十一話 ダンジョン調査
「少しやりすぎたかな?」
「ノア、ちょっと怖かった」
二人は今さっきの出来事の話をしていた。
「ところで、戦闘のことだけど、俺が前衛をするよ」
「ノアは魔法使いじゃないの?」
「魔法使いだよ。でも、ちょっとだけ戦えるんだ。見てて、『物質創造』からの『錬金』」
ノアは『物質創造』で前世の知識を活かした硬くて軽い合金を生み出し、それ『錬金』で二つの短剣にした。
「おー同時に行使するなんて、ノアすごい!」
もしこの光景をグレイが見たら泡を吹いて倒れていただろう。
本来、人間は魔法を同時に行使することはできない。
しかし、ノアはそれを当たり前のようにしてみせたのだ。
「そうなの?」
(昔試した時は三十くらい同時に行けたけどな⋯)
「ノア!」
「そうだね」
二人は何かの気配を感じ取って臨戦態勢になった。
「ゴブリンの群れか。『サーチ』⋯百五十ぐらいいるな」
(ゴブリンの群れにしては多すぎる。ゴブリンの集落でもあるのか?)
「ノア、私もう、戦っていい?」
「ちょっと待って。『オートヒーリング』『マジックブースト』『プロテクター』『クイック』」
ノアは今持ち合わせている援護魔法をレファにかけた。
「すごい。力が湧いてくる」
「一時的だから、気をつけてね」
「じゃあ、行くよ」
「うん!」
俺はゴブリンの群れの中に飛び込んでいき色々魔法を打ちこみながら戦った。
「『ウィンドカッター』『アイスレイン』『ホーリーアロー』はあ、はあ、きりが無い」
(魔法のオンパレードだな⋯レファは大丈夫そうだ。)
レファはどうやら『未来視』を使いながら戦っているようで被弾することはなさそうだ。
「こうなったら。『融合』!」
今回合わせるのは数を減らしたいから⋯
「風と雷を合わせれば⋯できた!『サンダーストーム』!」
その黒い竜巻は全てを飲み込んでゴブリンたちを吹き飛ばしていった。
(威力強すぎでしょ⋯)
とノアは呆れるしかなかった。
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一方その頃、夢の結晶はというと
「サーシャ回復だ!回復はまだか」
とロウッドは怒鳴り散らかしていた。
「今、やってるよ」
「一向に敵の数が減らないじゃない」
「おい、新人お前も回復魔法を使え」
とノアの代わりに新しく入ったメンバーを怒鳴りつけた。
「あんた何いってんだ!一端の魔法使いは回復魔法なんて使えるわけないだろ」
「何言っちゃてるわけ?ノアは普通にやってたんですけど」
「そいつほんとに魔法使いか?」
そんなことをしてるうちにも魔獣達は近寄ってくる。
「あークソ。魔法使い早く攻撃しろ」
「今、詠唱してるだろ」
「早く!」
「クッソ『ファイヤーランス』」
そう言うと中にいくつかの槍が形成された。
「き、効かない」
炎の中から無傷の魔獣たちが出てきた。
「ふざけてるのか?なんで初級魔法なんて撃つんだ」
「あれは中級でも威力が高い『ファイヤーランス』だぞ」
「お二人ともケンカは後でお願いします」
「クソぉ!どうしてこんな目に」




