵詈雑言吐かれたこともあるのですよ。ふふっ」


 それはとても自虐的な微笑みだったけれど。だからこそ、今の清羅さんにはマカロンちゃんが必要なのかもしれない。


「試してみますか? 一週間」


 そう、里親になるには、その子と仲良くなるためのお試し期間が必要なのだ。


 よって、マカロンちゃんはこのサロンから出て行く可能性が出てきた。


「え? でも、よろしいのですか? 楓さん、マカロンちゃんのことをとても愛していらっしゃいますのに」

「だからこそ、落ち着いた環境で育って欲しいと願うのです。あたしの望みとは関係なく、マカロンちゃんの幸せを最優先に考えられないのなら、あたしはこのサロンを閉鎖しなければなりませんから」

「では、一週間。マカロンちゃんを連れて行ってもよろしいのですか?」

「はい。あ、失礼ですけど、環境が適しているかどうかを知らなければなりませんので、事前にお宅にお伺いすることになると思いますが、かまいませんか?」

「はいっ。もちろんです」


 こうしてこの日は、清羅さんだけが帰って行った。


 マカロンちゃんを預けるのは三日後。その前にお宅を訪問して、環境がふさわしいかどうかを調べなければならない。


 そうか、楓さんは、マカロンちゃんとの別れがつらいんだ、とこの時わかった。


 誰にでもやさしい楓さんだから、歌子さんとの約束を守るとすれば、里親にもらわれていくのが一番いいのだろう。


 だけどやっぱり、別れは悲しいよね。


     つづく

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