十六話 人魔戦争の過去
「結論からいいますと、私は魔王に封印されたのじゃ」
魔王?あの魔族を従える魔王だろうか?
「私は約三百年前の人魔戦争において人間側につき戦いたんじゃ。そうして、なんとか勝利をつかむことができたんじゃが⋯」
「何かあったんだな」
「ええ、魔王の残滓が私に呪いをかけていきたのじゃよ。ノアがやすやすと解呪した呪いは魔王の命が乗った呪いだったからの、もう大人しく死を待つしか無か
ったんじゃが」
要するにまたやってしまったわけだ。
「今となっては過去の魔王の歪む顔が想像できますわ」
ミリスは高笑いをかました。
「呪いはいいとしてどうしてこんなところに?ここは最近できたダンジョンのはずだけど」
「それについては。私が隠れるために来た時は山の中にあったはずが、急にこのダンジョンは移動してここにいた」
ダンジョンは分からないことだらけと言われているだけ不思議なことが起きてもおかしくないだろう。
「ですか、私も運がよかった!ノアに会えたのだからな」
「そ、そう?」
別にたまたま来ただけなんだけどな⋯
「でだ、もし街に戻るなら戦う準備をしておくほうがいい」
「どうして?」
「もうすぐここではダンジョンブレイクが起きる」
ダンジョンブレイクそれは、魔力を溜めきったダンジョンが魔物を抱えきれなくなり、魔物達が外に出てくることだ。
「その証拠のゴブリンがやたらと多かったじゃろう?普通そんなことにはならないんじゃ」
その様子のミリスは嘘を言っているようには見えなかった。
「急いで戻らなきゃ!レファ戻るよ」
と暇つぶしに探索していたレファを呼び戻して戻る準備を始めた。
「戻るなら、私が連れて行ってやろう。ちょうどいい魔法がある」
「なら頼む」
「相わかった。『ポータル』。これは外につながっておる、はよくぐれ」
流石世界の守護者というだけある。
ポータルをくぐれば、そこはダンジョンの外だった。
そして、三人はその緊急の知らせを伝えるために急いでギルドに向かった。




