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ログインガチャ:選ばれた運命、進むべき道  作者: 紅月ヨルカ


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選ばれた運命

ファクトは、亜里沙が衝撃波を跳ね返した光景に、目を輝かせて歓声を上げた。「良かった~!亜里沙、消えなかったんだね!」その笑顔は、まるで子供のように無邪気で、心の底から安堵しているようだった。

「ねえ、今度はどっちかが消えるまで戦わない?行くよー!」ファクトは、亜里沙の返事を待たずに、再び衝撃波を放った。その衝撃波は、先ほどよりも遥かに強力で、周囲の空間を歪ませるほどのエネルギーを帯びていた。

「ちょっと待ちなさい!まだ何も言ってないでしょう!」亜里沙は、咄嗟にラケットを構え、衝撃波を打ち返した。そのラケットは、どこからともなく現れた、光り輝く神々しいものだった。

「えへへ、ごめんねー!」ファクトは、楽しそうに笑いながら、亜里沙の打ち返した衝撃波を迎え撃つ。「でも、亜里沙、短期間ですごく成長したねー!大人でも成長するんだー?ねえ、そのラケット、どこから出したのー?」

「私は特別なんです。」亜里沙は、余裕の笑みを浮かべ、ファクトの問いには答えずに、再び衝撃波を打ち返した。

二人の間では、会話と衝撃波のラリーが何度も繰り返された。その度に、周囲の空間は激しく揺れ、まるで世界の終末が来たかのような光景が広がった。

「そろそろやめませんか?」亜里沙がそう提案すると、ファクトは少し残念そうな表情を浮かべた。「えー、まだこれからなのにー!」

それでも、ファクトは衝撃波の軌道を巧みに操り、亜里沙が打ち返せない場所へと放った。亜里沙は咄嗟のことに反応できず、衝撃波は彼女の横をすり抜け、銀河の彼方へと消えていった。

「やったー!私の勝ちー!」ファクトは、両手を上げて飛び跳ね、勝利を喜んだ。

「あはは、すごいね。そういうゲームだったの…?てっきり、どっちかが消えるまで戦うのかと思ったよ。」亜里沙は、安堵の表情を浮かべながら、少し呆れたように言った。(もしかして、私がやめたいって言ったから終わらせたのかな…?じゃあ、本当に遊びたいだけ?)

亜里沙の表情を見たファクトは、彼女に近づき、楽しそうに言った。「何、終わったーって顔してるの?今から違うゲームするよ!私が飽きたから、違うゲームにしようと思ってさ。次はねー、追いかけっこねー!5秒数えるから逃げてねー!1、2…」

ファクトがそう言い終わる前に、亜里沙は音速で逃げ出した。(さすがに、この速さなら大丈夫よね?)しかし、背後から「5ー!」という声が聞こえたかと思うと、すぐにファクトが追いついてきた。

「もしかして、それが全力なのー?せっかくだし、もっと早く飛んでよー!」ファクトは、亜里沙を煽るように言った。

「あなたって、本当に早いのね!じゃあ、本気出すよ!」亜里沙は、今度は光速で逃げ出した。

「あー、それで限界かー。」ファクトは、亜里沙を追い越し、彼女の前に回り込んだ。「追いかけっこも私の勝ちー!まだまだだねー、亜里沙。」

「本当にすごいね、ファクトは…。ゲームなら負けないんだけどな…。」亜里沙がそう呟くと、ファクトは目を輝かせて尋ねた。「え?ゲームってどういうの?面白いの?」

「うん、面白いよー。今度一緒にやろうか?ファクトなら、すぐに上手くなると思うよ。コントローラーが持てたらだけど。」亜里沙がそう言うと、ファクトは残念そうな顔をした。「そうなんだ…。道具は持てないかも…。じゃあ、今度は鬼ごっこしよー!私が逃げたらつまらないから、亜里沙が逃げてねー!今度は視界から消えたら追いかけるねー。亜里沙がトロいからさー!ほら!さっさと逃げてー!」

「相変わらず、人の意見を聞かない子ねー。まあいいよ、逃げるね。今度はもっと早くねー!」亜里沙は、再び全力で逃げ出した。

一方、ウラヌスたちは、モニター越しに二人の様子を観察していた。

「あれは何をしているの?神が全力で遊んだらこうなる、というのを見せられているだけ?」ウラヌスは、呆れたように言った。

「あれがもし、ファクトの希望なら、亜里沙はそれを叶えようと頑張っているのかもしれないわね。ウラヌスやアルティアなら、どうやって倒すかしか考えないでしょうけど、亜里沙は違うみたい。ファクトの願いを叶えて、戦い以外で解決しようと考えているのよ。」ガイアは、モニターをじっと見つめながら言った。

「お言葉ですが、遊んでいるだけでは勝てません。それに、遊びでも勝てていませんし、このままではまずいのでは?何も解決していない気が…。」クロノスは、不安そうな表情を浮かべた。

しかし、ヴィスティーは涼しい顔で言った。「もし、私の元に来たのが亜里沙じゃなかったら、再構築などせずに人形のまま処分していましたよ。でも、そうしなかった。なぜだと思います?」

「それって、未来視でこうなるってわかったから?」エリスが尋ねると、ヴィスティーは意味ありげに笑った。「ふふふ、ただの気まぐれですよ…。でも、私の命を狙いに来た割にはドジだったから、つい助けたくなっちゃったの…。」

ヴィスティーは、亜里沙と初めて会った時のことを思い出していた。武器を構え、「あなたを殺します。恨むなら、私を恨んでください。」と言う亜里沙に、ヴィスティーは笑いながら言った。「あなたが来るのはわかっていました。結論から言います。やめておきなさい。あなたでは私を殺せない。それでも来るって言うなら容赦しないぞ。それにしても、あなたの武器ってそれでいいのー?」亜里沙が手にしていたのは、どこかの旗だった。亜里沙は動揺して、「どうしよう…どうしよう…」とキョロキョロしていた。

「ふふふ。」ヴィスティーは、思い出して笑った。

「何がおかしいの?亜里沙は必死なのに!」セレナがイライラしたように言うと、ヴィスティーは笑いながら答えた。「昔のことで笑っただけよー。ごめんねー。」(まあ、亜里沙からは消えている記憶なんだけどね。私は面白かったから、ずっと保存しているけど。)

「結局、なんなの?亜里沙なら大丈夫の答えはどこ?」エリスが苛立ちを隠せずに尋ねると、ヴィスティーは答えた。「ああ、その話なら、全能神になっても相手に合わせて遊べる亜里沙ちゃんなら大丈夫って思っただけ。それに、肉体がイフなら、消耗させるのはいい戦法だと思うけど?まあ、それまでに亜里沙ちゃんが消滅しなければだけどね。」

「さらっと怖いことを言いますね。まあ、ヴィスティーさんっぽいけど。」メビウスは、苦笑いを浮かべた。

アルティアは、皆から少し距離を取り、空を見上げていた。(もし何かあれば、すぐに飛んで行く。だから、頑張れ、亜里沙!)

亜里沙は、背後から迫るファクトの気配を感じながら、必死に逃げていた。(まだ追いかけてくる!まだ見えてるってこと?どっちにしても、捕まったら私が消滅してしまう。なんとか距離を稼がなければ!)

しかし、ファクトは楽しげな声で言った。「うーん、やっぱり遅いなー。捕まえたくなかったけど、捕まえるしかないかー。」その声は、亜里沙のすぐ後ろまで迫っていた。

ファクトは、信じられないほどの速度で亜里沙を追い詰め、何度も手を伸ばして捕まえようとした。「待て待てー!もう捕まえるぞー!」

「ちょっと待ちなさい!光速を超えた光速って、そんなのありなの?チートでも使ってるの!?」亜里沙は、ファクトに詰め寄りながらそう叫んだ。

ファクトは、小首をかしげながら答えた。「う?チートって何?多分、使ってないよー。」そして、亜里沙の周りを何周も旋回した。

亜里沙は、逃げることを諦め、覚悟を決めた。「もう参ったわ。あなたの勝ちよ、ファクト…。」その場に立ち尽くし、肩を落とした。

「えー?逃げないの?じゃあ、タッチするねー。次は亜里沙が追いかけてねー!約束だよー!」ファクトは、亜里沙に手を伸ばそうとした。

その時、ウラヌスが声を荒らげた。「亜里沙、どうして諦めるんだ!今からでも戦いなさい!」

ウラヌスの突然の大声に、ガイアは眉をひそめた。「ちょっと、大声を出さないでよ。感情が生まれてから、あなた、情緒不安定よ。」

「いや…だって、亜里沙が諦めたから…。諦めるってことは、消滅するってことじゃないか。だから、つい…。」ウラヌスは、言い訳するように呟いた。

ヴィスティーは、モニターをじっと見つめていた。その表情は、どこか寂しげだった。(結局、間に合わなかったのね。敗因があるとすれば、鬼ごっこをしたことでしょうね…。)

亜里沙は、ファクトがいつまでもタッチしてこないことに疑問を感じていた。(何?じっくり、じわじわとタッチしてくるタイプ?するなら、一思いにやってほしいんだけど…。)

亜里沙がファクトの方を見ると、ファクトは腹部を抑えてうずくまっていた。その顔は、苦痛に歪んでいた。

「どうしたの?ファクト。」亜里沙が駆け寄ると、ファクトは涙目で答えた。「お腹が急激に空いて、動けないの…。早く何か食べないと、まずいよー。でも、食べられるものがあそこの星だけだけど、あれ食べたら亜里沙の帰るところがなくなっちゃうし、どうしたらいいのー?」

亜里沙は、何かを確信したように尋ねた。「あなたは、私を消滅させたいわけじゃないんだよね?」

ファクトは、弱々しい声で答えた。「うん…。ただ、遊びたかっただけだよー。お姉ちゃんたちと。でも、触れたら消えるし、亜里沙はいっぱい遊んでくれたけど、もう遊べないねー。もっと遊びたかったな…。ゲームもしたかった…。」

亜里沙は、ファクトの言葉に心を痛めた。「そうなのね、ファクト。わかったよ。私があなたを助けてあげる。だから、また一緒に遊ぼうねー。」

亜里沙は、エメラルド・レルムの方を見つめ、モニターを見ているであろう皆に語りかけた。「ごめんね、みんな。せっかくみんなの力で復活させてもらって、全能神の力まで手に入れたのに、私はここまでみたい…。ファクトを苦しみから解放してあげないと、可哀想だし、悪い子じゃないんだよ…。助けたいから、私は自分の力を全て使ってでも助ける。だから、もうみんなには会えないかもしれないけど…。もしまた会えたら、その時はまた仲間として迎え入れてください…。今まで、本当にありがとうございました。イフ、私とファクトがそっちに行ったら、もう寂しくないよ…。さよなら、みんな…。」

大粒の涙を流しながらも、亜里沙はファクトを見た。その表情は、涙で濡れていながらも、満面の笑みだった。「ファクト、あなたを救います。あなたのその能力と、私の能力を相殺させます。死ぬかもしれないけど、生きていることもあると思う…。ごめんね、私ってあんまり嘘が得意じゃないの…。せめて、その苦しみから解き放ってあげる…。」

亜里沙は、ファクトに手を伸ばし、「サルヴェイション!」と叫んだ。すると、二人の体は眩い七色の光に包まれ、消えていった。

セレナは、アルティアの元に駆け寄り、力いっぱい抱きついた。そして、堰を切ったように涙を流しながら、アルティアの胸を何度も叩いた。「亜里沙が消えちゃったよ…。なんでモニターを見てくれなかったの?お別れの挨拶もしてたんだよ…。もう、会えないんだよ…。」

アルティアは、セレナに叩かれながらも、動じることなく言った。「誰が帰ってこないって?亜里沙なら大丈夫。きっと帰ってくるよ。あたしは、遺体を見るまでは信じないからな!だから、セレナもさ、あたしと一緒に生きて帰るか、遺体で帰るかするまで待ってようよ。」そう言いながら、アルティアの目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。

「じゃあ、遺体が出るまで待つよ…。」セレナは、泣きながら答えた。

「それだと、死んだのが確定じゃないか…。」アルティアは、セレナの言葉にツッコミを入れ、二人は泣きながら抱き合った。

クロノスとエリスも、ショックで言葉を失い、ただただ亜里沙たちが消えた後の映像をモニターで見つめていた。

「これって、もう消滅したってこと?」クロノスは、エリスに確認するように尋ねた。

「うーん…普通なら、そうでしょうね…。ファクトの能力で消滅したか、何かを発動させたけど、触れたことで結局消滅したか…。」エリスは、泣きそうな声で答えた。

「なんだよ、それ。結局、消えてんじゃん…。なんだかんだ、みんなを守るために、ファクトと共に死んだんだよな…。」クロノスは、涙をこぼした。

「でも、亜里沙って、勇者になりたいって言ってたし、勇者にはなれたんじゃないかな?世界にとっての英雄だしさ。ある意味、本望なのかも…。」エリスは、大粒の涙を流しながら言った。

「それってさ、自己中だよね…。仲間のこととか考えずに、勇者になりたいからって、犠牲になるのを選ぶなんてさ…。帰ってきたら、怒ってやらないと…。」クロノスは、悔しそうに言った。

メビウスは、二人の肩に手を添え、静かに言った。「まだ諦めないで。大丈夫だって、嘘でも信じてあげて。みんなが死んだって認めたら、本当に帰って来れなくなるでしょ?」

メビウスの言葉に、二人は崩れ落ちるようにその場に座り込み、三人で泣きながら抱き合った。

一方、ガイアは、ウラヌスの気丈な態度に疑問を感じ、声をかけた。「あれ?今のウラヌスなら、大泣きしそうなのに、どうしてそんな怖い顔をして立っているの?」

「ふん、あんな出来損ないの人形が、私の写し身が、あんな無様な死に方をするなんて、ありえない。まあ、処分する手間が省けたと思えば、悪くもないか。」ウラヌスは、モニターに映る亜里沙の消滅した光を冷たい目で見つめ、吐き捨てるように言った。

ガイアは、ウラヌスの言葉に眉をひそめた。「へー。ウラヌスは、亜里沙のことを、結局、仲間というより、ただの人形扱いなんだ?随分と酷い言い方をするのね。」

ウラヌスは、ガイアの言葉に動じることなく、冷たい声で答えた。「当然だ。あれは、私の最高傑作であり、私の力の象徴。それが、あんな情けない姿を晒して、消えただと?許せるわけがない!」

ウラヌスは、モニターを見つめ、呟いた。「とはいえどうなったかは気になるし…もしかしたら、ヴィスティーは何か知っているかもしれない。…ガイア、ヴィスティーのところへ行くよ。どうでもいいことかもしれないけど、聞いておくに越したことはない。」

ガイアは、ウラヌスの言葉に少し驚きながらも、頷いた。「そうね。聞くだけ聞いてみましょう。」


ウラヌスは、ガイアと共に、ヴィスティーの元に近づいた。

「ヴィスティー、あの子は無事なの?帰ってきたら、怒ろうと思ってるんだけどさ。いつ戻る?」ウラヌスが尋ねたが、ヴィスティーは答えなかった。

「亜里沙のことはわからないよ。だって、もう消えたじゃない。ちゃんとお別れした方がいいよ。」ヴィスティーは、少し微笑みながら言った。

その言葉を聞いたウラヌスは、今まで我慢していた感情が一気に溢れ出し、大泣きし始めた。「やっぱり、もういないんだ…。全てが終わったら、亜里沙とちゃんと向き合おうと思っていたのに、こんなお別れなんて、あんまりだ…。私を置いて行かないで。あなたがいなかったら、私はただただ自分の計画を遂行して、今頃はなんの情もなく、次はどうするかを考えていただろう…。でも、正面から向き合ってくれたから、私は変われた。本当にありがとう…。」

ガイアは、あまりの急展開に戸惑いながらも、ヴィスティーに尋ねた。「ちょっと、急すぎてびっくりしたけど、落ち着いて。ヴィスティー、正直に言いなさい。亜里沙はもういないの?消滅したの?答えて。」ガイアは、珍しく感情的になっていた。

ヴィスティーは、驚いたようにガイアを見つめ、静かに言った。「いいえ…。」

その言葉を、エリスは聞き逃さなかった。「ヴィスティー、いいのね?あなたのその一言は、運命を変えるかもしれないけど、いいんだよね?何を言われても、もう私はあなたの言葉に因果を与えた。」

「そう…ありがとう…。」ヴィスティーは、遠くを見つめながら呟いた。

「ねえ、今のって亜里沙は生きてるってこと?じゃあ、探しに行こうよ!みんなでさ!」セレナが、希望に満ちた声で言った。

「そうね、みんなで探しましょう!果てしなく広い空間だけど、どこかで生存しているはずだから。」ガイアは、力強く宣言した。その言葉に、希望の光を見た仲間たちは、力強く頷き、声を上げた。「おー!!」

しかし、その時、ヴィスティーは楽しげに笑っていた。「ふふふ、案外近くにいるかもしれないけどねー。まあ、黙っておこう…。」その言葉は、誰にも聞こえないほど小さく、しかし確かに、空間に響いた。

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