亜里沙対イフ
全身から黒いオーラを放ち、イフはゆっくりと亜里沙たちの元へ近づく。その足跡は、まるで死神が通った後のように、草原の草を枯らし、地面を深い亀裂で覆い尽くしていく。
亜里沙:「これって…一体何なの?」
亜里沙は不安げにヴィスティーを見た。
ヴィスティー:「これはおそらく、異世界の負のエネルギーを力に変えているから、あらゆるものの生命力を奪っているんだと思います。まあ、簡単に言えば死滅の力かな?」
ヴィスティーがそう言っていると、イフが無数の触手を繰り出し、亜里沙目掛けて一気に攻撃を仕掛けてきた。
亜里沙:「うわっ!あれ全部私に向かってくるの?」
亜里沙は未来視を使い、なんとか回避する。しかし、今度は触手が一斉にビームを放射する。それもなんとか回避していたが、
ヴィスティー:「あらあら、亜里沙さん。避けてばかりいたら街に甚大な被害が出ますよ。ですから、あまり後ろに下がらないように戦ってくださいね〜」
とセレナが声をかける。
セレナ:「まあ、でも大丈夫だよ。私とヴィスティーさんで結界を張って、街には攻撃が行かないようにするから〜」
と言うが、
亜里沙:「でも、その結界もひび割れてない?」
と亜里沙が指摘する。
セレナ:「ええ、死滅の力は結界を侵食しているけれど、私が闇に近い存在だから、まだ耐えられるわ。」
亜里沙:「あーそっか〜。じゃあ大丈夫ね。ありがとう!任せたよ!」
亜里沙は少し街から離れるように回避を続けた。
大丈夫と言ってはいたが、セレナの指先は黒ずんでいた。
アルティア:「みんな、悪いけどあたしはあのガイドの方と戦うよ…前にやられたからね。どれだけやれるかわからないけど、逃げないようにあたしが止めとくよ!」
アルティアはそう言い、ガイドの元へ向かった。
ガイド:「あら、あなたですか?何度来ても同じですよ?」
ガイドは余裕のある態度をとっている。
アルティア:「一回勝ったからって全てを知った風に思うなよ!あたしはあんたのおかげでさらに強くなれたからさ」
と言うと、一気に闘気を放出し、赤髪になる。
ガイド:「またそれ?本気じゃなかったの?」
ガイドは笑顔を見せるが、
アルティア:「ああ、ここまでは前と一緒だよ。重力を使うのが精一杯の頃のあたしさ…でもねっ!こっからは違うよ」
と、今度は紫のオーラを放った。
ガイド:「?それが何ですか?強くなったようには思えないけど?」
ガイドは首を傾げる。
アルティア:「そうかな?」
アルティアはいつものように素早くパンチを繰り出し、拳圧を使う。
ガイド:「はぁ…またそれ?またスカート捲りたいんですか?」
ガイドは呆れた表情で言うが、その瞬間、顔面に凄まじい威力のパンチがヒットし、ガイドは遙か後方まで攻撃を受け、足が地面に深く食い込み、そのまま力強く引っ張られるようにズサズサと後ろに引きずられた。
しかし、何事もなかったかのように戻ってくる。
アルティア:「今のは挨拶だよ、ガイドさん」
とアルティアはニコッと笑うと、
ガイド:「でしょうね。でも今の力は魔力?なぜそんな力を?」「乙女の顔をあっさり殴るなんて最低ですね?」
ガイドは笑いながら、さっきと同じ攻撃をアルティアに当てるが、あっさりとガードされる。
アルティア:「やっぱりあんたはカウンタータイプか。そっちからは攻めてこないからずっとおかしいって思ってたんだ」
と言うと、
ガイド:「あら?そうなの。私は弱いからね、戦闘に関しては」
とガイドは笑い、無数の光球を繰り出しアルティアに当てようとする。しかし、アルティアに当たる前になると光球はゆっくりになり、アルティアの前で止まった。
アルティア:「ちょっと痛くお返しするよ」
アルティアはそう言うと、魔力を光球に込め、凄まじい速度でガイドへぶつけていく。
アルティア:「この程度でやられるとは思っていないし、カウンターするならすればいい!」
光球が砂埃を巻き起こしたが、ガイドの姿はない。
いないと思った瞬間、アルティアの背後から勢いよく水が飛び出してきて、水流に押されアルティアはのけぞった。その瞬間、今度は雷撃がアルティアを襲い、そのまま雷撃が炎に変わり全身を燃やし、そのまま凍ってしまう。
ガイド:「どうですか?アルティアさん。私のあらゆる属性を融合させた魔法は?魔力には魔力ですよ」
ガイドは笑う。
一方、亜里沙はイフの攻撃を回避することに手一杯で、反撃の機会を掴めずにいた。その光景を見ていたエリスはヴィスティーに尋ねる。
エリス:「ヴィスティー、もう亜里沙の力を解放してもいいんじゃない?昔のようにはならないと思うし。」
ヴィスティー:「そうねぇ…このまま負けても困るし、少し試してみましょうか」
ヴィスティーはそう答えると、亜里沙に向かって手をかざした。
ヴィスティー:「亜里沙ちゃん、少し動かないでね〜」
亜里沙:「えっ?戦闘中に動かないでって指示出すの?危ないよ!」
亜里沙は戸惑いながらも、できる限り動きを止めて回避を続けた。
ヴィスティー:「本来の力に戻りなさい」
ヴィスティーがそう言うと、亜里沙の体が光に包まれ、エターナルブレードを手に持ち、触手を一気に切り払っていく。
亜里沙:「えっ?何?力がみなぎってくる…!」
ヴィスティー:「頑張ってね、フルパワーだし、もう負けはないでしょ?」
ヴィスティーは笑顔で言った。
亜里沙:「これが私のフルパワー?なんか懐かしい感じがする。これならいけるかも」
亜里沙はイフにエターナルブレードを突き刺し、その反射のダメージを自身も受けた。
亜里沙:「ぐっ…でも大丈夫…!」
亜里沙は剣を突き刺したまま、イフの顔を何度も殴り続ける。その度に反射のダメージを自身も受け、痛みに耐えながら目に涙を浮かべ、ひたすらに殴り続けた。
セレナ:「何してるの!亜里沙!いくら結界があっても、そんなに頻繁に攻撃を受けていたら侵食されるよ!」
セレナは心配そうに声をかけた。
ヴィスティー:「でも、あれだと触手も大人しいし、カウンターに集中してるみたいだし、ある意味正解なのかも〜」
ヴィスティーも見つめていた。
エリス:「亜里沙、キツくなったら言ってね。別の手も考えとくから。それと、少しでも良いからイフを元に戻せるきっかけがあれば何とかなるから、頑張って」
亜里沙:「うん、私は大丈夫…セレナの結界もあるし、思ったよりも私も強いみたいだし…」
亜里沙は殴り続けたが、反射だけでなくイフ自身も亜里沙を殴り始めた。
亜里沙:「へぇ〜イフも私と直接喧嘩してくれるの?嬉しいなぁ〜さっさとビームとかで吹っ飛ばされたらどうしようかと思ってたんだよ…」
亜里沙も応戦し、互いに殴り合った。
一方、アルティアは氷漬けにされたが、氷を粉砕して何事もなかったかのようにガイドを睨みつけた。
アルティア:「いや〜全ての属性使えたりする?凄いな。あたしは無属性だからさ」
アルティアは笑った。
ガイド:「あら?魔属性じゃないの?あと重力も使えてるし」
ガイドは笑い返した。
アルティア:「まあね。鍛えてたら身に付いた」
アルティアは魔力をさらに解放した。
アルティア:「ここからが本番だからさ。これがあたしの魔闘気!」
アルティアは力を高めていった。
ガイド:「なんか能力が上がっていってるね。でもそれじゃ勝てないかな〜?」
ガイドは構えた。
アルティア:「ガイドが構えてくれただけであたしは嬉しいよ。今までは一切構えてなかったしさ」
アルティアは短距離ワープをし、正面から無数の乱舞を浴びせた。重力も攻撃に合わせて重くなっていき、攻撃をしつつエネルギーをチャージしているようだった。ガイドは少しでも重力圏から抜け出そうとするも、体が思うように動かず、魔闘気によって重力圏はパワーを充填していった。
ガイド:「まさか、前にやった大爆発を超えるものを発動するつもり?無駄よ。そのままあなたに返すだけだし」
アルティア:「それだと面白くないし、もっと凄い事をするつもり」
アルティアはニヤリと笑うと、重力圏の中で亀裂が発生していった。
ガイド:「まさか!自力で次元に影響を与えるつもり?」
ガイドは少し驚いた。
アルティア:「あたしは執念深いんだ。やられた事はきっちり返す!本当はスカート捲って下着見せてやりたかったけど、スカート履く趣味はないし、もうこの服もボロボロだし、見えてるんじゃないか?下着ぐらい」
アルティアは笑うと、
アルティア:「さよならだ!アビスエクスプロージョン!」
と言うと、重力圏の中でビッグバン級の大爆発が起き、ガイドを包み込み一気に消滅した。その影響で出現した次元の歪みに消えていった。
アルティア:「一応勝ったのかな…どこかの世界で頑張って生きてくれ…それより亜里沙は大丈夫かな〜あんな戦い方で…まあ亜里沙らしいか…」
アルティアは全身から力が抜け、崩れ落ちた。
アルティア:「悪いけど少し休むよ」
アルティア対ガイド、勝者アルティア。
亜里沙:「なんか凄い音がしたけど、アルティアが勝ったんだ。さすがだな…私も頑張らないと」
殴り合いは続いていた。周りへの被害はないが、亜里沙はその分一身でダメージを引き受けていた。その時、剣が抜け落ち、それと同時に青いリボンが出てきた。
亜里沙:「これって、私がイフに買ってあげたあのリボン?全然付けてくれないから捨ててたのかと思ってたのに…大事に持っててくれてたんだ…」
亜里沙は涙して喜んだ。
イフ:「……返して…」
亜里沙:「えっ?何か言った?」
イフ:「返してよ…」
亜里沙:「イフ、意識あるの?良かった」
エリス:「亜里沙!ありがとう。もう良いよ。イフの因果、今捉えたから」
と言うと、
エリス:「さあ、異形なんてそもそもなれなかったんだよ。イフは優しい子だからね」
と言うと、イフの因果は書き換えられ、異形になれないイフになり元の姿に戻っていく。
イフに思わず抱きつき、
亜里沙:「イフ、良かった。元に戻れて。やっぱりこの方が良いよ」
と喜ぶ。
イフ:「亜里沙、そんな事よりリボン返してよ。私のだし…」
亜里沙:「あ〜ごめんごめん。でもちゃんと持っててくれたんだ。嬉しいよ。でもさ、どうせなら付けてくれない?せっかく似合うと思って買ったんだし」
と差し出す。
イフ:「恥ずかしいし…機能がないから大丈夫…」
とスタスタと歩いて行くが、亜里沙はすぐに追いかけイフの髪を一本結びにした。
亜里沙:「やっぱり似合うよ。可愛いよ」
イフ:「何勝手な事してるの?亜里沙…でもありがとう…」
と照れているのか振り返らずお礼を言う。
亜里沙:「うんうん。素直で良いよ」
と笑う。
ヴィスティー:「そんな事より、フルパワーでも性格は変わらずなの?」
と聞く。
亜里沙:「えっ?普通ですよ。どうしてですか?」
と首を傾げる。
ヴィスティー:「じゃあ、アディントの効果はあったって事ね〜」
と喜ぶ。
それを聞いた亜里沙は、
亜里沙:「あっ!あれってどういう事何ですか?色々と制限かけられたんですけど。ガチャとか最初はセリフも言えなかったし…一時間で能力解除、下手したらしばらくログインできないし、名前は変だし」
と今までの不満をぶつけた。
エリス:「ほら、やっぱり不評だったじゃん。私は止めたんだよ。あんな面倒な事しなくて良いじゃんって」
と言ったが、ヴィスティーは悪びれる様子もなく、
ヴィスティー:「あれは仕様だしただの遊び心じゃない〜。名前も考えてて、名前はALISAでいいかって思ってたけど、エリスと喋ってたらAAAAになってたけどいいかなって思ってそのままに」
亜里沙:「いや良くないでしょ!」
と思わずツッコんだ。
エリス:「あとは力を使い放題にするのもどうかと思って、能力をアディントって形で制限したの。ガチャとかランダムにする必要はなかったけどね…まあある程度は出したいものを出す様にはしてたけどごめんね」
と言うと、
亜里沙:「まあ楽しかったしいいか〜」
と笑った。
が、急に亜里沙とヴィスティーが険しい表情になる。
ヴィスティー:「亜里沙も感じた?」
と亜里沙の方を見ると、
亜里沙:「はい。でも感じたというか、見て下さい。空に別の世界が近づいて来ています!」
と上空を指さすと、別の異世界が亜里沙達のいる異世界に近づいて来ているのが確認できた。そしてその前には、服がボロボロになってスカートもほぼ機能していない状態で、顔も体もひび割れているガイドの姿が見えた。
セレナ:「うそ!あれガイドだよ!」
アルティア:「もう戻って来たのか。それより顔とかおかしくない?ひび割れてるけど?」
と話していると、
ガイド:「アルティアさん、なかなか良い攻撃でした。私も他力でガイドの状態で倒されるとは思ってもいなかった。でも、おかげでようやく本来の姿に戻れそうです」
とボロボロの笑顔を見せた。
亜里沙:「そんな事より、背後にある異世界は何?」
と聞くと、
ガイド:「あ〜あれは私が落ちた世界を捕食者に食べさせようと思って引っ張って来たのよ」
イフ:「私お腹は空いてるけど、もう食べたくない…」
ガイド:「何言ってるの?食べなさい。命令よ…」
と言っていると、空間が歪みガイドの前にクロノスが現れる。クロノス:「ガイド、聞きたいことがある…いや、聞きたいというよりもうその顔で確定だな…お前はウラヌス本人か…?」
クロノスはなぜか少し震えながら質問する。
ガイド:「そうよ」
とガイドはひび割れた顔を自ら砕き、ボロボロの衣装と手足も砕き、そしてクロノスリングのようなものも外した。
アルティア:「まさか、力を落としてあの強さだったのか?」
とリングが制御装置だったと認識して驚く。
ウラヌス:「クロノス、そうよ。私よ。久しぶりね、この姿で会うのは…元気だった?あーメンタルボロボロで死んだんだっけ?ご愁傷様〜」
と無表情で言う。
ウラヌス:「前にも言ったけど、私って笑うの嫌いなのよね〜」
と言う。
クロノス:「そうか。探してても見つかるわけがないよな。本人が生きててガイドのふりしてるんだもん…」
ウラヌス:「う〜ん?ふりじゃないよ。ちゃんと下っ端から頑張ったし、ガイドの地位になるまでね。あなたに殺された事全然恨んでないから安心してね」
と淡々と言うと、
クロノス:「ふざけるな〜」
短剣で刺しに行く。しかし、ウラヌスは構っている暇がないと言いたげに、さっさとイフの元に行き、
ウラヌス:「ごめんね、イフ。時間ないしもう今の状態でいいから、私の理想の世界を頂戴」
と言うと、イフのお腹の中に手を入れイフの中で融合された世界を取り出そうとする。しかし、
ウラヌス:「んっ?おかしい…何故負の部分が残ってるんだ?」
と考えてイフの顔を見ると何かに気付いてイフから取り出した世界を持ったまま
ウラヌス:「もうこの時点で計画は最終段階へと移行する…ではさようなら〜」
と空間に亀裂を発生させてそこに入ろうとすると、イフが無意識に手をかざすと、ウラヌスがいる方面にあった街とその周辺が一瞬で消えていった。
ウラヌス:「やはり何かいるな…?」
と亀裂の中に入って行く。
ヴィスティー:「今のは何かな?」
エリス:「今までのイフとは全然違う」
クロノス:「そもそも捕食者が消し去るのはおかしい。しかも街をだぞ?」
亜里沙:「イフどうしちゃったの…?」
イフは消滅させた後そのまま眠りにつく。
ガイドの正体も明らかになり、このまま亜里沙達はウラヌスとの最終決戦に進んで行くこととなる。




