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ログインガチャ:選ばれた運命、進むべき道  作者: 紅月ヨルカ


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終末へのカウントダウン

イフは、ゆっくりと歩を進めていた。虚ろな瞳は、ただ一点を見つめている。世界が一つしかないことに気づいた彼女は、まるで迷子の子どものように、どこか頼りなげな笑みを浮かべていた。彼女の足跡が触れた場所から、歪みが広がり、空間そのものが崩壊していく。

一方、エメラルド・レルムでは、亜里沙の突然の消失に、激しい動揺が広がっていた。

ウラヌスは、涙に濡れた瞳でヴィスティーとエリスを睨みつけ、震える声で叫んだ。「どうして亜里沙は消えたの?ヴィスティーとエリスで、あの子を再構築したんでしょ?」彼女の頬を伝う涙は、絶望と怒りの色を帯びていた。

ヴィスティーは、ウラヌスの剣幕にも動じず、冷静に言い放った。「そもそも、消えるように仕掛けたのはウラヌスさんでしょ?再構築はしたけど、そこまでは見てないですよ」彼女の言葉は、まるで冷たい風のように、ウラヌスの心を突き刺した。

エリスもまた、目に涙を溜めながら、ウラヌスを責めた。「確かに、ウラヌスさんのことをもっと深く考えて、そういう事もあるって予想を立てておけば良かった…そもそも、どういう発動条件だったの?消失は?」彼女の瞳には、悲しみと後悔の色が滲んでいた。

ウラヌスは、堰を切ったように涙を流し、苦しげに言葉を絞り出した。「簡単に言えば、私の計画が完遂したら、亜里沙とイフが消えるように仕掛けていた。融合させた時は発動しなかったから、内心ヴィスティー達に感謝してたんだけど…まさか、今頃になって…」彼女の声は、震え、悲痛な響きを帯びていた。

重苦しい沈黙の中、ガイアが重い口を開いた。「多分、不完全な世界だったから反応なしだったのよ。今、完成した事で満足したんでしょうね」彼女の言葉は、まるで諦めにも似た、深い溜息のようだった。

セレナは、今にも泣き出しそうな顔でウラヌスを見つめ、懇願するように言った。「そんな事どうでも良いから、亜里沙を救えないの?」彼女の声は、かすれ、絶望的な響きを帯びていた。

アルティアもまた、普段の豪快さはなりを潜め、沈痛な面持ちで頭を下げた。「無理を承知で、なんとかならないかな?」しかし、彼女の胸には、拭いきれない不安が渦巻いていた。彼女は、何かに呼ばれるように、そわそわと落ち着かない様子で周囲を見回した。

「何?アルティア、亜里沙が大変な時にトイレに行きたいの?」セレナの皮肉な言葉にも、アルティアは答えなかった。彼女は、鋭い視線をイフの方向に走らせ、呟いた。「いや、そうじゃなくて、イフが気になってさ…嫌な予感しかしない。ちょっと様子を見てくるね!」そう言うと、アルティアは、風のようにその場を飛び出した。

クロノスもまた、「私も行くね。亜里沙の事はよろしくお願いします」と、アルティアを追って駆け出した。

ウラヌスは、必死に思考を巡らせた。「私一人だと難しいけど、ガイアの能力があればイケるかも!」彼女は、希望を求めるようにガイアを見た。

ガイアは、諦めたように肩を竦めた。「ああ、亜里沙の形だけならウラヌスだけでも出来るけど、命を吹き込むのは私の役目って事?じゃあ、そこにいるエリスも役に立つよ」彼女の視線は、エリスに向けられた。

エリスは、覚悟を決めたように頷いた。「肉体と命だけじゃ、クローンと変わらない。因果で亜里沙の記憶を戻せば良いのか…でも、メビウスがループを使えば良い気も?」

メビウスは、首を横に振った。「一度ループさせてるから、また使うとゲーム廃人スタートになるかも?それより、運命の力で元に戻せば良くない?」

ヴィスティーは、不安げな表情を浮かべた。「やった事ないけど、死ぬ運命じゃないなら、魂を戻せるのかしら?一応、やってみますか?」彼女の言葉は、わずかな希望に縋るように、消え入りそうだった。

ウラヌスは、自分の写身を作り、見た目も亜里沙っぽく作り、ガイアは命を吹き込む。エリスとヴィスティーで今までの亜里沙の因果と運命を紡いだ。ウラヌスは亜里沙の姿を見つめ「あとは目覚めるのを待つだけね」と微笑む。

ヴィスティー「一気に今までの記憶を刻み込んだから時間は掛かりますよ〜じゃないと壊れますから」と笑う。

ガイア「亜里沙はこれで良いとしてあのイフの方はどうなのかしら?」と上を見る。

メビウス「一応モニターにクロノスを介して観れますけどみんなで見ますか?」とモニターを用意する。

エリス「メビウスとクロノスは用意が良いよね助かるよここからじゃ見れないしね〜」とモニターに近付く。

ウラヌス「あのイフが私が作ったイフならいいけど…」と不安そうにモニターを見つめる。

一方空間領域ではクロノスとアルティアがイフの姿を目視していた。

クロノス「イフは異世界を食べてたから遅くなったのかな?早くこっちに来たら良いのにたしか単身で次元の歪みを発生させれたはずだけど?」と納得がいってない顔で見る。

アルティア「なんかイフと違う気がするんだよねなんか動きが軽やかっていうかキョロキョロしてるし…それに空間が歪んでる気がする」と警戒している。

クロノス「たしかに言われてみれば妙だね、冷静なイフにしては落ち着きがない私達を探してるにしてもあのエメラルド・レルムしか世界はないんだからわかりそうなものなのに」と喋っているとこちら側に気づいたイフが両手を上に上げて振りながら笑顔で近づいてくる。

その背景は次元が裂け裂けた所が光の屈折により虹色に見え万華鏡のようになっていた。その光景がイフが近づいて来るにつれどんどんと眼下に広がっていく。

クロノス「これはまずい!距離を取れ」と警告するとアルティア「言われなくてもわかってるさっきから妙に震えてるんだ…武者震いなんかじゃない本気で怖いんだと思う…」距離をとっているとイフが2人に笑顔のまま声を掛ける「ねえ〜ちょっと待ってよ〜どうして逃げるの〜?私はここよ〜」とぶんぶん手を振りながら近づいて来て2人の前で止まる、その姿はぼろぼろのドレスだけど満面の笑顔で笑いながら手を振っているイフとはかけ離れた姿が印象的で2人には異質に見えていた。

クロノス「いやごめんね勢いよく来たから驚いただけだよ」と宥めるように言った。

アルティアはクロノスの気持ちを気にせずに「アンタはイフか?」と直球で聞いた。

「え〜イフちゃん?イフちゃんならもういないよ〜だから私が出てこれたんだよ〜ずっとお姉ちゃん達と遊びたいって思ってたのに全然遊べなくて寂しかったんだよ〜」と笑顔で言う。

クロノス「ちょっと待てイフじゃないなら君は誰だ?イフはなんでいなくなったんだ?」とちょっと動揺して聞いた。

「う〜ん質問が多いな〜イフちゃんがいなくなった理由は知らないけど体がね消えそうになってたから急いで私に切り替えたんだよやった事なかったけど上手くいって良かった〜えへへそれとね〜私の名前は〜う〜んイフちゃんとは違うからあ〜そうだ!ファクトって呼んで〜ちゃんと覚えてねお姉ちゃん達よろしくね〜」と笑う。

アルティア「じゃあ亜里沙と同じで消えたんだ…さっき切り替えたって言ってたけどどこにいたんだ?まさかイフの中に…?」と疑問を投げかける。

ファクトは笑顔でうんっと頷くと「ずっとイフちゃんの中にいたんだ〜多分イフちゃんに食べられて消化されずにいたらいっぱいご飯をくれるから私もねイフちゃんよ一緒に成長してついでにね〜知識も得たんだよ〜凄いでしょ〜おかげでイフちゃんと同様の知識があるんだよ〜」と得意げに言った。

クロノス「そっか〜頭良いんだねじゃあ聞くけどさっきいた世界は食べたのかな?」と子供に話すような口調で言うと「それがね〜食べようと思ったら消えちゃったんだ〜触れたら消えるからわけわかんないよ〜それで遠くに綺麗な星が見えたからそこに行こうと思ってたらお姉ちゃん達に会えて良かった〜」と言う。

クロノス「アルティア絶対にファクトに触れるな自覚はないけどおそらく消滅される能力を持ってる…能力も厄介だけど頭も良いのが恐怖でしかない…」と警告する。

アルティア「それはわかったけどどっちにしてもここで抑えないとエメラルド・レルムも消滅するんだろ?なんとか食い止めようよ!」と構えると「ねえねえお話ばっかりで飽きたよ〜ねえ私と遊んでよ〜ねえ良いでしょ?」と笑顔で言うと2人にゆっくりと近づいて来る。

クロノスは、アルティアを強く引き寄せ、叫んだ。「来るぞ!」

二人は、ファクトから瞬時に距離を取った。アルティアは、身を焦がすような熱い魔力を全身に迸らせ、大気中に幾重もの亀裂を走らせる。彼女は、その亀裂からほとばしるエネルギーを操り、幾重にも重なる拳圧を放った。それは、まるで星の奔流。しかし、そのすべてが、ファクトに届くことなく、空間に吸い込まれるように消滅していく。最後に、彼女は全魔力を解放し、両手から無属性の特大ビームを放った。それは、この世のすべてを焼き尽くすかのような閃光だった。

しかし、ファクトは、その攻撃を、まるで子供の遊びを見ているかのように、無傷でやり過ごした。彼女は、片手を前に突き出し、掌を赤く光らせた。すると、目に見えない衝撃波が放たれ、クロノスとアルティアの間を抉るように通過した。

「お姉ちゃん面白いね〜。でも、何の遊びかわからなかったよ〜。綺麗だけど〜」

ファクトの声は、無邪気でありながらも、どこか狂気を孕んでいた。

衝撃波が通過した余波で、クロノスとアルティアの周囲の空間は、悲鳴を上げるように歪み、虹色に光りながら、今にも崩壊しそうだった。

クロノスは、辛うじて体を支えながら、叫んだ。「気を付けて!あれに当たると、消滅する!」

アルティアは、絶望的な状況を噛みしめるように呟いた。「攻撃も当たらないし、どうすることもできない…」

クロノスは、打開策を求め、必死に思考を巡らせた。「ちょっと逃げるにしても、ファクトの動きを封じてみるしかない!」

「お姉ちゃん達、どうしたの〜?もう遊ばないの〜?もっと遊んでよ〜」

ファクトは、屈託のない笑顔を浮かべながら、二人にゆっくりと近づいてくる。彼女の足元から、黒い染みが広がるように、空間の崩壊が加速していた。

クロノスは、覚悟を決めたように言った。「うん。もちろん遊ぶよ〜」そして、彼女は、全神経を集中させ、時を止めた。

「よし、今のうちに離れよう…!」

アルティアは、クロノスの腕を掴み、全速力でその場を離れようとした。しかし、その瞬間、二人の目の前の空間が、まるでガラスのように砕け散った。時を止めたはずの時空の一部が、黒い穴に吸い込まれるように、音もなく消滅したのだ。

クロノスは、信じられない光景を前に、愕然とした。「まさか、周りの時空ごと消滅させた?ありえない…」

「ねえねえ、今の何?もしかしてクロノスが時を止めたの〜?すっご〜い!でもね〜、すぐに終わっちゃった〜。残念…。でも、楽しかった〜。アルティアは何もしないの〜?」

ファクトは、子供のように無邪気に笑った。

アルティアは、戦意を喪失したように呟いた。「もうだめだ。何しても遊びと思ってる…。それに、名前も知ってるのか。イフと同じ知識だから?もう撤退しよう。レベルが違いすぎる…」

クロノスは、悔しそうに唇を噛みしめた。「そうね。ここは、エメラルド・レルムからできるだけ離れるように逃げましょう。倍速状態にするから、できるだけ距離を稼ぎましょう!」

彼女は、アルティアと自分自身に、時間の流れを加速させる魔術をかけた。二人は、残像を残しながら、光速に近い速度でその場を離脱した。ファクトと、そして、エメラルド・レルムから。

それを見たファクトは、興奮したように叫んだ。「あ〜、今度は追いかけっこだね〜!まって〜!」

彼女は、倍速状態の二人を軽々と追い越し、あっという間に距離を詰めていく。そのスピードは、まるで空間を捻じ曲げているかのようだった。

クロノスは、絶望的な状況を前に、打ちひしがれた。「スピードも速いのか。もう追いつかれた。逃げることもできないのか…」

アルティアは、最後の手段を講じようとした。「諦めるな!私も魔重力で次元の歪みが作れる。それで逃げよう」

しかし、クロノスは冷静に制止した。「いや、駄目だ。そんな事をしても、歪みごと消滅させられて、二人とも死ぬ。飽きるまで逃げ続けよう…それしかない…」彼女の声は、乾ききった砂のように、希望を失っていた。

「もう逃げてばっかり〜。捕まえちゃうぞ〜」

ファクトは、さっきよりもさらに速度を上げ、二人に迫る。その時、エメラルド・レルムから、眩い光の筋が放たれた。それは、超高密度のエネルギーの奔流。

クロノスとアルティアの間を駆け抜け、ファクトを巨大な光の繭で包み込むと、内部で核融合反応にも似た、凄まじい爆発を起こした。クロノスとアルティアは、爆風に吹き飛ばされそうになるのを、必死に耐えた。

ウラヌスは、モニターを見ながら、勝利を確信したように言った。「モニターのおかげで、命中できたわ」

しかし、爆炎が晴れると、ファクトは無傷で、その場に立っていた。彼女の周囲だけ、空間の歪みがわずかに抑えられているようだった。

ファクトは、目を輝かせながら、楽しそうに笑った。「今の、何?凄かった!たしか、あそこから撃って来てたよね?って事は、他にもお姉ちゃん達がいるって事?楽しみだな〜」

彼女は、再び、エメラルド・レルムに向かって、ゆっくりと、しかし確実に、歩き始めた。その足跡が触れた場所から、空間の崩壊が、静かに、しかし確実に広がっていく。

エメラルド・レルムに戻ったクロノスとアルティアは、ウラヌスたちの前に立ち、深々と頭を下げた。

クロノスは、絞り出すような声で言った。「ごめん。止められなかった。本気で戦ってるのに、遊びと思ってる。次元が違いすぎる…」彼女の瞳には、悔しさと無力感が滲んでいた。

アルティアもまた、同様に肩を落とした。「正直、何もできなかった…」

ガイアは、二人を優しく労った。「二人は謝らなくていいんですよ。悪いのは、ウラヌスだから。結局、こっちに意識を向けさせちゃったしね?」彼女の声は、責めるような響きではなく、深い悲しみと怒りを孕んでいた。

ウラヌスは、二人に近づき、震える声で言った。「ごめん。二人を助けたくて、つい攻撃しちゃった…でも、二人が無事で良かった」彼女の瞳からは、大粒の涙が零れ落ちた。

クロノスは、顔を上げ、涙ぐみながら言った。「本当に…ウラヌスさんは変わったね…。もう昔とは違う…。気遣ってくれて、ありがとうございます」彼女の声は、感謝と同時に、悲痛な叫びのようだった。

ヴィスティーは、感傷に浸る二人を一瞥し、厳しい口調で言った。「そんなお涙頂戴してる場合でもないですよ。上を見てください。あの辺の大気が消滅してるでしょ?近づくだけでこれだから、来たら終わりよ、ここは…」彼女の声は、切迫感を孕んでいた。

ファクトがゆっくりと、しかし確実に、エメラルド・レルムへと近づく中、ウラヌスたちは、為す術もなく、絶望の淵に立たされていた。

亜里沙の目覚めは、いつになるのか。

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