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【みんなの夏休み:第12話:これでみんななかよしです】

翌朝全員がロビーに揃うと、ミーナが移動しながら紹介し合おうと提案。

どうせ移動時間が暇になるだろうと皆が賛成して、早速出発することとなった。

レティの持ってきた馬車は本当に大きく快適だった。

タイヤに工夫が有るようで、ユアの馬車より揺れが少なく速度は変わらないくらい早かった。

座席も一つずつ大きく、余裕がある作りだ。

席は自由にとなったので、運転席の2席に侍女ズが乗って、前からユア・アミュア・ミーナ。

二列目にノアとラウマ。3列目にカーニャとレティが座った。

横の座席3つはつながったベンチ状なので、二人の所は余裕があった。

ユアが運転に興味をもち、ちょいちょいセレナとフィオナに教えてもらい、二日目には運転出来るようになっていた。

この運転指導を通し、3人は仲良くなれて、レティも喜んでいた。

ユアも運転するようになり、3交替で日夜動く自走馬車。

時々観光名所によったりしながらのんびり南を目指す。

二日目の夜には後ろの座席2列が倒されて、ぬいぐるみの宴も開催されるのであった。

これがカーニャの言ってたあれか~となりつつユアもぬいぐるみが好きになるのだった。

カーニャはユアにべったりすることで侍女達から身を守ったが、相手が違うだけでしていることが一緒だと、ちょっと自己嫌悪するのだった。

落ち込むカーニャをユアが慰める所までがワンセットだ。

実は馬車の天井はユアの馬車と一緒で、少し手すりも有り滑り止めされている。

今は荷物も積んでないので、結構夜間は星や月をみたりと活躍した。

特にノアが夜空を見るのが好きで、同じ趣味のフィオナと仲良くなれた。

そもそもノアはメイドに育てられたので、相性もよく「お嬢様みたいね」とフィオナに可愛がられた。

ラウマとレティシアは非常に波長が会うのか、特にレティシアがべったりとラウマに懐いた。

「なんだか昔のお母様みたいです」とラウマに甘えるのであった。

こうして僅か3日でポルト・フィラントに着く頃には、9名全員が各々と仲良くなれたのだった。

「この馬車を借りられて本当によかったありがとうレティ」

と最後はユアに褒められて、てれてれもじもじのレティシアであった。




「見えてきたよ!アミュア」

「おぉ青いです!どこまでも青いです!」

今日は王都を出て4日目。

不思議と一日も雨に振られず、毎日真夏の空の下気持ちの良い旅行となった。

「みて!アミュア船がいるよ!白いやつ大きいな!」

「本当です、遠いのに大きくみえる」

魔導自走馬車は完全空調で、ユアの馬車よりも隙間が少ないからかよく冷えた。

お陰で暑さに弱い者も快適だったのだ。

今日はもう少しで海が見れるからと、アミュアを乗せてユアが夜霧を駆って先行してきたのだ。

夜霧の移動速度は早く、日差しは暑いが風でよく冷やされるのでアミュアも頑張れたのだ。

「すごい大きいね!海。アウシェラ湖よりも大きい!」

「うんうん!ずうっとあっちまで続いてますね!」

コバルトブルーの青い海が、今は丘を越えて高いところにいるため、どこまでも海が広がっているのが見えるのだった。

もくもくとした夏の力強い雲が遠くの海の上を流れていく。

「あそこの木陰で休もう」

ユアが言って夜霧をあやつる。

ユアの騎乗スキルはすでにアイギスに迫るものが有り、夜霧もユアによく答えるのだった。

丘の下り斜面に大きな木を見つけ夜霧を影に入れ休ませる。

二人で分担して持ってきた組み立てベンチを作り、アミュアの生活魔法でお茶を入れた。

レティの馬車には大きな冷蔵設備もあり、生鮮食品をかなり積み込めた。

今日はそこから生ミルクをもらってきていた。

アミュアは甘いお茶が好きなので、ミルクティにして飲むのだ。

二人でベンチに座りユアの肩にアミュアがこてんと寄りかかる。

「ユアありがとう。おいしいですミルクティ」

アミュアは目を閉じてユアの温度を感じる。

「へんなの。別にあたしのおかげじゃないよミルクティは」

ちょっとくすくす二人で笑った。

ユアはミルクが入らないほうが好きだとアミュアは知っていた。

そうしてゆっくりお茶がなくなるまで二人で過ごすのであった。

皆で楽しいのもいいのだが、やっぱり最初からずっと二人だったのでユアと二人でいるのが一番アミュアは嬉しいのだった。

「こないだししょうの話しをしました」

しばらくしてアミュアが話し出す。

「とても悲しいのですが、ししょうは目的を果たし、長かった人生が終わったと喜んでいました」

ユアはアミュアの手を取り優しく包んでくれる。

ユアの肩で目を閉じているアミュアが話し続ける。

「ししょうは長い間ずっと戦ってきました。戦っていない時もたたかいのために生きたのです」

ときどきユアが「うん」とだけ相槌をうってくれる。

アミュアがユアの声を聴きたいなと思うとうなずいてくれるのだ。

「わたしは最後の時にししょうを助けたくて円環の奇跡を使ったのだとおもいます」

内側のアミュアの左手とユアの右手が結ばれている。

それは円環の奇跡をふたりが使ったときの手だ。

きゅっとアミュアがユアの手を握ると、きゅっとユアも返してくれる。

「ししょうはもういいのだと、これ以上生きたくないのだと思っていました」

すっとアミュアがユアを見上げる。

「不思議なのですが、あのとき確かにししょうの心がわかったのです」

うんとだけユアが言う。

その瞳には揺るぎない信頼があった。

安心したアミュアはまた目を閉じてユアにもたれる。

「わたしはとても悲しくて声をあげて泣きたかったのです」

ユアがつないだ手を一度離したのでアミュアはぱちっと目を開ける。

ユアは笑ってアミュアの腰を右手で引き寄せ、今度は左手をアミュアの左手に重ねる。

アミュアも残りの手もユアに添えて、目を閉じ静かに涙を流した。

声は出なかったが、アミュアは苦しくない涙が流れた。

いつも胸が苦しくて出てくる涙が、なんの苦しみもなく悲しさを洗い流してくれる。

(こんな涙もあるのですね)

アミュアは不思議に思いながら、一層ユアの熱に包まれるのだった。

薄着をしているユアとアミュアは肌が触れることで、円環の奇跡のように悲しみを癒やして行くのであった。

しばらくアミュアが涙を流し、気持ちが落ち着いた頃。

ユアはそっとハンカチをだしてアミュアの涙を拭いた。

「鼻もかんでもいいよ」

そういってにかっと笑うユア。

アミュアも笑って遠慮なくチーンと鼻をかむのであった。

かんだハンカチをスカートのポケットに折りたたんで仕舞うと、ユアは両手でアミュアをぎゅうっと抱きしめる。

「アミュアはあたしを命がけで守ってくれた。あたしも命に変えてもアミュアを守るよ」

息が詰まるほど強い力でユアが抱きしめる。

すっと力を抜いてくれたので、アミュアもユアを抱きしめかえす。

「おねがいがありますユア」

そっと耳元に小さくささやくアミュア。

「なんだろ?」

ユアの声が優しいので素直に気持ちを言えるアミュア。

「どこにもいかないで」

真っ赤になったアミュアがそう囁くのであった。

木陰であっても夏の空気は暑く、アミュアの鼓動はとても早くなるのであった。








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