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5ー3

 いやぁ、電話が止められていたのをすっかり忘れていましたよ、なんて悪びれずに言いおいてから。


「それで? なにか話しましたか? この鳥」


 ここまでとぼけられてしまうと、さすがに胡散臭い人だとわかってしまう。


 オーちゃんの声は老齢の女性のものだった。ボーガンを撃ったとされる、あの女性のような。


「男の声じゃなかったんですけど。この鳥、本当に斎藤さんが受け継ぐものなのですか?」


 椿さんにアイコンタクトされて、咄嗟に自分のスマートフォンを録音状態にした。


 店内には監視カメラが付いているものの、近くで録音したとなればより鮮明に聞こえる。


 斎藤さんはしれっと笑い出すと、しばらく笑い転げた。


「いやだなぁ。わたしの母から引き継いで、それでもらったんですよ。そう、きっと母の声だと思ったんですよ。どすの効いた声だったでしょう? おじさんみたいな」


 あっははと笑うと、わざとらしく咳払いをする。


 そこで、オーちゃんがもう一度さっきとおなじ言葉を繰り返した。更に……。


「斎藤は悪党だよ。信じちゃダメだよ!! ぴーっ」


 椿さんも、非常時のために取り付けてある警察直通ダイヤルを押している。


「どういうことですか? 斎藤さん。いろいろと話しのつじつまがあわないじゃないですか?」

「あ〜あ。これだから女は面倒くさくていけないね。いやね、あのばあさんがさあ、宝くじに当たったなんて言うからだよ。少し、ほんの少しだけ金を貸してくれればよかったのに、かなり前からボケてただろう?」


 うかつに返事もできない。これは、自供なのか?


「そんなつまらない鳥に遺産のすべてを相続させる、なんて言うから馬鹿言っちゃいけないよってなるだろう?」


 自供な気がする。ドア周辺は、強面のカブラくんと体の大きいマカロンちゃんがふさいでいた。


「だからしかけたんだよ。わざと子供が騒いでるようにテープに録音した音を聞かせて。そうしたら少しはおこぼれがあると思ってね。ボーガンだってありゃあおれが猫を撃った後にばあさんに渡したものだよ。そうしないと指紋がつかないからさ。でもま、結局全部無駄だったな。ばあさんが死んだから、鳥を誘拐してきたのもバレずにすむかと思ったのに」

「じゃああんたが、ルビーちゃんを撃ったんだね?」


 楓さんの声は強く、こわばっていた。


「あんな猫でも死んだら大騒ぎするもんだね。動物を好きな奴は簡単にだまされるんだよ。あんたたちも、ボーガンを撃ったのはあのばあさんの仕業だと思っただろう?」


 馬鹿野郎っ、低く吐き捨てた楓さんの声に、斎藤はびくりと体をすくませた。


「人生は金がすべてだ。そうだろう? 美人のお姉さんたちだって、その美しさを保つために、動物の世話をしているんだろう?」


 なぁ、とそれまで見せていた顔がすべて偽物だと気がついた時には、警察が到着していた。


     つづく

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