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【ミーナ学園編:第14話:常設依賴で評定されます】

先週に模擬戦闘試験が実施された。

トーナメント形式に割り振られ、勝てばもう一試合となる。

24人中4人が棄権したので、一年は20人で競った。2戦おわり勝ち抜いた5人から通年成績上位者をシードとした。

レティシアがシードされ、2戦して勝ったミーナと最終戦となった。

デバフ装備で威力を落とし、結界防御魔法は通常作動する。

結界の削り合いが本質となるのが普通だが、決勝のレベルは高くこれ以上は危険と判断され引き分けとなった。

ミーナの炎魔法をレティシアはよく防ぎ、相性差があったがレティシアの水魔法も回避を織り交ぜミーナもよく戦った。

火は水に弱いのだった。

最後には学院では指導していない、レビテーションを披露したミーナだったが相性差があり苦戦した。

それでも引き分けたミーナが上だとは誰の目にも明らかであった。

「ミーナさん、とてもお強いですわ。わたくしの負けでした」

にこっと笑ったレティシアが思いがけず可愛らしくびっくりするミーナ。

「おじょうさまにおかれましては‥ええと。強かったですよ?おじょううさまも」

ちょっと思い至らず適当な礼儀になったが、決勝の会場には二人しか居なかったので、侍女達にはバレなかった。

決まり事となっているので、試合後には握手をする。

レティシアは思いがけず小さいミーナの手に、お人形さんみたいで可愛いなと感想を持ったが。

ツンとした表情はなんとか保つのであった。

実はミーナはレティシアを疑っていたのだが、今日戦ってみて彼女は関係ないと確信した。

(エーラをまた脅した人がいる。侍女ゆるせない)

侍女達は生徒ではないので、授業を観覧しても参加しない。

参加していたらぽこぽこしてやったのになとミーナは思っていたのだった。

エーラが辞退すると言い出したときはとても心配だったが、エーラ自身が納得の上と言うので、それ以上追求しなかったのだ。

ミーナも学院の評定は理解していて、戦わなくても優秀なエーラが卒業できると知っていたのも有る。




エーラはレティシアの部屋を尋ねていた。

前室からでたフィオナが廊下で対応した。

室内の応接にレティシアが居たからだ。

「お返しに参りました」

しっかりフィオナを見返したエーラの瞳には決意が有った。

これは曲げるまいなと判断したフィオナが受取、礼を述べた。

「落とし物を届けていただきありがたい。礼をのべよう」

高圧的なセリフにも、気持ちを乱さないエーラは黙って礼をして下がろうとする。

そこで思い立ったように、考えていたセリフで続けるフィオナ。

「そういえば、来週には課外授業があるな。たしかあれも実技評定だし辞退者も多かった」

背中で聞いたわざとらしいセリフに、一瞬立ち止まったエーラはそのまま振り返らずに階段へと向かうのだった。

「毎年けが人も多いと訊くが、お気を付けたまえエーラ嬢」

笑いを含んだ脅しが追い打たれた。

これには足も止めずに進むことが出来た。

唇を噛み締め血が滲んでいたが、瞳にはもう負けないぞと言う決意が有った。




今日はハンターオフィスに一年生が集まっていた。

辞退者は出ずに、24人全員で来たのであった。

実際には侍女が二人いるので26人だが。

引率の教師に従いオフィス2階の会議室に入った。

オフィス側の担当者も先生と共に現れ、壇上に上がる。

教師から説明が始まる。

「資料を読んできていると思うが、今日は外部試験で討伐任務を行う」

ざわざわと騒ぎ出すが、教師の横に居た体つきの良い壮年の職員が咳払いをすると静まった。

かるく威圧の気配も有ったのだ。

命のやり取りを日常しているハンターに睨まれては学生ごときでは抗いようもなかった。

「失礼しました」

と教師が職員に詫びてから説明は続き、途中からは引退したハンターだと名乗る壮年の職員からも説明と注意点が換気された。

命が惜しいなら言う事を聞けよと。

王都から半日ほどにダンジョンと言われる魔窟があるのだ。

そこには不思議なことに倒しても倒しても魔物が湧くのだ。

あまり強いものは出ないが、ほうっておくと近隣の村や町に被害が出るので、ハンターオフィスに間引きの依頼が常設されていた。

「さて、諸君には4人一組になってもらいパーティとする。1パーティに1人引率が付くのでまずは4人にわかれてくれ」

オフィス職員はそう告げると教師に黙礼して去った。

引率担当者を連れてくるのだ。

ざわざわと一気に騒がしくなるが、教師がんばって声を上げる。

「静かに!事前に分けたように班に分かれるように。ここから評定は始まっていますからね」

そこまで言われたら騒ぐわけにも行かず、テキパキとわかれるのであった。

ミーナはエーラと共に隣の部屋の二人と組まされていた。

「よろしくお願いします。おとなりさんでしたよね?」

にっこりのミーナは寮内でも人気をあげて来ていて、以前ほどの距離感はない。

「こちらこそ。よろしくねミーナちゃん」

なごやかに女子4人で集まったのだった。

侍女は流石について行けないので、教師達と回るようだ。

レティシアは取り巻きの女子に囲まれている。

ですわですわと回りが騒がしいようで、ツンとしている。

がちゃりとまたドアが開いて、いよいよ現役のハンターが入ってくる。

常設の間引き依賴はD級なのでDランク以上のハンターであろう。

若いのやら中年やらいるがどれもいかつい男だった。

はいってきた5人目をみて部屋に悲鳴があがる。

「きゃーーー!!カーニャさまだわ!」

「素敵です!結婚して!!」

「ああ、おかあさまお許しを!」

「うばってーー!!」

などと騒ぐのは女子たち。

無表情で立っていたカーニャがミーナを見つけるとパチっとウインク。

また悲鳴があがり二人ほど倒れたようだ。

ミーナは冷や汗が背を伝った。

(姉さまの破壊力が想定の遥か上だったわ)

ざわざわとさわぎわ収まらず、教師たちも職員でさえも苦虫顔だ。

「なぜAランクのカーニャさまが?!」

「ま、まさかご一緒できるのか?!」

などと男子も結構な盛り上がりであった。

これは先が思いやられますとミーナはちょっとしょんぼりするのであった。





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