九話 これから先の⋯
「そういうことか。お前はパーティを追い出されて仕事がないわけか」
「まあ、そうなります」
「でもなんで彼奴等はノアを追い出したんだ?」
「それは俺が役立たずだから⋯」
「違うだろ。あの中ではお前が一番強はずだ。1年前あった時はそう見えた」
「何言ってるんですか?俺は初級魔法ぐらいしか使えないんですよ」
「なら、『ファイヤーボール』をだしてみろ」
「いいですけど⋯」
とノアは『ファイヤーボール』を出した。
するとグレイは呆れたかのように溜息を出した。
「あのな、ファイヤーボールは本来もっと小さいんだ」
ほらと、グレイは『ファイヤーボール』をだしてみせた。
それはノアの十分の一にも満たないサイズだった。
(ずっとこのサイズで違和感なんてなかったけど)
「そしてだ。どうして、詠唱破棄してやがる!」
「みんなできるんじゃないんですか?」
「まじかよお前⋯普通初級魔法すら、詠唱がいるんだぞ」
そう、ノアは異常だった。
それはファルに原因がある。
あの時、ノアに付与されたのは全属性適性だけ
ではなく、詠唱破棄や威力増大、消費魔力量減少などなど表記されないだけでかなり付いていた。
ノアはそれを知らなかったのでそれが普通だと思っていた。
(ファルやりすぎだよ!)
とテヘっと頭に手を当てている女神が見えた。
「ともかくだ。仕事はどうにかしておく。お前王都の学園に行かないか?」
「そんなことよりこの子のことです」
「そんなことってな。お前⋯」
王国の誇こる学園がノアにとってはそんなことになってしまった。
「この子のことで相談したいんです」
と言い切ったあとレファは不安そうに俺の服の裾を引っぱた。
「大丈夫。一人にはしない」
「その子に何があるんだ?普通の子にしか見えないが」
「ちょっと待ってください」
とかけていた幻影魔法を解いた。
そうすると、綺麗なきつね色の尻尾と耳が今までそこにあったかのように出てきた。
それでグレイは全部察したようだ
「そういうことか。その子をどうしたいんだ」
「連れていきたいです」
「なら、王都に行くべきだ」
「どうしてですか?」
「王都ではそういう差別もないし、狐人だって普通にいる。だから、狙われることはないだろう」
「そうか」とノアは安心した。
「でも、そこの嬢ちゃんは可愛い子だから狙われちまうかもな」
と笑っていた。
「演技でもないこと言わないでください⋯」
とノアはグレイを蹴った。
「いってぇ」と聞こえてきてなどいない。けしてだ。
「じゃあ、こっちで金を稼いでから、一カ月あとの学園の入学するってのはどうだ?」
「でも、勉強なんてしてないし⋯」
グレイはチッチッチと言ったあと
「俺が推薦状を書くそれで筆記は大丈夫だ。実技はまあ⋯大丈夫だな」
「なんだその間は」
「よし、ところでそこの嬢ちゃん名前は」
「私はレファ」
「そうかレファよろしくな」
とグレイが手を伸ばしたところレファは俺の後ろまで逃げてしまった。
「おじちゃん辛いぜ」
「悪い人じゃないのは分かるけどちょっと怖い」
「ですって」
「ガチで辛い」
とうなだれていた。
「切り替えよう。俺からの依頼だ。最近近くにダンジョンが出来たんだがまだ調査が終わってなくてな。調査を依頼させてもらう。もちろん拒否もできるぞ」
「わかりました。受けます」
とノアは二つ返事で了承した。
「よし。何か質問があるか?」
するとレファが手を挙げた。
「はい。レファちゃん」
「私も冒険者になりたい」
「それは質問じゃないが年齢的に⋯」
レファはやっぱり幼く見えるのだろうか?
「レファは十五歳だし、そこら辺の冒険者よりステータスは高いぞ」
「なら、問題ないな。明日ギルドに顔をだしてくれ。手続きは俺がしよう」
「助かるよ」
グレイが直接やってくれるなら問題も起きないし安心だな。
「じゃあ、明日から正式な依頼だ。よろしく頼む」
とだけ言ってグレイは帰っていった。
「レファよかったな」
「うん。私も冒険者だよ」
最高の笑顔で嬉しそうに言った。
「今日は遅いし寝ようか」
そうして、二人は眠りについた。




