3ー3
それは、時間的ゲリラ豪雨というものらしくて。あたしと椿さんは、楓さんの帰りを待ちながら、時折鳴る雷に驚いたりしている。
そして。カララララとドアベルが鳴って、びしょ濡れになった楓さんが、カブラくんとマカロンちゃんをたずさえて帰ってきた。
「いやぁ、雨女本領発揮したよ」
どうやら楓さんの元気は回復したようだった。
あたしは大判のタオルで楓さんとカブラくんたちの水気を拭き取る。
「きりがないからシャワー浴びてくる。ワンちゃんたち頼んでもいい?」
「はい。ちゃんと拭き取りますので、ごゆっくりどうぞ」
まるで格闘家がひと勝負終えた直後のようなタオルの羽織り方なのに、それでもかっこいいから楓さんはすごい。
なんて思っていたら。
かららららん、とまたしてもドアベルが鳴った。
「変な天気。っす」
中学生? の男の子が、慣れた感じで入店してきた。
その声に振り向いた楓さんの顔を見て、ああ、この子はもしかしてって思った。
「柳? ……どうした?」
「ここら辺に遊びに来たからさ。猫がいないなら雨宿りさせてよ」
「いいけど」
そう答えた楓さんの声も表情も硬いものだった。
「じゃ、あたしお茶淹れてきます」
「そんなのイラナイ。コーラとかないの?」
「ないんだな、うちには」
「お姉ちゃんちって、レズビアンの店にしたの?」
これにはさすがの楓さんも怒る……らない?
「いい加減にしなよ、柳くん」
そうたしなめたのは椿さんだった。
「じゃあコーヒーでもいいや。どうせマズイだろうけど、飲んでやるよ」
「楓はシャワー浴びてきていいよ。こっちはわたしが責任持つから」
どうやら柳くんとは久しぶりに会ったみたいで、楓さんはなにも言わずにシャワールームへと姿を消した。
「ねぇ、お金払うから、ぼくにもタオル貸してよ? まさかこのまま風邪ひかせたりしないよね?」
「はいよ!」
椿さんはかなり怒り心頭とばかりにタオルを投げ渡した。
「相変わらず乱暴なオバサンだな。えっと、たしか牡丹さんだっけ?」
「椿だよ。それとオバサンってのは撤回しな」
「やだ。オバサンはオバサンじゃん。若ぶるのはみっともないよ」
とにかく口まめな弟くんなようで。顔だけ見ていれば楓さんみたいにかっこいいのに、なんだか残念だな。
また皮肉を言われるだろうけど、柳くんの前にコーヒーを置いた。
「なんだ、ホットか。アイスがよかったのに」
いちいち突っかかってくるよね、この子。
つづく




