緊急会議
亜里沙がアルティアと戦かってる最中別の世界では…「メビウスが召集をかけるなんて珍しいね、わざわざ呼ばなくてもリモートでも良いのに」クロノスが部屋に入ってくる。
「しかもレストランとかでもないし…今回はどういう会議?もしかして結構真面目なやつ?」
クロノスは周りを見渡しながら言った。
ここはメビウスが異世界の管理システムの全てを統括する事が出来る部屋で、本来はメビウス以外の者が足を踏み入れる事さえできない場所なのだ。
部屋は、想像を絶するほど広大で、無機質な空間だった。
壁一面に設置された巨大なモニターには、無数の異世界が点として表示されている。
モニターの前には、無数のコンソールが整然と並び、複雑な配線が張り巡らされている。
「あら?ここは飲食禁止ですよ。レストランが良ければ後でいくらでもどうぞ?大事な話さえ終われば後はどこでも良いからね」
部屋の中央にある漆黒の椅子に座りながらメビウスが答える。
「しかし凄い部屋だね、無数の広がる異世界の状態が全て表示されてる。見ようと思えば個別に異世界内の状況も見れるんでしょ?」
クロノスはこのシステムに興味津々で目を輝かせていた。
「まあ見ようと思えばね。それよりそこに座ってもらえる?そろそろ会議を始めたいのだけど?」
少し苛立っているのか、メビウスはクロノスに急かすように言った。
「あれ?2人だけ?ならリモートでよかったんじゃないの?いつもみたいに」
言いながらも部屋の隅にある簡素な椅子に腰掛けたクロノスの視線は、メビウスではなくモニターに注がれていた。
メビウスは呆れた様子で言った。
「正確には3人です。ただちょっと遅れてるみたいで、呼び出したのも正確には私ではなくエリスです。」
「エリス?また珍しい名を…って事は本当に重大な事があるんだろうな。にしても呼んだ張本人が遅刻とは許せないな。私も忙しいんだけど。」
クロノスは少し怒った感じで言った。
「そこは良いです。おそらくいつでも来れるでしょうし…それより今の内に話しておきたい事があります。一つは異世界がどんどん減ってる事についてですが、これは捕食者の仕業で間違いありません」
「あー捕食者ってイフだろ?亜里沙と一緒にいたから珍しいし託してみたんだが、ダメだった?」
クロノスは笑いながら言った。
「その報告は聞いてませんけど?今までなかった事が起きてるって事かな?」
「そうだね。間違いなく違うよ…あの2人が一緒に行動してるのはさ…正直ちょっと嬉しかったよ」
クロノスはしみじみとした様子で言った。
その様子を見て、メビウスは強い口調で言った。
「クロノスさんは良いかもしれないけど、それ以降も数は減っています。託しても何も変わってない!」
「そんなに怒るなよ。ただ託したんじゃなくて、亜里沙にクロノスリングも渡したし、そう悪くはないよ」
クロノスは肩をすくめて笑った。
「へぇ〜、それはまた違いますね〜。では、それ以降を見てみましょうか?」
メビウスは冷たい視線でクロノスを見つめ、巨大スクリーンに亜里沙のその後の行動を映し出した。
スクリーンには、亜里沙が訪れた世界が次々と消滅していく様子が映し出される。
「亜里沙が行った世界は全て消滅しています。これでも託して良かったの?」
メビウスは強い口調でクロノスを責めた。
その時、突然エリスが現れた。
「全ては必然でしょ?メビウス」
エリスは涼しい表情で言った。
「おい、エリス。遅刻だぞ?」
クロノスは苦笑いしながら言った。
「あら、ごめんなさい。旧友との再会についつい時間を忘れて過ごしてしまったわ」
エリスは少し笑って答えた。
「まあ、仕方ないけどさ。私もそうだったし…」
クロノスも笑って言った。
「良いですね。2人は会えて。私はまだだから」
メビウスは少し拗ねた。
「まあ、その話は置いといて。私、わかっちゃったかも。ウラヌスの計画を着実に進行している者が」
エリスは真剣な表情で言った。
「クロノスさんは嫌かもしれないけど、ウラヌスさんは死ぬ前にイフと亜里沙を作ってる。そして本人亡き後も、イフによってその計画は動いてる…そして、その状況を隠れて見ている者がいる。」
エリスはため息をついた。
「わかってる。そいつがウラヌスの生まれ代わりなんだろ?ずっと探してても全くわからないのに、近づけたのか?」
クロノスは落ち着いた口調で言った。
エリスは頷いた。
「2人にとっては複雑だと思う。異世界を作り、その管理システムも作り、異世界同士を結び、自由に行き来できるようにしたり。いわば英雄や神と呼ばれていた存在…なのに、それと同時に生み出されたイフによって、異世界が消えようとしている…でも、そのイフを操ってる者を倒せれば、全て終わる。」
「それで、操ってる者は誰なの?」
メビウスが聞くと、クロノスも耳を傾けた。
「メビウス、イフが異世界を食べてるって報告は受けた事ある?」
エリスは冷静に尋ねた。
「いや、亜里沙が去った世界のガイドからはそんな報告は受けてないな…食べられたから報告がなくて当たり前じゃないの?」
メビウスは疑問を呈した。
クロノスは茶化すように言った。
「まあ普通はそうだよね。冒険者ギルド元々消滅じゃ報告出来るわけがない」
エリスは少しムッとした。
「普通はそうだね。でも今の亜里沙の映像で不思議な所はなかった?ほら、亜里沙が去る所」
それを聞いて、2人は映像を注意深く見つめた。
クロノスは首を傾げながら言った。
「イフだけ別行動か?異世界移動する時別に食べるんだから、そこは普通じゃないか?」
メビウスは疑問を抱いた。
「そこは普通だけど、待って。なんで亜里沙を送ってるガイドが毎回同じなの…?一緒に世界と消滅するはずなのに…?」
クロノスは軽く笑いながら言った。
「あー、こいつは亜里沙と会ったとこにもいたよ。あれ?ガイドってみんな同じ顔か?」
メビウスは呆れた様子で言った。
「そんなわけないでしょ?どんだけ異世界はあると思ってるの?1人でこなせるわけないじゃん」
エリスは冷静に分析した。
「うん。つまり、このガイドが怪しい。しかも報告がないっていうのも怪しいと思わせる要因。何かを知ってるって事だよ」
メビウスは考え込みながら言った。
「亜里沙の世界には必ずこのガイドか…生きてるなら報告すれば良いのに、何故しないの?」
クロノスは何かに気づいたように言った。
「いや、待て。こいつも一緒に亜里沙と移動してるならわかるが、亜里沙が去っても移動してない。むしろ、イフが異世界を食べようとしても笑顔で見てる。」
エリスは確信を持って言った。
「ちなみに、今いる世界もこのガイドさん、私の方をずっと見てた。目線を逸らさずに。」
メビウスは状況を理解した。
「状況は理解した。でも信じられない…だから、ちょっと賭けをしようと思う。確信を持つために。」
「それは、異世界を食べさせるの?そのあとガイドが生きてたら、みたいな事?」
クロノスは尋ねた。
メビウスは計画を語った。
「いや、亜里沙をギルドから追放したら、ガイドがどう動くかを監視するっていうのはどう?」
クロノスは難色を示した。
「ん?追放?それじゃ亜里沙が可哀想だ…」メビウスは続けて「追放すれば、亜里沙の動きは把握出来なくなる。それに亜里沙自身も、追放されてもおかしくない理由はあるし。ルール違反も冒険者も何人も殺してるしね」
とメビウスが笑った。
それを聞いたエリスは「そうね、亜里沙もルール違反をしているし、ガイドも納得するでしょう?今は亜里沙はどうしているの?」といいました。
メビウスは検索をし、現在の様子を巨大なスクリーンに映しました。「アルティアに負けて気を失っている?それでガイドが冒険者ギルドのベッドで寝かせているのか…ちょっとガイドに連絡して、目が覚め次第ギルドを追放するように伝えてみる」というと、ガイドに連絡を取りました。
「あ、私よ、メビウスだけど、大事な事を言うから聞いてね」
「はい、どうされましたか?」
「亜里沙は問題行動を起こし、冒険者も何人も殺している。そこで亜里沙を冒険者ギルドの権利を剥奪し、永久追放とする。ただし最後の情けでこの世界からも追放とするから、どこへでも行かせばいいよ」
「わかりました。それではそのように致します。それでは失礼いたします」
そういって通信が切れました。
「さて、いよいよガイドの正体がわかるね。楽しみだな」とクロノスは笑った。




