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1ー11

 楓さんの誤飲講座はまだまだつづく。


「それじゃあ、どの食べ物が毒物にあたるか、または体によくないかは知ってる?」

「たしか、チョコレートとネギはダメなんですよね?」

「その通り。ほんの少しでも危険なことになるから、それはあたえないように。あとは、そうだなぁ」


 楓さんは上を向いて考え込んだ。


「昔の人は、ワンちゃんにみそ汁の残りを食べさせていたけど、ネギだけじゃなく、塩分も気をつけなくちゃいけないんだ。試しにドッグフードを食べてみれば分かるけど、塩分控えめにした方が、体の負担が軽いから、なるたけ薄味がいいよね。それで気にし始めるとなにがダメなのか混乱するから、うちではドッグフードやキャットフードをお勧めしているんだ」


 なるほど。たしかにあたしのおじいちゃんたちの時代にはお味噌汁ぶっかけ飯を食べさせていた、って聞いたことがある。


 そのせいかどうかは知らないけど、あんまり長生きできなかったような気がする。だって、平均寿命が七年とかでしょ?


「それから、ぐったりしていたらなにかを誤飲したか、人間より低い位置にいる動物は暑さに弱いからポンタくんみたいに熱中症になる確率があるんだ」

「動物って、とてもデリケートなんですね? 知りませんでした」


 そう言ってから、ポンタくんとカブラくんを交互に見る。ポンタくんはまだだるそうにしているけれど、危険な状態はやり過ごせたみたいだ。


「本当にねえ、動物を観察していると勉強になることがいっぱいあるよ。人間じゃないけど、きちんと感情があって、性格もそれぞれだし、犬種によっては運動量も違いがあるんだ」


 ほう。楓さんはなんでもわかっているみたい、なんて言ったら笑われてしまった。


「あたしだって一応は獣医の資格持ってるからね。ああ、あとは小さなお子さんにも言えることだけど、ボタン電池や磁石なんかもその辺に置いておくと誤飲の危険性があるから気をつけてね」

「はい、わかりました!!」


 人間と共に生きてきた動物たちだけど、あたしたち人間の都合でがまんさせたり、しつけしたりしなくちゃいけないっていうのもその通りだと思う。


「まぁ、それでもさ。やっぱり動物たちが幸せそうにしてるのを見てるだけで、あたしたちも充分幸せなんだよね」


 うん。そう思う。だから楓さんは取り立てと片付けが苦手なんだなって、腑に落ちたような気がした。


 ともかく、これからは楓さんに教えてもらって、カブラくんのしつけや散歩に頑張ろう。あたしは片付けや取り立て、雑用なんかで返してゆくしかないからねっ。


     つづく

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