十二話 ゴブリンの集落
ノア達はダンジョンを突き進んでいた。
「さっきのゴブリンの件もあるから、集落を警戒しておこう」
「わかった。でも、その心配はもういらないかも」
とレファは指で前の方を指した。
「ゴブリンの集落⋯やっぱりあったんだ」
そこにあったのはゴブリンの集落だった。
「流石に二人じゃ厳しいから、バレないように行こうと」
「でも、道は真っすぐしかないよ?」
確かにここは一本道だ。でも、それは普通の人にとって。
ノアにとっては違うのだ。
「大丈夫。ちょっとした便利魔法があるから」
とノアはある魔法を唱えた。
『ステルス』
これは名前の通り透明化する魔法だ。上級の冒険者達は魔力の痕跡が見えるので効果がないがゴブリン程度ならバレることはない。
「今、俺たちは透明化してるんだ」
「私ノアの事見えるよ?」
と困惑顔でレファは聞いてきたのでノアは
「術者とそのかけた相手には見えるんだよ。味方同士見えなくなったら不便だろ?」
「確かに」とレファは感心しながら言った。
「じゃあ、行こう。念の為走り抜けるよ」
ノアはレファの手を引いて集落の中を突っ切った。
「すごいほんとにバレなかった」
「言ったでしょ?あと帰りのために数は少し減らしておこう」
『ファイヤーボール』
そこには直径3メートル以上の大きさの火球が生み出されていた。
そんな物が飛んだ先は悲惨なことは目に見えている。
事実、ゴブリンの集落は一撃で全損にまで追い込まれていた。
「は?」
ノアはその威力に驚きを隠せなかった。
(前はもうちょっと弱かったよね?おかしいな)
とノアは苦笑いするしかなく、顔は引きつっていた。
元々大きさは魔力操作力で変わるので変わっていない。変わったのはあくまで威力だった。魔力量がなんたって百万倍になっているのだから。
威力は実質数千倍。元から適性がレベル10、魔力量が少ない割に高威力の初級魔法?を連発していたノアが魔力量が多くなるとこうなるのである。
「ゴブリンの集落なくなっちゃった」
「ノアすごい。あれほんとに『ファイヤーボール』?」
期待するようなキラキラした目で俺を見ないでくれ⋯
私初級魔法しか使えないんです⋯
トホホ
「まあ、ともかく先に進んでいこう」
ハハハと笑いながらノアは強引に話を切り上げて先に進んでいった。




