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【ミーナ学園編:第6話:トラブルはトラブルとセット】

今日は授業が始まってからミーナには初めての休日であった。

エーラも誘ったが、用事があるのでと断られたので1人で出かけてきた。

お昼ご飯はカーニャと食べる約束になっていたので、それまで何処かで時間を潰そうとあちこち散歩することにした。

「エーラなんだか最近元気がないな‥‥心配だけど何も教えてくれない」

少し淋しいのと、心配なのが独り言として漏れた。

(あのお昼休みの警告からだな、きっと)

心当たりも有るのだった。

そうしてぽてぽてと歩いていると、大きな建物の前に出た。

図書館と看板が出ていた。

(そういえば、学生証で入れる施設の説明に、有った気がするわ図書館)

なにげない気持ちで中に入ろうとして、出てくる集団に気づく。

(あちゃあ。面倒なのと会ってしまったわ)

それは私服すがたのレティシアと、いつもの黒服侍女の二人であった。

くるりと逃げ出そうとしたら、声がかかった。

「ミーナさんですね、御機嫌よう」

綺麗なカーテシーで会釈するレティシア。

ああそうだと思い出したミーナは頑張ってスカートを持ち上げ拝礼を取った。

「御機嫌ようレティシアお嬢様。お声を有難うございます」

先日の警告からミーナは王都の礼儀作法を書物で学んでいた。

上位の家格者には拝礼がふさわしいと書いてあったので、図を見て同じ姿勢になってみたのだ。

セレナの青筋はきれる寸前であった。

フィオナもむすっと顔をしかめる。

下手くそ過ぎてバカにしているようにも見えるのだが、懸命な拝礼ともとれて文句が言えないのだ。

「お嬢様に置かれましては先日の非礼を、お詫びいたします。無知な田舎者のすることとお忘れください」

言葉自体には敬意もあったので、スルーする侍女二人。

「気になさらないでねミーナさん。それでは失礼いたします」

丁寧な中に威圧を含めた調子。

訓練された下のものとの会話であった。

動かず、頑張って腰で姿勢を支えているミーナを残し立ち去る3人。

そろそろ行ったかな?とチラ見してから、起き上がるミーナ。

「これはもう少し訓練がいりますね。見逃してもらえている内に身に着けないと」

腰をぽんぽんして無理な姿勢から開放されたミーナ。

後ろからまた別の者がでてきて話しかけた。

「こんにちわお嬢さん。なかなか面倒なお知り合いのようでしたね?」

くるりと振り返り状況確認。

知らない男が話しかけてきた。

これは逃走か成敗とカーニャの指示書に回答が出ていた。

どちらも叶わなければ大声で助けを呼ぶ、とも補足されていたはず。

ジロリとミーナは睨みつける。

こいつは強いのかな?逃げたほうが良いのかな?の視線である。

「ちょっとちょっと、怪しいものじゃないよ?僕も学院生だから。君知ってるよ、先日編入してきた子でしょ?ミーナさんだっけ?」

初期設定にあやまりが有ったかと再度観察することにしたミーナ。

「どちら様でしょうか?」

最大限の警戒が含まれた質問。

答えによっては大声だしますよ、といった雰囲気だ。

「ごめん待ってよ?なにもしてないししないからね?そんな怖い目で見ないでほしいな?」

すっと綺麗な立礼から名乗る男。

「はじめましてミーナさん。僕はリオネル。魔法学院の2年生だよ」

ぱちっとウインクも飛んできた。

ミーナの警戒レベルが一段上がるのであった。

「こないだの全体集会で段に上がったじゃない?自己紹介してくれたよね?」

ん?っとなりこれは本当に知り合いであったかも知れないと考え直したミーナ。

「2年生ということは先輩さんでしたか?失礼いたしました」

軽い立礼を帰し、警戒レベルを下げるミーナ。

あ、っと思い出しさらに質問。

「拝礼したほうが良いでしょうか?」

ここは王都だったと思い出したのだった。

その質問自体が非礼だとはきづかないミーナがとてもかわいらしく感じたリオネルが返答。

「僕は礼儀を人には求めないよ。敬意は自然と形に現れるものと思う」

にっこりと微笑んだが、ミーナには寂しそうと見えた。

「有難うございますリオネル先輩。素敵な考え方だと思いますわ」

思い出したように丁寧に話すミーナ。

最近言葉が乱れておりましたわと反省した。

にっこり笑うリオネル。

今度はちゃんと笑ったとわかるミーナも笑顔を返す。

「では御機嫌よう」

笑顔のカーテシーである。

「いや?!ちょっとまって会話になってないですよ?今から会話が始まる所だったじゃないですか?」

「いえ、姉から知り合いの男性でもあまり長く一緒にいないようにと注意されておりますの」

「厳しすぎないですか?お姉様。お話してもなにか悪いことは起きたりしませんよ?」

あわあわと慌てるリオネル。

それがちょっと面白かったのでまた笑顔になるミーナ。

お、これは脈ありと思ったか勢いに乗ったリオネル。

「なんだか困っていたみたいだったので、声を掛けちゃったんですよ。レティシアとなにかあったのかい?」

ちょっと上の方に一度視線を流し、ああと思い至る。

「いえ、ただ侍女の方達に怒るぞと脅されただけです。あ、違うかも次やったら怒るだったかもです」

にっこり告げるミーナ。

「わたしの礼儀がなっていないもので、お嬢様にご不快をおかけしたそうです」

世間話のようにさらりと深刻なことを言うミーナに驚くリオネル。

「なんだか‥困っていなそうですね?レティシアは知り合いなのでもしも困ったら僕を訪ねると良いよ」

男子寮に言えばいいと告げ去っていくリオネル。

お辞儀して見送るミーナは考えていた。

(お嬢様を呼び捨てて、なんとかするとは。もしや偉い人だったのでは?リオネル先輩)

いまさらに思い至ったミーナであった。

まいいか、とそこで考えるのを辞めるのは、間違いなくアミュアかユアの影響であった。




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