百十一話 カミとヒトの賭け3
この『深淵』が指しているはまずどこなのか考えることになった。
「深淵ということは地下ということでしょうか?」
「うーん、どこの地下なのかがはっきりとわからないよ」
せいぜいほかのわかることで役に立つのは誰かとそこで出会い感謝する出来事があったてことだけ。
⋯地下地下
地下に潜る⋯地下で出会う⋯
「あー!わかった!」
レファが急に叫ぶものだからみんなびっくりしていたがもうわかったことにも驚きだ。
「昔、ヴェリスにできたダンジョンでミリスと出会ったの。それでその時ミリスはダンジョンブレイクを察知して教えてくれたんだよ!」
「つまり、『深淵』とはダンジョンのことで、出会い感謝したという部分は『ダンジョンブレイク』を察知したことに対してということか」
アルフォードは聞いた話を頭で整理して簡単にまとめたあとわかりやすく説明した。
「じゃあ、まずミリスを呼んでこなきゃ!」
レファは部屋の窓から飛び出し、屋敷の方向へと飛び立った。
「魔法は使ってはいけないんだがな⋯」
アルフォードは法律フル無視の行為に苦笑いを浮かべた。
「ミリスー!」
勢いよく、飛びながら屋敷にいるミリスに向かってレファは叫んでいた。
「ん?外からレファの声が聞こえたような気がするが勘違いかの?」
「やばい!ちょっと止まれなーい!」
本来なら壁にぶつかってガーンと大きな音を鳴らすはずだったがレファの体は風で包まれ、勢いをおさえられたあとゆっくりと地面に降ろされた。
「全く何をしているのじゃ⋯ノアが帰ってくる前に屋敷を壊す気か?」
「ミリス今すぐ来て!移動しながら説明するから!」
とミリスの腕を掴みグッと引っ張った。
「ちょっと待つのじゃ。今ネフィラが買い出しに出ておる。帰ってきたら誰も残っていないのはいささかなものかと思うぞ」
「そうだった。うーんなら置き手紙。置き手紙を置いておこう!それでいいよね」
と急かすように早口で言った。
「あ、あぁ、別にいいのじゃがどうしてそこまで急いでいるのじゃ。とくに何かあったとは聞いていないが」
とミリスはレファに背を押されながら戸惑っていた。
「実はノアが目を覚ましたの⋯」
「おぉ、いいことではないか。どうしてそんな暗い顔をしているのじゃ?」
ミリスは俯くレファを見てそういった。
「今のノアには記憶がないんだよ。なんにも覚えてない。ほんとに別の人になっちゃったみたいになちゃったんだよ⋯」
「そうか⋯目覚めただけでも奇跡と思わなければいけないのじゃな。聞いた話では目覚める方法はないと聞いていたが⋯」
尋問という名の拷問じみた脅しで情報を得てから今日でちょうど一週間たっていた。
その時に目覚める方法はないと聞いたため別の方法を探っているところだった。
「とにかく手紙を書いたらすぐ行くよ!」
「わかったから待っておれ」
そういってミリスがリビングに置き手紙を済ませて二人は王城へと向かった。




