表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わたしの外伝あつめ  作者: Dizzy
第1章
7/87

【ミーナ学園編:第7話:ミーナとカーニャの違い】

「姉さま!!」

立ち上がりにっこにこで手をふるミーナを見つけて、早足になるカーニャ。

「おまたせ!ごめんね報告長引いちゃって」

王都ハンターオフィスに近い外壁内のレストランだ。

カーニャが壁の外は絶対ダメというので、外壁より外のハンターオフィスには入れないミーナであった。

今日はカーニャ推奨のレストランで待つように言われていたのだ。

「全然待ってませんよ。おなかは空きました!」

と元気なミーナを見て癒やされるカーニャであった。

「じゃあ頼んじゃいましょう。ちょっとすみません」

後半は先ほど椅子を引いてくれたボーイに掛けた言葉だった。

「シェフおすすめのランチを2つ。飲み物はお茶でおねがいしますわ」

なれた感じで頼むカーニャを憧れの目でみるミーナ。

ボーイが下がってからそっと頬を染めて告げる。

「姉さまかっこいいです。大人な感じですね」

「ん?別に慣れよこんなの」

なんでもないことの様に話すカーニャが格好良く感じるミーナであった。

今度真似しようとも。

席は奥まった個室が取られており、二人には少し大きいテーブルであった。

テーブルには季節外れの真紅の薔薇が惜しげもなく飾られていた。

カーニャの名前で予約したので、最大限の配慮がなされていたのだった。

和やかにミーナの学園生活を話題に食事は進んだ。

食後のお茶に入ってから、ミーナは聞こうと思っていたことを聞き始める。

「姉さま学園では礼儀関連で苦労されませんでしたか?」

ちょっと観察するようにミーナをみるカーニャ。

特に問題なしと判定。

「どうせ王都の貴族達でしょ?脅されたかなんかありましたか?」

「正解です」

にこにこ言うので深刻そうではないな、と判断するカーニャ。

「ほうっておくと良いわ。言うほど大したことできないから」

その言葉だけでどうやって対処したかわかるカーニャの態度であった。

実力で黙らせたのであろう。

ミーナと同じで特別推奨枠で飛び級していったカーニャである。

そこいらの貴族程度では何も出来なかったであろう。

実際なにか問題になったとしても、学院側がミーナを守ることがカーニャには解っていた。

実体験として。

「そうですか‥ただ同室のさっき話したエーラなんですけど、怯えている様子でした」

しょんぼりするミーナ。

ミーナをしょんぼりさせるとは許さんみたいな炎が目に灯るカーニャ。

「姉さまが黙らせてあげるわ。なんて子なの?そのなまいきなのは」

いやいやみたいに首をふるミーナ。

「いいのです。わたしも不勉強だったのですわ。心配なのは同室の子だけなの」

「ふむ。一度ミーナが実力を見せればいいわ。見た所順調に魔力も増えてるし、そろそろ課題とか試験あるんじゃない?実技の授業もあったのではないの?」

自分が通っていた時の事を思い浮かべ質問するカーニャ。

「実は実技は回りをみて、同じくらいに成るよう調整していたのです」

じっと真意をはかるカーニャ。

「目立ちたくなかったってこと?」

「そうです。なんだか特別になるのがイヤなんです。おかしいですかね?」

ちょっと悲しそうにするミーナ。

「おかしくなんて無いわ」

にっこりするカーニャ。

「ミーナがしたいようにすれば良いのだわ。それが一番大事。ただ誰かを守りたければ強くなるしか無い。誰よりも強ければ何があっても守れるわ」

それは苛烈な意見ではあったが、カーニャの辿ってきた真実の話でもあった。

「姉さまかっこいいです」

相談事すら忘れてぽーっとなるミーナ。

クスリと笑って手を降るカーニャ。

「そんな褒められたことじゃなくてね、生きていくのが精一杯だったから私は」

余裕がなかったのよねと呟くカーニャ。

すこしだけ目を伏せたが悲しそうなそれではなく、懐かしんでいるのだなとミーナは見取った。

「私は姉さまも、アミュアも居るし。おとうさまもおかあさまも応援してくれている」

にっこりのミーナ。

「ミーナはとても幸せものです。ありがとう姉さま」

ミーナの目には決意の光。

あの日学院に行きたいと初めて言われた日の眼だった。

カーニャは我が妹ながら、これは頑固そうだなと呆れるのであった。

「どうしても困ったら、姉さまを呼びなさい。ぶっとばして差しあげますわ」

カーニャもにこりと力こぶで返すのであった。

あははとミーナも笑って楽しいお昼を過ごしたのだった。




寮にもどると、部屋のドアが少し開いていた。

不審に思ったミーナは忍び足で確認に行くのだった。

忍び足は初期のスキルといわれ、時間が有る時ユアに指導を受けていた。

練習方法を習ったのだった。

ユアはカーニャに見つかって「妹に変なこと教えないで!」と怒っていたが、ミーナは面白くて練習を続けていたのだった。

ドアに近寄るとエーラの声が聞こえた。

(エーラ泣いている?)

チラと右目だけだして室内を確認。

拙いが斥候の動きである。

すっすって感じで一瞬だけ右目で見た映像を、戻ってから考えるのだ。

(エーラ1人だけ、室内に乱れはない)

それだけを見取ったミーナは、一旦時間を置くこととした。

晩ごはんの時間にはまだまだ有るのであった。





一階のレストランは食事の時間以外は談話室として機能する。

自由に利用して良いのだ。

セルフサービスだが、各種お茶類も準備されていた。

ただし授業の一環として、お湯は自前の生活魔法で作らなければいけないルールはあった。

実はミーナは生活魔法が得意ではないので、ちょいちょい練習をしていた。

今日も時間が悪いのか、誰も居ない談話室で1人練習してお茶を入れるのであった。

(むう、せいぎょせいぎょ)

ぷるぷる手が震えるが、なんとかこぼさずにお茶が準備できた。

こうゆう手元の作業をするとミーナはより目になって、唇を噛み口がへの字になってしまうのが、自分では解らなかった。

(できました!)

にっこりして席まで運ぶミーナ。

誰も見ていなかったので可愛さの無駄遣いかと思いきや、談話室の入口近くで男子生徒が5人ほど鼻血をだし別の生徒に運ばれていくのであった。

てえてえが防御を超えて刺さったようだ。

談話室兼食堂の入口側は一面ガラス貼りなのであった。

そもそも飛び級入学で13才のミーナ。

元々小作りの体のパーツに、ちょっと肉付きが良くなって健康的なのだ。

容姿だけでもファンクラブ必須の素材であったが、仕草が可愛いと学内でもベスト5に入る男子の人気を集めていたのであった。

ミーナの気持ちとは裏腹に。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ