表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/86

6ー4

 清羅さんは、ひとしきりカブラくんをなでた後、なつかしいなぁと目を細めた。


「犬、飼っていたことがあるんですか?」

「ええ。でも、ステージ四の胃ガンで去年亡くなりました」


 ……うん?


 思うところあって、お父さんを見ればすっとぼけた顔をしている。


「あの、今日はなんの用でここにいらしたんでしょうか?」


 お父さん、まさかあたしをだましてないよね!?


「実は、ミュールが亡くなってからペットロスになっちゃいまして。お恥ずかしいのですが、まだ立ち直れていないのです。それで、父がこちらのサロンで相談したらどうかって」


 やっぱりだましたなっ!!


「ミュールちゃん。女の子さんだったのですね。どんな子でした? ああ、よろしければお茶お持ちしますので」


 椅子を勧めて立ち去り際に、お父さんの足を蹴った。


「痛っ!?」


 ざまぁみなさいよ。ペットロスで心が弱っている人を利用して、はずかしくないの!?


「ここではそういうお客さんもいらっしゃいます。よければ話、聞きますよ?」


 そうとわかれば楓さんの専門分野。しゃきっと白衣を正して座り直した。


 あたしの怒りはおさまらなくて、キッチンで怒鳴りそうになった。


 そんなあたしを、よせばいいのにお父さんが追ってきた。


「おい、話が違うじゃないかよ」

「それはこっちの台詞!! お父さんはあたしたちをどうしようっての!?」

「いや、だから。里奈も年頃だし、そろそろな。でもほら、店長男前だし、恋人なんじゃないのか?」

「楓さんは女性です。重ね重ねもろもろな失礼を言うのは辞めてくださいっ」


 怒りにまかせてお茶を淹れないように、深呼吸を繰り返す。


「でもほら、そこは今は多様性だろ?」

「あたしをだましておいてなにをのたまうかっ!?」


 さすがに我慢できなくなって、分厚い電話帳でお父さんの頭を殴りつけた。


「ほ〜ら、ひよこが頭の上を飛んでるよ」

「うじが湧いてるの間違いなんじゃない?」


 まったく。ふざけた父親だよ、本当に。あたしの気持ちはどうすればいいのよっ。


 そりゃ、彼氏のひとりもいてもいいかもだけど、まだサロンで寝泊まりさせてもらっている身の上だし? 収入もそこそこだけど、こればっかりはしょうがないじゃないよ。


 あ〜、もう腹が立つ!!


     つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ