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ログインガチャ:選ばれた運命、進むべき道  作者: 紅月ヨルカ


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来訪者

ライティアの街に到着した亜里沙とセレナ。しばらくして、イフも合流した。


「またいっぱい食べてきたの?」

亜里沙が尋ねると、イフは満足そうに笑う。


「うん、満足だよ。」


しかし、セレナは険しい表情で空を見上げる。


「また空が暗いし、雷も激しいな……ここにアルティアも来てるのかな?」


辺りを警戒しながら視線を巡らせると、イフが「大丈夫、来てるみたいだよ」と、遠くを指さした。


亜里沙とセレナがそちらを向くと、何十人もの兵士が倒れているのが見える。


「えっ? あれ全部アルティアがやったの?! っていうか、なんでまた揉め事起こしてるの!? 本人はどこ?」


慌ててアルティアを探そうとしたその時——


「ちょっといいかな〜?」


不意に、亜里沙たちに話しかける声がした。


振り返ると、そこにいたのは金色の髪を持つ女性。穏やかな笑顔を浮かべている。


「ごめんね、急に話しかけてびっくりしたかな? 私はエリス。ちょっと聞きたいことがあって、お時間は大丈夫?」


気さくな口調で問いかけてくるエリスに、亜里沙は少し警戒しながらも答える。


「えっ? 私たちに聞きたいこと? なんですか?」


「意外と警戒せずに話を聞いてくれるんだね〜。よかった〜、悪い人じゃなさそうで。」


エリスは笑うと、少し首を傾げながら言った。


「ちょっと変なことを聞くけど……貴方たちがここに来る前にいた世界、エリシオンなんだけどさ〜、少し前に消滅しちゃったんだよね。何か事情、知らないかな〜って思って。」


「……消滅した? せっかく光を取り戻したのに?」


亜里沙は驚き、イフの方を見る。


「いや、全然知らないです。私たちの後にイフもこっちに来れたし、その後じゃないかな?」


イフも「わからないね」と首を振る。


エリスは「そうなの〜?」と気のない様子で呟いたが、ふとイフの目をじっと見つめた。


「そこのイフは何か知ってそうだけどな〜? ……あなたじゃないの? 捕食者って?」


イフは無表情を装うが、その目にはかすかな動揺が浮かぶ。


「まあいいか。」


エリスはふっと興味を逸らし、今度は亜里沙の方を見つめる。


「もう一つ聞きたいんだけど? 貴方って 高村亜里沙 で、星運町出身 だっけ?」


「え? そうですけど……よく知ってますね?」


思わず驚く亜里沙に、エリスは肩をすくめる。


「そんなに驚かないで? こっちの方が驚いてるしね…… 存在してない世界から来た、実在しない人物 ……貴方は誰なのかな?」


「さっきから、なんかおかしなこと言ってるよ。注意してね。」


イフが警戒を強め、亜里沙に忠告する。


するとエリスはクスクスと笑った。


「へぇ〜、意外。あなたって人を守るようなことするんだ〜? ただの怪物じゃないんだ?」


その言葉に、亜里沙の目が鋭くなる。手元のデバイスを起動させた。


「アディントログイン。」


電子音が響き、頭上に 【AAAA レベル1】 の文字が浮かぶ。


「イフのこと怪物とか失礼なこと言うと、許せないよ!」


戦闘態勢を取ると、セレナも力を込める。


「よくわからないけど、仲間になったし、私も力を貸すよ!」


「あらあら、イフも本当のことを言えばいいのに。『私が食べました』 って。」


エリスが意味深な笑みを浮かべた瞬間——


「っ!」


セレナが氷の槍を生成し、エリスに向かって放つ。


「ひゃっ! 危なかった〜。」


エリスは身をひるがえし、間一髪でかわす。


「ふーん、意外と強い?」


「亜里沙、気をつけて!」


「うん、わかってる!」


亜里沙はガチャを回し、新たな武器を引き出そうとする。しかし——


「ふーん、まだその段階なんだ。じゃあ、楽しめないな。」


エリスが指を軽く振ると——


「——っ!?」


亜里沙の動きが急に止まった。


「アディントログアウト。」


システム音が響き、強制的に戦闘フィールドが解除される。


「えっと……どういうこと?」


困惑する亜里沙をよそに、エリスは楽しそうに笑う。


「さあ? 元に戻っちゃったね? 戦闘不能かな?」


そして、エリスはセレナに目を向けると——


「貴方も邪魔ね。」


次の瞬間、セレナの体内で 爆発 が起こった。


「ぐっ……! どうして……?」


セレナは片膝をつき、苦しそうに息をする。


「まだまだね。イフ、正直に言わないと 解放しちゃうぞ⭐︎」


ゆっくりと近づくエリス。


「やめて……ちゃんと言うから、これ以上は……」


イフが絞り出すように言った、その時——


「なんだ〜? 面白そうなことしてるね〜。私も入っていいかな?」


雷鳴が轟く。


その声の主——


アルティア が、ゆっくりと歩いて来た。


 雷鳴が空を裂く。空は分厚い雲に覆われ、絶え間なく光と轟音が鳴り響いている。


 その中で、向かい合う二人の少女。


 アルティアは腕を組みながら、エリスをじっと見つめた。


「……あんた、なんか強そうだな」


 その言葉に、エリスはふっと微笑んだ。


「ふふ、そう見える?」


「見えるさ。見た目とか、そういうのじゃなくて……雰囲気っていうのか? なんとなく、すごく強い気がする」


 アルティアの直感は鋭い。目の前の少女は、単なる敵じゃない。自分が知るどんな強者とも違う、得体の知れない何かを持っている。


 しかし——


「私は弱いよ」


 エリスは微笑んだまま、さらりと言ってのけた。


「は?」


「だって、誰も倒したことがないもの」


「……?」


「でも、戦うこともないんだけどね」


 雷鳴がまた轟く。


 アルティアは眉をひそめた。何かがおかしい。この少女の強さは勘違いなのか? それとも——


「——試してみる?」


 エリスの銀髪が風に揺れる。


 彼女はその場から一歩も動かず、ただ静かに微笑んでいた。


「……面白えな」


 アルティアは拳を握りしめる。戦いの合図は、すでに交わされた。



雷鳴が空を裂き、稲妻が大地を照らす。ライティアの空は常に荒れ狂い、薄暗い雲の間から閃光が影を踊らせていた。



「懐かしいわ、こうして向かい合うのも」


 エリスは楽しげに言いながらも、その目はどこか遠い過去を見ているようだった。


 対するアルティアは拳を握りしめ、一歩前へ出る。


「……何がおかしい」


「おかしい? ふふっ、だってあなた、何をしても無駄なんですもの」


 その言葉に、アルティアの眉がわずかに動く。


 次の瞬間、彼女は地を蹴った。雷鳴が響く中、一気にエリスの懐へ踏み込む。


(速い!)


 右拳を突き出し、エリスの顔面を狙う。しかし——


その拳は、初めから存在しなかったかのように止まっていた。


 振り抜いたはずの腕が動いていない。意識と身体がずれている。


「……は?」


 確かに撃ち込んだ。腕を伸ばした感触もある。だが、視界の中のエリスは微動だにしていない。まるで「攻撃しようとしたこと自体がなかった」ように。


「な、んで……?」


「言ったでしょう? 何をしても無駄だって」


 エリスは肩をすくめながら、手をひらひらと振る。その軽い仕草が、アルティアには挑発のように見えた。


 苛立ちを隠さず、再び拳を振るう。しかし、今度は——


 アルティアの拳は自分の顔面を打ち抜いていた。


「っ……!!?」


 瞬間、視界が揺れた。自分で自分を殴った。そんなはずはない。狙ったのはエリスだ。


 蹴りを繰り出そうと足を踏み込んだ瞬間、膝が崩れる。力が入らない。


「くそっ……!!」


 雷がまた空を裂いた。


 その光の下で、エリスはふっと小さく笑う。


「——負けを認めなさい、アルティア」


 息が荒い。拳を握る手が震える。


 自分は弱くないはずなのに、何もできない。


 何をしても攻撃にならない。気づけば無かったことになり、時には逆に自分がダメージを受ける。こんな戦い方、見たこともない。


 だが、こんなもので諦めるわけにはいかない。


 アルティアは乱れる呼吸を整え、ゆっくりと立ち上がる。


「……負けたとは思ってない」


「ふふ、それなら?」


「ここじゃない……今じゃない……」


 アルティアは自分に言い聞かせるように呟いた。


 そしてアルティアは最後にエリスを一度だけ見つめ、無言で背を向けた。


 何も言わずにその場を離れ、ただ静かに去っていく。


 その姿を見送るエリスの目には、何もかもを見透かされたような気配があった。


 次に向かうべき場所は決まっていた。


 雷神の居城。


 そこにいる存在を打ち倒し、自らの力を証明するために。

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