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ログインガチャ:選ばれた運命、進むべき道  作者: 紅月ヨルカ


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失われた記憶

会議室では、巨大なモニターに映し出されたガイドの姿を、メビウスとクロノスが険しい表情で見つめていた。その様子を伺っていたエリスは、「私は亜里沙たちに合流するわ。何が起こるか、近くで見守りたいから」と二人に告げた。クロノスは「分かった。何かあれば連絡してくれ」と答え、エリスはどこか胸騒ぎを覚えながら、亜里沙たちの元へと向かった。

「ガイドが妙な動きをしたら、すぐに捕らえる。問題ないわね、メビウス?」メビウスは冷たい声で言った。「もちろん、そのつもりよ。だって、もしウラヌスの関係者だったとしたら、スパイみたいなものだったってことでしょ?許せないわ」クロノスは、うーんと上を見上げて言った。「でもさ、ずっと前からガイドとして頑張ってくれてたんだから、もうスパイとか関係なしに、すごいことだと思うよ。ガイドの座につくのだって大変なことじゃない?下積みからやってきたんだし、すごい根性だと思うよ」

クロノスはメビウスを窘めるように言ったが、メビウスの表情は変わらない。「それでも、腹が立つわ。ガイドとしては優秀でも、裏で何かをしていたとしたら、許せない…」いつも以上に苛立っている様子が見て取れた。

クロノス達が見守る中、画面越しに、ガイドが空を見上げ、不気味な笑みを浮かべていた。その瞬間、ライティアは崩壊を始めた。空には亀裂が走り、大地は激しい揺れと共に隆起し、建物は次々と倒壊していく。世界そのものが圧縮されていくような、言いようのない圧迫感が人々を襲った。ガイドはその場で微動だにせず、ただ不気味な笑みを浮かべていた。

その異様な光景に、何かおかしいと疑念を抱いていたアルティアは、確信へと変わり、ガイドの元へと駆け寄った。「お前は何をしている?このままでは世界ごと消滅するぞ!」アルティアが叫ぶと、ガイドはゆっくりと振り返った。「あら、アルティアさんではありませんか。少し前に転移されたのでは?」

「ああ、入るふりをしてお前を見ていた」アルティアが答えた瞬間、世界全体が大きく揺れた。「そうですか。ここは危険です。場所を変えてお話しましょう」ガイドはそう言うと、転移装置を開き、アルティアと共に別の世界へと移動した。


二人が着いたのは、街ではなく、切り立った岩がそびえ立つ荒涼とした場所だった。アルティアは何かを察知し、警戒態勢を取った。「街じゃない?」

アルティア「あたしが見たのは、見ちゃいけない光景だったみたいだね。だったら、転移させずにあのまま置いていけばよかったのに」アルティアは自嘲気味に笑った。

ガイドはいつもの笑顔を絶やさない。「それだと面白くありませんから。あなたが私の何に違和感を持ったのか、その理由も聞きたかったし」

アルティア「簡単なことだよ。亜里沙が気を失ったのに、その笑顔で見ていた。駆け寄ることもせず、明るい声で弱っていると言ったんだ」アルティアは拳を強く握りしめた。「普通、弱っている者に笑顔で弱っていると言うか?お前はガイドだろう?心配するのが普通じゃないか?」

ガイドは微笑んだまま答えた。「ごめんなさいね。私には私情がないので、普通がわからないんです」

アルティアは冷笑した。「はぁ?笑っているくせに、情がないわけないだろ?」

ガイドは小首を傾げた。「ええ、知らないんですか?人の警戒を解くには、笑顔がいいんですよ。覚えておいてね」

アルティアは軽く笑った。「あいにく、あたしはよく笑う方でね。でも、ちゃんと笑っていい時かどうか分かった上で笑っている」

ガイドはつまらなさそうに言った。「ふうん、つまらない人ね」そして、さらに笑顔を深めた。

アルティアは素早く距離を詰め、渾身の一撃を放った。しかし、ガイドは涼しい顔で軽く身をかわし、攻撃を回避した。そして、笑顔で言った。「いきなり暴力ですか?野蛮ですね。でも、安心しました。別に私のことに何か気づいたというより、ただ『お前、あれはおかしいぞ』と言いにきただけなんですね」

アルティアは答えた。「ああ、『おかしいぞ』と言いにきただけでもないよ。今の動きで分かった。ただのガイドじゃないな。あの世界の消滅にも関わっているな」

ガイドは軽く笑った。「それって、あなたと何か関係あります?」

アルティアは答えた。「ああ、大いにあるね。だって、あそこの世界であたしは覇王になったからね」

ガイドは微笑んだ。「ええ、おめでとうございます。その調子で、この世界でも覇王になってくださいね」

次の瞬間、アルティアは拳圧を10発浴びせ、砂埃で視界を遮った。そして、砂埃が晴れるよりも早く、「ゼロ・インパルス!」と両手から砲撃を放った。しかし、煙の中から現れたガイドは、無傷で同じ場所に立っていた。

ガイドはアルティアを見つめ、にこりと笑った。「さっきから、拳圧で風をたくさん出していますが、目的は何ですか?もしかして、スカートを捲りたかったんですか?」ガイドはわざとらしくスカートをひらひらさせて笑った。

アルティアは顔を赤くして叫んだ。「そんなわけないだろ!あたしを馬鹿にしているのか?」

ガイドは肩をすくめた。「別に馬鹿にはしていませんよ。どうでもいいし、それにあの程度じゃ、私のスカートも捲れませんよ」そう言って、ガイドは自ら両手でスカートを捲り、少し黒い下着を見せた。

アルティアは怒りに震えた。「お前、あたしを本気にさせたな!」アルティアの全身から闘気が溢れ出し、髪の色が赤く変わった。闘気によって、周囲の重力も変化し始めた。

ガイドはスカートを捲ったまま、楽しそうに笑った。「やっと本気ですか?次は、面白いことしてくださいね」


「ここからは手加減できないよ」アルティアはそう言うと、この辺り一帯の重力を増した。

「ああ、重力か」ガイドは笑った。

「私はそこにはいないよ」アルティアはそう言うと、背後から手や足を駆使し、乱舞のように何十発もの攻撃を繰り出した。しかし、ガイドはそれらをギリギリで全て回避した。

(重くしてもこれか…)

「やるな。じゃあ、さらに行くぞ!グラビティブースト!」アルティアの体は軽くなり、さらに素早く動けるようになった。そして、さらに激しい肉弾戦を行う。時折、「グラビティショットガン」と無数の重力弾を打ちながら戦うが、それらも全て回避される。

「お前は普通じゃないな」

ガイドは笑顔で言った。「そうですか?あの程度の重力、私には軽すぎます」

「ずいぶんと馬鹿にされたものだ。普通なら、ここまでやれば倒れるんだが…。まあ、こうなることを予想して技を使っていたんだし、いいか」アルティアはそう言うと、一気に限界まで重力を増した。

「ん?何かする気?楽しみだ」ガイドは笑った。

「もう笑えないと思うよ」アルティアは重力空間を拳に集めた。そして、「終わりだ!」と叫び、ワープでガイドに接近した。「グラビティ・インパクト!」拳を前に突き出すと、あたり一面が大爆発を起こし、溜めていたエネルギーが一気に解放された。

しかし、ガイドは「さすがにまずいか」と言うと、その大爆発を取り込み、倍の威力でアルティアに返した。

ガイドは満面の笑みを浮かべた。「楽しかったわ。ありがとう。もう会うことはないでしょうけど」

アルティアは吹き飛ばされた。

「うーん、この辺かな?」ガイドは次元の歪みをアルティアが落下する位置に作り出し、アルティアはそのまま穴に落ちていった。

「さようなら。じゃあ、亜里沙さんを見つけないと」

この時の大爆発は、亜里沙たちのいる街まで響き渡った。

その大爆発の少し前亜里沙は転送中に意識を失っていた。遠くで亜里沙を呼ぶ声が聞こえる。その声が薄れていく中、亜里沙は過去の記憶を夢見ていた。

ここはどこだろう?亜里沙がそう思うと、鎧を着て兜で顔を隠した人物の姿が見えた。人物は剣でモンスターたちを切り裂き、魔法を使い、ボスと思われるモンスターを倒していく。あの人は勇者だろうか?

場面は変わり、今度はセイレーンや巨人の剣士を倒している。アマテラスと契約をしているシーンだ。これは…?ガチャで召喚したことがあるような…。

画面が変わると、勇者が歩いている。その後ろでは、街が戦火の炎に焼かれている。住民たちも切り刻まれていた。ひどい…、勇者がやったのか?

家に入っては金品を奪い、抵抗する者は切り捨てる。大きな家に入ると、同じようにタンスなどを漁って金品を奪おうとした。すると、大男とその妻が勇者に対して攻撃を仕掛け、少しダメージを与えたようだった。手ごたえを感じた大男が距離を詰めると、勇者は持っていた剣で足を切り、倒れた大男をなぶり殺すかのように、少し炎を出し、じわじわと燃やしていった。その炎は家にも燃え移り、家も燃えていく。

その光景を見た妻は、助けを呼ぶため勇者に背を向け走り出したが、その瞬間、雷撃が妻の体を貫き、背後から高速移動をした勇者は、その勢いのまま妻の首を切り落とした。その光景を、小さな女の子が物陰に隠れて見ていた。女の子も両親を助けようと勇者に殴りかかるが、全く歯が立たず吹っ飛ばされる。そして、勇者は「自分より強い者しか興味がない」と言うと、トドメを刺さずに立ち去っていく。こいつは一体…?

画面が切り替わり、目の前にセレナが立っていた。あれ?セレナだ〜良かった知っている人に会えてよかった。と喜んだが、どうやら勇者目線になっているようで、険しい顔をした傷だらけのセレナが、闇の世界を出し、今まで追い詰められていたのが嘘のように、圧倒的な力で亜里沙を攻撃してきた。え?私を攻撃しているの?どうして?次の瞬間、大爆発の爆音が響き渡り目の前が真っ白になり、亜里沙を呼ぶ声がはっきりと聞こえ、目が覚めた。

「あれ?私、どうしてたんだっけ?今の音は何?」

セレナが嬉しそうに言った。「よかった。また気を失ったから、心配したんだよ!」

イフが物陰からゆっくりと歩いてきた。「今のは大爆発だね。ここから結構離れた場所から聞こえたから、相当すごい規模だと思うよ」

「ああ、イフ。どこに行ってたの?一緒に来なかったから、心配したんだよ!」

イフはウトウトしながら答えた。「ごめんね、ご飯食べてた…。今は眠い。亜里沙は大丈夫そうだね」

亜里沙は軽く笑った。「大丈夫そうだね、じゃないよ。変な夢は見るし、セレナと戦ってる夢とか、あたしが勇者になって街を救う夢とか」

セレナは笑った。「え、私と戦う夢なんて見てるの?最初に少し戦っただけじゃん。いい思い出だよね」

イフは眠たそうな目を擦りながら言った。「亜里沙は覚えてる?冒険者ギルドを追放されたこと」

亜里沙は答えた。「え?覚えてるよ。理由をガイドさんに聞いてみないとね。納得できないよ。お金も使えないし」

その時、女性が声をかけてきた。「あらあら、女の子が地面に座って汚れるわよ。お連れの子は立ったまま寝てるし」

その女性は、金色の髪を後ろで軽く束ね、自然に流れるラインはまるで陽の光を反射するように輝いていた。髪の先端が柔らかく揺れ、歩くたびに軽やかに舞っていた。整った顔立ちは優雅さを引き立て、まるで夜空に輝く星のような大きな瞳には、何とも言えない優しさが宿っていた。短めの白いワンピースを着ているその女性が、亜里沙たちを見て微笑んでいた。

「ああ、綺麗な人…。すみません、すぐ立ちます」亜里沙は立ち上がろうとしたが、少しふらついた。

「あら、無理に立ち上がらなくてもいいのに。寝てたでしょ?心配で様子を見てたのよ。ふふふ」

セレナが驚いた。「え?見てただけ?」

女性は答えた。「ええ、だって知らない人だしね。ギルドの人でもなさそうだし」

亜里沙は言った。「少し前まではギルドだったんですけど、追放されちゃって」

女性は手を差し伸べた。「まあ、そうだったのね。大変ね」

亜里沙が手を握った瞬間、何かを感じた。今まで何かによって抑えられていたものが解放された感覚。それは亜里沙だけでなく、手を差し伸べた女性やセレナも感じていた。

亜里沙は女性を見つめた。「もしかして、ヴィスティー?」

女性は微笑んだ。「ええ、やっと会えましたね、亜里沙ちゃん」

この二人が出会う時、全ての時間が動き始める。

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