表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/86

1ー4

「いやぁ、あたし片付けが苦手でさぁ。すんごい散らかってるの。いいかなぁ?」


 ばんって力を込めて開けた木のドアが、悲鳴のようなきしみをあげる。


「あらぁ……」


 これは、たしかに汚屋敷(おやしき)だぁ。


 ついさっきまでの完璧天使な楓さんがぶっ飛んでしまうほど、とっ散らかった部屋だった。


「こっちからこっちがサロンで。こっちが部屋なんだけど。物が散らかっていて入れないんだよね。あははははっ」


 ……これは重症な片付けられない症候群なのでは?


「あ。じゃああたし、片付けましょうか?」


 はしっと、楓さんがあたしの両手を握りしめた。


 な、なに?


「ありがとう!! 恩にきるよ。ああ、カブラくんのご飯は、その辺のフードをあげていいよ。あたし、シャワー浴びてくるから、適当に休んでいて」


 言うが早いか、楓さんは奥の部屋へとすたすたと歩いて消えてしまった。


「マジか。天使ではなく人間か。って、あたしも楓さんのこと言えないけど。って、カブラくん、ダメ!! それは楓さんちのおもちゃだからっ!!」


 とっ散らかってはいるけれど。動物のおもちゃやキャットツリー、それにハムスターのゲージなんかは器用に配置されてはいるし、清潔感があるにはある。 


 でもなぁ。カブラくんにと思って持ってきたフードをあげようとしたらそっぽを向かれちゃったので、楓さんのやつを分けてもらった。


 もしゃもしゃと食べるカブラくんは健康そのもの。


「指輪、出してくれるかな?」


 食べたら出る、よね?


 あたしが小さい頃に亡くなってしまったお母さん。想い出はそんなにたくさんはないけれど。指輪を見ればお母さんが生きていたことの理由になるから、なんとなく指に付けていたんだけど。ちょっとぶかぶかだったんだよね。


「早く出してね、カブラくん」


 ところで楓さん。あたしを住み込みで雇ってくれるって本当かな?

 

 配置換えをしながら掃除をしていると、隅から猫じゃらしが出てきたり、おやつが転がっていたり、ひってなるけど宝探しみたいで面白い。


 最初からこういう仕事ならよかったんだけどなぁ。


 このあたしに受付嬢とか無理なんだよなぁ。なのに、社長が若い子が好きって理由で、おブスなあたしが受け付けに座らされたわけだけど。


 結局、その社長が先日依願退職したことで、あたしもお払い箱になってしまったのだった。


 上司曰く、受け付けのなりては山ほどいるらしい。


 まったく、世知辛い世の中だよ。


     つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ