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ログインガチャ:選ばれた運命、進むべき道  作者: 紅月ヨルカ


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再会

この世界は、まるで異なる世界の断片を無理やり繋ぎ合わせたかのように、あらゆるものが歪み、混在している。異なる時代の建造物が立ち並び、重力が不安定な場所では建物や地面が奇妙な角度に傾いている。空には過去の乗り物と未来の乗り物が入り乱れ、時間帯すら場所によって異なる。

耳を劈く不協和音は、異なる場所の音が同時に聞こえることで生み出され、視覚だけではなく聴覚までも狂わせる。金属が軋むような音、耳をつんざくサイレン、そして、どこからか聞こえる不気味な囁き声。

足を踏み入れる場所によって、気温や湿度、匂いまでが急激に変化する。ある場所では灼熱の熱気が肌を焼き、またある場所では極寒の冷気が体を凍らせる。甘い腐臭、金属の匂い、そして、嗅いだことのない異質な匂いが鼻を突く。

空間すら歪んでいる。まっすぐ進んでいるはずの道が、いつの間にか後ろに景色が流れている。上下左右の感覚が狂い、空が地面になり、地面が空になるような場所も存在する。

この異質な世界の歪みは、本来完璧であるはずの融合が、何らかの原因で不完全になったことによって引き起こされている。

ウラヌスは、継ぎ接ぎだらけの融合した世界の空を飛びながら、ガイアの痕跡を追っていた。眼下には、異なる風景が無理やり繋ぎ合わされたような、歪な世界が広がっている。「(やはり、融合は不完全か…まるで、寄せ集めのパッチワークだ。イフの中で何が?)」ウラヌスは、苛立ちと焦燥を押し殺し、僅かに残るガイアの気配を追い続けた。

一方、亜里沙たちは、徒歩で世界の異様な光景を目の当たりにしていた。「これが、ウラヌスが望んだ世界なの?」亜里沙は、変わり果てた景色に困惑の色を隠せない。ヴィスティーは、その光景を鼻で笑いながら言った。「ここまでチグハグだと、流石に理想とはかけ離れていますね。もっと、調和の取れた美しい世界を目指していたのでは?これでは、彼女の志も疑わしいものです」。セレナは、そんな二人の会話をよそに、呑気に辺りを見回していた。「え〜、別に良いんじゃない?少し歩けば、全く違う景色が見られるなんて、アトラクションみたいで面白いよ!私のお城はないかな〜?」と自分がいた世界を探していた。エリスは、周囲に生き物の気配が全くないことに、不安を覚えていた。「それに、この世界には、街もなければ、人もいないの?一体、どうなっているのかしら…」。

アルティアは、単独行動でウラヌスの後を追っていた。「(ウラヌスの足跡を辿れば、彼女の真の目的が分かるはず。何としても、彼女を見つけ出さなければ)」。メビウスとクロノスは、世界の現状を把握するため、調査を進めていた。クロノスは、目の前に広がる混沌とした光景に、うんざりした表情を浮かべていた。「どこを見ても、落ち着かない場所ばかりだ。良い所取りのつもりが、結局は寄せ集めにしかならなかった、といったところか。個性は強いが、面白みがない」。メビウスは、複雑な表情で呟いた。「確かに、失敗作と言わざるを得ないだろう。だが、多くの犠牲を払った結果であることを考えると、安易に断罪することもできない…」と憤っていた。

混沌とした世界の片隅に、不自然なほど穏やかな草原が広がっていた。歪んだ空の下、そこだけ時が止まったかのような静けさが、ウラヌスの胸にざわめきを呼ぶ。(まさか、あそこにいるのか…?)微かに感じるガイアの気配を頼りに、ウラヌスは草原へと足を踏み入れた。

近づくにつれ、草原を包む甘い花の香りが鼻をくすぐる。しかし、その甘さの中に、微かに金属の錆びたような匂いが混じっていることに、ウラヌスは気づいた。草原の中心に、ガイアの姿があった。

「ガイア!やっと会えた、ガイア…!」

抑えきれない感情が、ウラヌスの瞳から涙を溢れさせる。震える声でガイアに近づくと、彼女は驚いたように目を丸くした。

「あら、ウラヌス。久しぶりね。ずいぶんと感情的になって。そんなに会いたかったの?」

「驚くのも無理はないよ。だって私にはなかった感情が、今、確かに芽生えているから…」

ウラヌスは、堰を切ったようにガイアに抱き着いた。ガイアの体温、彼女特有の優しい香りが、ウラヌスの心を落ち着かせる。

「私も、会えてよかった。って言っても、あなたのことはずっと、色んな世界で感じていたけれどね…」

ガイアは、ウラヌスを優しく抱きしめ返しながら、周囲を見渡した。

「それはいいけど、これはどういうこと?私を復活させたいのはわかるけど…いくら私を元に戻すためとはいえ、少し適当すぎじゃない?この有様は…」

ガイアの言葉に、ウラヌスは焦りを覚えた。

「これは、イフの中で異変が起きて、こうなってしまっただけで…。私は、みんなが笑って暮らせる世界を作りたかったんだ。ガイアが安心して住めるように。そういう約束だったはずだ…」

「いや、全然違う!私が最後に言ったのはね、私がいなくなっても、ウラヌスがみんなと笑って暮らせる世界を作って、そのためにも仲間を作って頑張って、って言ったの!どうして私が、永遠に笑い続けている人たちと一緒に暮らなければならないのよ。気持ち悪い…」

ガイアの言葉に、ウラヌスは言葉を失う。その時、別方向から亜里沙たちが合流してきた。

「えっ!今、大きな声が聞こえたけど、この世界って失敗だったの?」

亜里沙の問いかけに、ガイアは呆れたようにため息をついた。

「どう考えても失敗でしょ?生き物がどこにもいないし、住める世界じゃないんだから!他人任せにするから、最後の最後にヘマをするんでしょ?しっかりしなさい!」

ウラヌスは、ただ「ごめんね、ごめんね」と繰り返すことしかできなかった。その様子を見て、ヴィスティーは楽しげに笑った。

「なんか、あの圧倒的だった方が、ここまで小さく見えるんだから面白いですね。よっぽどガイアさんが怖いんでしょうね?」

その時、もう一人、別の方向からアルティアが合流してきた。彼女は、堂々とした態度で、面白そうにガイアとウラヌスを見ていた。

「へぇ、あんたがガイアか。ウラヌスが入れ込んでるだけあって、なかなか迫力があるな。ま、あたしはもう覇王になるつもりはあるが、今はあんたらの話の方が面白そうだ。少しの間、混ぜてもらっても構わねぇか?」

アルティアの声は、堂々としていて、自信に満ち溢れていた。以前のような敵意はなく、むしろ傍観者として、あるいは協力者として、物語に関わろうとしているようだった。

「アルティア…」

ウラヌスは、アルティアの登場に、僅かに警戒心を露わにした。しかし、すぐにガイアの視線を感じ、再び俯いてしまった。

「ああ、あなたがアルティアね。確かに一般の方にしては強いみたいね」ガイアは、余裕のある笑みを浮かべながら言った。

「一般の方?一応、覇王だったんだけど?」アルティアは、一瞬鋭い眼光を放ったが、すぐに肩を落とした。「別に争いに来たわけじゃないから…。ただ、みんなが住める世界になればと思って、あちこち見てきたんだが、生物は一切いないし、建物もボロボロだし、どうすることもできなかった」彼女の声には、落胆の色が滲んでいた。

ガイアは、そんなアルティアを嘲笑うかのように笑い、「まあ、そうでしょうね。あなただと」と言い放つと、ウラヌスの方を見つめた。「もう全員揃ったみたいだし、世界を良くしましょうか?」彼女の瞳には、自信と期待が宿っていた。

亜里沙は、焦りの色を隠せない。「待って、まだイフがいないの!」

しかし、ウラヌスは穏やかに微笑んだ。「イフはそのうち来るよ。待っててね」

ガイアは、静かに言葉を紡ぎ始めた。「この混沌とした世界を元に戻すには、私とウラヌスの力が必要だから、2人で世界を変えましょう。何か希望はある?」

ウラヌスは、迷うことなく答えた。「ガイアと共に育った、あの世界はどう?」

「ああ、いい考えね。じゃあ、2人が過ごした世界に、この融合した世界を戻しましょうか?」ガイアの言葉に、希望の光が灯る。

今まで静かに聞いていたエリスが、不安げな表情で尋ねた。「一応確認ですけど、そのお二方が過ごしていた世界って、どうなったんですか?」

ウラヌスは、遠い記憶を辿るように語り始めた。「ああ、あの世界はね、ガイアが消えると住めない世界になったから、私も辛かったけど、とどめを刺したんだ。そこから、ガイアの復活と、みんなが笑って暮らせる世界を作るための計画を練るようになった」

ガイアは、悲しげな瞳で続けた。「まあ、ウラヌスの気持ちもわかるよ…。あの世界も、最初こそ良かったけど、徐々に環境が悪くなっていったし、生物が増えるとどうしても争いが起きるし、知能を持つ存在が増えると衝突が起きる。だけじゃなくて、異世界も増え続けたから、その分私の負担も増えて…結果、滅びる事になってしまった…」彼女の瞳からは、大粒の涙が零れ落ちた。

「ガイア、戻そう!もう一度、あの世界を。私たちの原点の世界、エメラルド・レルムを!」ウラヌスは、希望に満ちた声で叫び、手を上に差し出した。

亜里沙たちは、ただその光景を固唾を飲んで見守ることしかできなかった。

「嬉しいな。また、あの世界が戻るんだ…。今度はしくじらないように、調節しないとね…。争いが起きないように、ウラヌスが言う、笑って暮らせる世界にしなきゃね!」ガイアは、ウラヌスの手を取り、共に手を上に掲げた。

すると、2人の体から大いなる光が溢れ出し、世界を包み込んだ。混沌とした世界は浄化され、草原や森など、自然豊かな世界へと変貌していった。そして、2人の生まれ育ったエメラルド・レルムへと、完全に姿を変えた。

「懐かしいな…」ウラヌスは、喜びの涙を流しながら呟いた。

ガイアも、懐かしさに目を潤ませた。「ええ、ついに崩壊とは無縁だった頃のエメラルド・レルムに戻ったね…」

セレナは、コウモリサングラスをかけ、宙を飛びながら周囲を見渡した。「へぇ〜、ここがウラヌス達が育った世界なんだ。なんか美しい所だね〜。さっきまでと全然違うね〜。もう私のお城は消えちゃったね…。あったかもわからないけど」

「ないなら作ればいいじゃないか」アルティアは、軽く笑い飛ばした。

ヴィスティーは、顎に手を当てて思案顔だ。「向こうに神殿でも建てようかしら?」

エリスは、苦笑いを浮かべた。「良いと思うけど、ウラヌスさん達が普通の住居で住んでたら、さすがにおかしいと思われるよ」

ガイアは、微笑みながら答えた。「別に神殿が良ければ建てても構いませんよ?」

ヴィスティーは、しばらく考え込むと、俯き加減で呟いた。「まあ、今はヴィスティーだし、一冒険者で、運命の女神の力を手にしたってだけですし…。元々は私の能力だけど、別に普通の住居でいいのかも?」

その様子を見て、エリスは驚きの声を上げた。「すごい、あのヴィスティーが妥協した!よっぽどガイアが怖いのかな…?」

「エリス、失礼な事を言わないの!ああ見えて、ウラヌスさんよりも危険な存在に思えるし、下手な事は言わない方がいいのよ…」亜里沙は、ちらりとガイアを見てから、セレナに警告した。「セレナも、お城とかは諦めなさいね〜」

「え〜、アルティアも一緒に作ってくれる感じだったのに〜。残念」セレナは、肩を落とした。

その一連の流れを見て、アルティアは首を傾げた。「そんなに強そうに見えないけどな〜?」彼女は、ガイアに向かって一気に魔闘気を解放した。

すると、ガイアは涼しい顔でアルティアの方を向き、微笑みかけた。「この世界を破壊するおつもりですか…?」

アルティアは、瞬時に魔闘気を解除し、俯いて答えた。「いいえ…」

そして、ヴィスティーの元に駆け寄り、耳打ちした。「今、ゾッとした…」

「でしょ?危険よ、彼女は」ヴィスティーは、薄ら笑いを浮かべた。

「私たちの世界が復活したお祝いに宴会でもしますか?」ガイアがそう提案すると、アルティアとセレナは「よし、美味しいものが食べれるぞ!」と歓声を上げ、亜里沙もまた、イフのことを心の片隅に追いやりながら、「宴会とか、夢だったんだよな〜。ゲームとかでも、こういうシーンって印象に残るしね〜」と、つかの間の喜びに浸っていた。

その時、メビウスとクロノスが合流した。「突然すみません…。ずっとこの世界のことを調査していました…。こんなにも素晴らしい世界に変わるとは、思ってもみませんでした」クロノスは、深々と頭を下げた。

「そういえば、あの亜里沙もだけど、クロノスもなんとなくウラヌスに似てるね〜」ガイアが微笑むと、ウラヌスはクロノスの方を向き、静かに語り始めた。「クロノスは、私の遺伝子で作ったし…。ガイアに似せて作ったんだ…。この際だから言うけど、本当にごめんなさい…。あなたにガイアの面影を見ると、ついつい八つ当たりして、きついことを言っていた…。それに、計画のためにあなたを利用したし…。私のことを憎んでいるのは仕方ないけど…これだけは言わせて。あなたは失敗作じゃない…。最高の娘よ」大粒の涙が、ウラヌスの頬を伝った。

クロノスは、俯いたまま涙を流し、「その言葉だけで…私は幸せだよ!」と、ウラヌスを抱きしめた。その様子に、亜里沙もまた、「なんか感動的なシーンだな。私も泣いちゃう…」と思わず涙ぐんだ。

その間も、ガイアはメビウスに微笑みかけた。「自己紹介はいいですよ。知っていますから。消えたといっても、あらゆる世界から様子を伺っていましたから。ウラヌスの計画のせいで、負わなくてもいい苦労と責任を背負って、大変でしたね…。でも、あなただから任せたんだと思いますよ、ウラヌスは」

メビウスは、安堵の表情を浮かべた。「今の言葉で、今までの苦労が報われました」

ガイアは、亜里沙の方を見つめ、微笑んだ。「一緒に宴会の準備でもしましょうか?」

「えっ?私とですか?良いですけど、料理はあんまり得意じゃないんですよね〜」亜里沙は、苦笑いを浮かべた。

「そういうのは大丈夫。私が用意するからね」ガイアは、優しく微笑みかけた。亜里沙は、(じゃあ、なんで手伝ってって言ったんだ?)と心の中で呟いた。

「私は、あなたがウラヌスに似ていると、一目見た時から思っていて…。でも、クロノスと違って娘とかじゃない…。そうだな〜、本人に近い…そっか、写身なのかも!?」ガイアがそう言うと、亜里沙は慌てて否定した。「いえ、そんなことないです…。私、あんなに強くないし…性格も違うし…」

「そうかしら?まあ、いいけどね。あなたはあなただし」ガイアは、軽く笑い飛ばした。

その時、ウラヌスが「何喋ってるの!準備できたよ」と、豪華な宴会会場を見せた。「うわー〜。でも、さすがに早すぎない?」亜里沙が驚くと、「クロノスの能力と私の力で、あっという間に完成よ!」とウラヌスは得意げに言った。

「まあまあ、細かい事はいいから食べようぜ」アルティアがそう言うと、セレナもエリスも、次々と料理を手に取り始めた。ウラヌスとガイアも、適当に食事を取り、クロノス、メビウス、ヴィスティーも、三人で談笑しながら食事を楽しんでいる。

しかし、亜里沙だけは、何故か誰の輪にも入れず、ひどい疎外感を感じていた。(ここにイフがいたら…亜里沙どうしたの?食べないの?私が全部食べちゃうよ、って笑って話しかけてくれるんだろうな…。寂しいよ、イフ…)

その時、突然ガイアが驚いた声を上げた。「亜里沙さんの体、消えかけてませんか?」

その言葉に、全員の視線が亜里沙に集まった。「亜里沙が透けてる?なんで?」セレナが驚き、アルティアも「遂に宴会に馴染めず、空気になったか?」と酔った口調で笑った。ヴィスティーは、「そんな事で透けるわけないでしょ!」とツッコミを入れ、クロノスとメビウスも「これはまずいことになったね」「これってどういう状況?」と焦りを見せた。

亜里沙は、恐怖に震えながら叫んだ。「私、消えちゃうの?どうして?嫌だよ、消えたくない…みんなと一緒にいたいよ!」彼女の体は、徐々に透明になり、やがて完全に消滅した。

ウラヌスは、信じられないという表情で、ヴィスティーとエリスに問い詰めた。「ヴィスティー、エリス、どういうこと?再構築したんじゃなかったの?私もさっきまでは、そう思ってたんだけど…」

「いや、そもそもあなたが仕組んだことでしょ?」ヴィスティーがそう言い返した時、エメラルド・レルムの向こうから、眩い光が放たれた。

場面は変わり、その光に包まれた場所に、イフが立っていた。「やっと自由になったな〜」彼女の周りには、先程まで存在していた世界が消え、何も残っていなかった。「今度は、あの綺麗な世界で遊ぼうかな〜」イフは、無邪気な笑みを浮かべた。


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