【みんなの夏休み:エンディング】
翌日今度は泉の祠に行き、ラウマ像の祠を掃除した。
「大分きれいになったね!こんどセメント持ってこよう。こことか直してあげたいな」
ユアが頭から布巾を外し、それで壁も拭き上げた。
「そうですね、時々こうして綺麗にしてあげたいです」
ここにはもうラウマと繋がりがないと本人に言われていたが、二人にとっては大事な場所なのだった。
アミュアがユアに名付けられ、アミュアとなった場所だ。
そして、アミュアにとっては異世界に旅立ち、戻った場所。
何も持たないアミュアの、故郷のような場所だった。
今日は二人でソリスの墓参りをすることにした。
「もっと立派な墓石を今度もってこようか?」
ユアがそういうのだが、アミュアは笑って首をふる。
「ししょうはきっとよろこばない。わたしがこれがいいと言えば、これでいいと言ってくれる」
小さな手のひらに乗るような石を二つ積んだだけの墓。
前に来たときにアミュアが作ったものだ。
土魔法で整形した小さな風よけも付いている。
「ここから異世界にいったのです」
今日のアミュアは微笑みだけ添えて参ることができた。
胸はちくりとするが涙は出なかった。
しゃがんだアミュアのうしろで手を合わせるユア。
(異世界のお師匠様、きっとアミュアが心配でしょうね。アミュア可愛いから。でも大丈夫ですユアがずっと見守ります。安心してやすらかに)
なにも打ち合わせも報告もなく、二人は同じ事を祈るのであった。
まだ明るいので、急げば家まで帰れるねと準備していたが、アミュアがユアを呼んだ。
「ユア少しだけ時間いいですか?」
ラウマ像の前に立ったアミュア。
像とアミュアは非常に背格好が似ていた。
「どしたの?時間はいくらでも大丈夫だよ?」
頷いたアミュアがユアの手をとる。
「前にユアがおかあさまの結婚式のお話をしてくれました」
思い出したように綺麗な笑みを浮かべ続ける。
「とても素敵なお話で、わたしも羨ましいなとおもいました」
ユアはどうゆうこと?といった顔。
アミュアは何かを決意した目。
ユアも真剣な顔になる。
「これを受け取ってほしいのです」
そういって昔ユアに教わった花冠の指輪をユアに付けた。
「あは、かわいいなありがとう」
ユアもうれしそうにした。
「ユアも目を閉じて欲しいです」
そう言って眼を閉じるアミュアはもう真っ赤になっている。
どゆこと?とおもいつつ目を閉じたユア。
「わたくしアミュア=アウラ=セリオスはこのものを生涯の友とし、健やかなる時も、病める時も、互いを思いやり、支え合うことを誓います」
アウラ=セリオスは異世界の賢者、ソリスのファミリーネーム。
かつて皆伝の寿ぎにと贈られた名で、お前は私の娘だよとも言われたのだ。
ユアはぱちくりと目を開けてしまう。
アミュアもちらと目を開けてユアが目を開けていることに気づく。
「もう!目をとじててっていいました!」
アミュアにとってはあこがれは有っても、宣言がすごく恥ずかしかったのだ。
いまは頬をふくらませ顔色も戻った。
「あは、ごめんごめんびっくりしちゃって」
ぽかぽかするアミュアをきゅっと抱きしめるユア。
まだ膨れているユアの手をとり騎士の礼をとる。
「ごめんね、お返しする指輪はあとで作るね」
そういって見上げたユアがきれいなウインク。
アミュアの手に唇を落とし誓うのだった。
「わたくしユア=ルクス・シルヴァはこのものを生涯の友とし、健やかなる時も、病める時も、互いを思いやり、支え合うことを誓います」
ルクス・シルヴァは古竜シルヴァリアが勇者ラドヴィスに贈った称号だ。
父からだと、母が教えたファミリーネームだ。
かあっとまた真っ赤になるアミュア。
互いのファミリーネームに誓うことで、相手の願いをかなえるとたった一つ約束したかったのだ。
どこにもいかないよと。
その約束が相手を安らがせると信じて。
いつかのように涼やかな風がアミュアの頬を優しく冷やす。
すこしだけ甘い香りは野イチゴだろうか?
たがいに取りたいと願った手を繋ぎ前に進むのでした。
以上で「わたしの外伝あつめ」校了となります。
おわってみれば長編のボリュームでしたね(汗)
お楽しみいただけたら幸いです。
それでは次は第三部「わたしの手が届いたとき」https://ncode.syosetu.com/n9090kv/
よろしくお願いします。




