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そのおばあさんの名前は山田 歌子さんで、ゴールデンレトリバーのマカロンちゃんは三才の女の子だということや、お互いの電話番号を交換した。
そして、しばらくサロンでマカロンちゃんを預かることにして、歌子さんは救急車で病院に運ばれて行った。
「マカロンちゃんはえらいね。ご主人様の危険をあたしたちに教えに来たんだから」
楓さんはマカロンちゃんをわしゃわしゃとなでた。いいな、あたしもなでたい。けど、大きい犬は苦手意識があるというか、素直に怖いんだよな。
そう言ったら、マカロンちゃんがジャンプして、抱っこしたままのカブラくんに近づいた。
「大丈夫。マカロンちゃんは身体は大きいけれど、とてもやさしくて賢いから、怖くないよ。静かにカブラくんを降ろしてごらん」
あたしは楓さんに言われた通り、カブラくんを地面に降ろした。
すぐにマカロンちゃんがカブラくんのお尻の匂いを嗅ぐ。
「うん、やっぱり賢いや。マカロンちゃんは、カブラくんを友達だと思っているよ。カブラくんはどうかな?」
一見すると強面のフレンチブルドッグだから、度胸があると思いきや、カブラくんは完全に腰砕けてしまっている。
「あっははっ。しょうがないよね。カブラくんはまだ生後六カ月だもんね。こういう挨拶もはじめてなのかな?」
ペットショップの裏側はわからないや、と言って、楓さんがカブラくんもなでてくれた。
ついでだから、とそのままお散歩のつづきをする。
楓さんは、カブラくんとマカロンちゃんの行動のすべてをほめて、その都度小さなおやつをあたえてくれた。
なるほど、おいしいおやつが大好きな彼らだからこそ、こうやって色んなことをおぼえさせるのだね。
あたしも頑張ってリードを引いたけど、やっぱり途中でカブラくんに引っ張られることがある。
そういう時は、その場にとまって、カブラくんが落ち着くのを待った。
お散歩も折り返しになる頃には、カブラくんもあたしも、もちろん楓さんとマカロンちゃんも、だいぶ落ち着いて散歩に慣れたようだった。
「さて。じゃ、うちに帰ろうか。歌子さん、大事にならないといいけど」
そうして浜風ペットサロンに帰り着いて間もなく、歌子さんから楓さんに電話がかかってきたのだった。
つづく




