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ログインガチャ:選ばれた運命、進むべき道  作者: 紅月ヨルカ


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大食い勝負

相変わらず街は闇に包まれており、唯一冒険者ギルドだけが明かりを灯していた。


「やっぱり明るいと落ち着くね〜」と亜里沙がほのぼの言うと、イフは冷静に「私と一緒にいたんだから、ちゃんと見えてたでしょ?」と返す。

「そういうことじゃないんだよなぁ〜」と亜里沙が苦笑いしながら扉を開けると、その場にいた冒険者たちが一斉に二人を振り返り、ぶつぶつと何かを言い合い始めた。


亜里沙とイフは視線を気にせず食堂に向かって歩き出す。

(あー、闇から無事に戻ってきたから驚いてるのか)

そう亜里沙は思い直し、あえて気にしないことにした。


「イフ、好きなだけ食べていいよ。食べたらガチャするからね!」と軽く笑う亜里沙。

しかし、イフは明らかにイライラした様子で、「本当にお腹空いてるんだから、全部のメニュー頼んでいい?」と低い声で言う。

「ど、どうぞ……」と少し引きつった笑顔で答える亜里沙。


二人分の料理を注文しようとすると、カウンターの冒険者たちは一瞬驚いた様子だったが、無事に注文は完了。料理が届くのを待ちながら席に戻ると、周囲の視線がますます強くなっていることに気づく。


「イフ、どうして私たち見られるんだろう?」と亜里沙が小声で尋ねると、イフは淡々と言い放つ。

「あれだけの冒険者たちを倒したんだ。見られるのは当たり前でしょ。」


「でも向こうから攻めてきたし、姿も見られてないよね?闇だったし。」

亜里沙が不思議そうに首をかしげると、イフは冷たく答える。

「闇に対応した装備をつけてたし、逃げた奴らもいたから、そいつらが情報を流したんじゃない?」


「……じゃあ、冒険者ギルドが敵になるってこと?」

「なってもおかしくないけど、食事は頼めたんでしょ?じゃあまずは食事を食べて、それから考えようよ。」

そう言うイフの言葉に、亜里沙も小さくうなずいた。


そのとき、亜里沙の分の料理だけが先に運ばれてきた。

「先に食べるね!」と亜里沙は気にせず食べ始めるが、イフはますますイライラした様子で指をテーブルに軽く叩く。

そんなイフの様子を横目で見ながらも、亜里沙は何事もないかのように食事を続けていると、ようやくイフの料理が次々と運ばれてきた。


テーブルを埋め尽くす料理の量に、イフの表情がようやく和らぐ。満足そうに食べ始める姿を見て、亜里沙もほっと一息ついた。

しかし、その圧倒的な量に周囲の冒険者たちは再びざわつき始める。

「……なんだあの量……。」

「闇から帰ってきただけじゃなくて、胃袋まで化け物かよ……。」


イフは周囲の視線など気にも留めず黙々と食べ続け、亜里沙はそのギャップに苦笑いしながら食事を進めていくのだった。

亜里沙達が黙々と食べていると、ギルドの入り口あたりからドッと歓声が上がり、周りの冒険者達がそわそわし始めた。


「うわ〜、なんかえらい美人が来たな〜」

「ん?美人お前あのお方を知らないのか?」

「え?知らないのか?一度でも顔見たら絶対忘れないよ、美人さんだし、髪は長くて紫色で、スタイルも良くて、背もそこいらの男より高いし、胸もでかい。はぁ〜、いいな、声かけてみようかな?」と言うと、仲間の男が呆れた感じで言った。


「諦めろと言うか、女性扱いは辞めろ。もし聞かれてたら瞬殺だぞお前。」

「もう殺されてるようなもんだよ。もう彼女のことしか見れない。」


その言葉が終わらないうちに、その女性がギルド内に入ってきた。男は勢いをつけて近づき、「初めまして、良かったら食堂で一緒に食事かスイートでもどうですか?」と声をかけた。


すると、アルティアは一瞬ニコっと笑い、男が近づいた瞬間、周囲の空気が一変した。男は目を見開き、何かが彼を圧倒し、次の瞬間、彼の体は動かなくなり、その場で倒れ込んだ。彼の体はまるで力を抜いたように、床に音もなく落ちた。


「うえっ!?」と慌てた冒険者たちが叫ぶ。男は目を見開いたままで息が荒く、体が動かない。


アルティアは冷静に「悪いけど、あたしを女性扱いしていいのはあたしよりも強い奴だけだ。雑魚に用はない」と言った瞬間、男の体はふっと吹き飛ばされ、亜里沙の近くに落ちてきた。


「えっ?何があったの!?」亜里沙は驚きながら男を見て、イフは無表情で言った。「もう息はしてないよ。瞬殺だね。」


「そんなの大事件じゃん!」と慌てる亜里沙に、イフは食事を続けながら言う。「それを言い出したら、私たちの方がまずいと思うけど。」


亜里沙はその言葉に少し動揺しながらも、吹き飛ばされた男を見ていたが、アルティアはゆっくりと亜里沙たちのテーブルに近づいてきた。亜里沙はイフに小声で「なんかこっちに来るんだけど…?何か言われるのかな…?」と聞いたが、イフは食事を続けながら「あんたが直接聞けば?」とそっけなく返した。


「いやちょっと…イフちゃん…?」亜里沙が困惑する中、アルティアはテーブルの前に立ち止まり、まじまじと亜里沙とイフを見つめた。


「…私達に何かご用でしょうか?」亜里沙が恐る恐る尋ねると、アルティアはニカっと笑って答えた。「いや〜、食事中にお見苦しい物を近くに落としちゃったから、気分を害したんじゃないかと思ってね。謝罪に来たんだ。」


亜里沙は「あ、いえ、そんな…」と言いかけたが、アルティアはそのまま続けた。「それにしても、この状況でも食事をしてるなんて、大した肝っ玉だな。あたしよりも図太いんじゃないか?そこの大食いの子も。」


亜里沙は少し戸惑いながら「そ、そうなんですよー。この子、毎回全部のメニューを頼むからお金がすぐなくなっちゃって…」とおどおどしながら答えた。それを聞いたイフは、「ごめんね、全部食べるのが私のやり方なの」と一言だけ返してまた食べ始めた。


アルティアはその姿に大笑いして、「あははは!意志が硬いな〜面白い奴だわ、あんたら。気に入った!よし、ここの食事代はあたしが出すよ。お金ならトイレの紙にしてもいいくらい持ってるから、気にするな。ただし…使ったことはないけどな!」と豪快に笑い飛ばした。


その後、アルティアはレジに向かい、自分もイフと同じメニューを全て注文した。「どうせなら、どっちが大食いか勝負してみようじゃないか。」と楽しそうに言うアルティアの姿を見て、イフは「その勝負、受けるけど私が負けることはない」と、静かに闘志を燃やしていた。


そんな二人のやりとりを見て、亜里沙は苦笑いしながら「なんかもう、どうでもよくなってきたな…」と呟いた。

アルティアは戻って来ると、亜里沙たちのテーブルの隣に座った。「一緒に座ったら、あんたたちのスペースがなくなるだろ?」と豪快に笑う。その様子を見た亜里沙は、アルティアが持っている物に目を留めて驚く。「あれ?それってもしかしてお酒?」


「ああ、そうだよ。そっちの子は飲んでないみたいだけど、まあハンデみたいなもんだ。あはは、でもさ、ホントはタルで飲みたかったんだよな〜。でも断られちゃったんだ。ひどいと思わないか?」そう言うとアルティアは瓶に入ったお酒を一気に飲み干した。


そのタイミングで料理が運ばれてきた。だが、同時にギルドのガイドも現れる。

「またですか、アルティアさん!」

「へ?何のこと?」

「ギルド内での殺人は禁止のはずですよ! こんな遺体が転がっている中で、よくそんなに平然と食べられますね!」

「…ああ、あれのこと?」アルティアは、チラリと倒れている男に目を向けた。「絡まれたから、手で払ったら死んじゃっただけだよ。だってこんなか弱いあたしに、あんなゴツい男が絡んできたんだぜ?怖かったよ〜」と悪い笑みを浮かべ、もう一本のお酒をぐっと飲み干す。


それを聞いたガイドは怒り心頭。「か弱い?あなたが?覇王になったばかりか、自分の世界でやることなくなったから異世界に行こうって軽いノリでギルドに入ったって話、忘れたわけじゃないでしょうね?二つの世界を制圧しておいて、何が『か弱い』よ!」


「あ〜、聞こえない聞こえない〜♪」アルティアはわざと耳をふさぎ、突然鋭い目つきでガイドをにらみつけた。「それに、あたしが何をしようと勝手だろ?止めたかったらギルド全体で戦争でも仕掛けてくればいいさ。…でもさ、今は邪魔すんなよ。これからこの子と大食い勝負するんだから。」そう言うと、豪快に食べ始めた。両手で料理を掴み、次々と口に運ぶ。その勢いと速さは、普段から大食いのイフすら上回るほどだ。


その様子を見てガイドはため息をつき、亜里沙に向かって言った。「気を付けてね。あの人、目を付けられたら終わりよ…。ただ、自分より秀でた者がいない限り、名前すら覚えないだろうけど。」そう言い残すと、ガイドは倒れていた男の遺体を処理し、どこかへ去っていった。


それでも、亜里沙は目の前の状況に釘付けだった。イフとアルティアの大食い勝負に、なぜか興奮してしまい、二人の姿をじっと見つめる。気付けば、周囲の冒険者たちも集まり、大食い大会の決勝戦のような盛り上がりを見せていた。


「イフ、大丈夫?まだいける?」と亜里沙が声をかけると、イフは食べながら平然と言った。「はぁ?全然足りないし、おかわりしたいくらいだね。」

「いいよ、おかわりしても。どうせ私のお金じゃないし!」と笑う亜里沙に対し、アルティアも大笑い。「いいね、どんどん食べな!こっちも負けないぞ!」とさらにペースを上げていく。


二人とも、しばらく食べ続け、ついにおかわりをして二周目に突入した。しかし、その頃になるとアルティアの様子に異変が現れた。顔が青ざめ、ペースが落ちてきたのだ。


「あれ、どうしたんですか?顔が真っ青ですけど?」と亜里沙が尋ねると、アルティアは苦笑いを浮かべる。「い…いや、負けたくはないんだけどな…酔いも回ってきたし、さすがに吐き気が…」


それを見たイフは静かに言った。「全然余裕だけど?」と淡々と食べ進める。アルティアはしばらくイフの食べる姿を見つめ、静かに笑った。「…わかった。この勝負、預ける!」そう言って立ち上がると、トイレへと駆けていった。


「勝ったみたいだね、イフ!」と亜里沙が言うと、イフは静かに親指を立てて答えた。その様子に亜里沙は思わず笑いながら言った。「なんだ、嬉しかったんだ。余裕って言ってたし、そうでもないのかと思ってた。」


しばらくして戻ってきたアルティアは、酒瓶を手に再び飲み干し、「スッキリした〜。また今度続きをやろうぜ!」と豪快に笑った。


「それでさ、この世界のクエストってやってるの?」と尋ねるアルティアに、亜里沙は笑顔で答える。「はい!光を取り戻せればクリアです。」


「光を取り戻す?ボスを倒すんじゃなくて?」アルティアは首をかしげながら問い返す。「それ、なんでわざわざ面倒な方を選ぶんだ?」


「セレナが悪い人じゃなかったし、光を取り戻せたらきっと喜ぶと思って…」と素直に話す亜里沙。


するとイフも言葉を添える。「亜里沙なら、できるよ。」


それを聞いたアルティアは少し考え込み、笑みを浮かべた。「なるほどね。それじゃあ勝負しようじゃないか。あたしはそのセレナを倒しに行く。あんたたちが光を取り戻すまでに、あたしがセレナを倒せたらあたしの勝ちだ。逆に、あんたたちが先に光を取り戻せたらあんたたちの勝ちだな。」


「え?それって同じパーティーで行くってこと?」と亜里沙が尋ねると、アルティアは即答した。「いや、あたしはパーティーは組まない。あくまで別チームだ。どうする?勝負するか?あ!拒否権はないからな!もし拒否したら、この場でぶっ飛ばすけど。」とニヤリと笑う。


呆れながらも、亜里沙は了承し、三人はギルドを出て、城へと向かった。


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