四話 狐人の女の子
「すごい傷ほんとに治ってる」
(ほんとにただの『ヒール』だったのにすぐ治ったなファル様ありがとうございまーす。)
と心のなかで感謝した。
「えっとさ、レファはどこから来たんだ?」
「わかんない」
と答えたあとぐぅ~と可愛い音が聞こえた。
「ご飯作ってあげるから少し待ってて」
「材料ないよ?」
「大丈夫。『アイテムボックス』」
と俺は魔法を唱えた。
「えっと、今あるのはこれとこれと⋯」
「アイテムボックスってすごいんだね」
「確かに便利だな」
今、俺が使っているのは『アイテムボックス』空間系魔法だ。本来は中で時間が流れるから食べ物は入れられないんだけど時間魔法を使って中での時間は止めてあるから、食べ物を入れ放題ってわけだ。
そうして、中から調理器具もだして料理を始めた。
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「できたぞ」
「なにこれ?」
「これはカレーっていうんだ美味しいから食べてみて」
「うん。ノアが言ってるんだったらきっとおいしいと思う」
とスプーンを握って一口。
「おいしい」
とレファは声を漏らしていた。
「それはよかった」
にしてもすごい勢いで食べるな。
「おかわり」
「ちょっと待ってろ。はい、落ち着いて食べろよ」
そうして、気がついたらカレーはなくなっていた。
「おいしかった。ありがとう」
「どういたしまして。ところで、レファはこれからどうするんだ?」
「行く当てない⋯」
そうだよな。子供一人で帰る場所ももうないんだから。
「なら、一緒に来るか?」
「いいの?」
「もちろん、いいぞ。あ、でもこれ被っとけ」
と着ていたマントをレファに被せた。
「狐人は珍しいから目立つだろ。だから、耳と尻尾は隠しておいたほうがいいと思うんだけどどうかな?」
するとレファは少し首を縦に振って合意の返事をした。
「ねぇ、ノア。どこに行くつもりなの。私ずっとついていくよ?」
と少し可愛く言ってみせた。
ノアには効果はなかったみたいだが
「一番近くのヴァリスっていう街だな。ちょうどその街に頼れる知り合いがいるんだ」
というわけで目的地はヴェリスだ。
「なにか個人を特定するものはありますか?」
「はい、冒険者カードでお願いします」
「その子は?」
「あー、この子は俺の知り合いの子なんです」
「まあ、あなたなら大丈夫でしょう。実は私の友人が、あなたに助けられているんですよ」
「どこの街ですか?」
「いえ、王都ですね。困ってたところを助けてくれたと言ってましたよ」
「そうですか。覚えてもらえてるなんてうれしいなぁ」
「夢の結晶の皆さんは」
「あー、俺クビになちゃって」
「そうですか⋯ソロなら気をつけてください」
「何がですか?」
「いえ、最近ソロだと危険が多いので気をつけてください。では、お入りください」
と門番さんは通してくれた。