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短編詰め合わせセット

箱庭ダンジョン・セノーテ

作者: 拝詩ルルー

「うっそ!? 今日来れるって言ってたじゃん!」


 親友のカレンからのLIMEで、「ごめん! 今日彼氏と出掛けることになっちゃった!」ってメッセージがきていた。


「せめてもうちょっと早めに連絡くれれば良かったのにぃ〜! お肉いっぱい買っちゃったよぉ……」


 私は缶ビールやお肉を詰め込んだ大きなクーラーボックスの前で、少しだけ途方に暮れた。


 仕方がないからカレンには、「ハルトくんとのことおめでとう! こっちは気にしなくていいよ。楽しんで来てね!」とLIMEを返しておいた。


「はぁ。まぁ、いっか。やっとカレンの片想いが叶ったんだし、お肉はあの子達がいっぱい食べてくれると思うし」


 私は某ブランドのコンパクトミラーを開いた。「大人の女性になるんだ!」と気合を入れて初任給で買ったやつだ。


 ダブルミラーの拡大鏡の方には、私の姿ではなく、花や緑が溢れる楽園のような泉が映し出されていた。



——20××年、世界各地に突如としてダンジョンが現れた。


 ダンジョンは、別世界「ミュートロギア」に繋がってる。

 そこにはモンスターが生息していて、地球では想像上の生き物だったドラゴンや精霊、エルフやドワーフもいる。


 ダンジョンだから、ダンジョンボスもいて、もちろん宝箱も財宝もあって、ダンジョンに潜って一攫千金を狙う「探索者」っていう職業もできた。


 ミュートロギアの入り口は、たいていは地下鉄の入り口や大型商業施設の出入口みたいな、たくさんの人が出入りできる場所に現れる。


 だけど、ごく稀に個人の持ち物に入り口が現れることもある——そう。私、和泉アリサが持っているコンパクトミラーみたいな物にも。


 ダンジョンは普通、発見したらすぐに通報するのがルール。


 でもちょっと変なんだよね。私がこのコンパクトミラーを持たないと、ダンジョンの入り口が現れないんだよね。


 一応、このコンパクトミラーを国に通報したんだけど、「ダンジョンの入り口は無い」って突き返されちゃったんだよね。


 訳が分からなかったけど、私にとっては記念の品だから、取られなくて良かったってホッとしてる。



 私のコンパクトミラーにダンジョンが現れた時は、正直に言ってびっくりした。


 ある日、急に私のコンパクトミラーが光ったから、びっくりしておそるおそる開いてみたら、そこにダンジョンの入り口ができてた。


 おっかなびっくりフライパンと包丁で武装して、気合を入れて中に入ってみたら……


「キエェーーイ! 来るなら来いっ!! …………って、わぁ……すっごく綺麗〜! セノーテみたい!」


 とっても綺麗な場所につながっていた。


 セノーテは、洞窟内にできた泉だ。石灰岩が長年雨水に浸食されてできたもので、綺麗なだけじゃなくて、とっても神秘的だ。


 ダンジョンの中央には、綺麗に澄んだ青色〜翡翠色にきらめく泉があった。

 その泉の周りを、Vチューブのダンジョン配信で観たことがある珍しいダンジョン植物が生えていて、色とりどりの綺麗な花が咲いていた。


——楽園みたいな庭が、そこにはあった。


 怖いモンスターがいたら嫌だったけど、そういったものは出なかったし、今では私が好きなように魔改造……じゃなくて、コーディネートして、お気に入りの庭になっている。


 元々、平日は毎日残業で激務続きの典型的な社畜OLだったから、癒しが欲しくて、ずーっと田舎のスローライフに憧れてた。

 でも、引っ越す当てもお金も勇気もなくて、結局、諦めてたんだ。


 この箱庭みたいなダンジョンを手に入れてからは、週末はほとんどここに入り浸ってる。


 思いっきりガーデニングや家庭菜園をしたり、モフモフ達と戯れたり、こっそり吸って怒られたり、泉で泳いだり、読書をしたりしてのんびり過ごしてる——本っ当に癒される! まさに理想郷!! スローライフ万歳!!!


 しかもここに通い始めてから、会社でも「和泉さん、最近顔色が良くなったわね」って言われるようになったし!


 少しは動いてるんだし、もう少しお腹のお肉の方も……ううん、なんでもない……



「ステータスオープン!」


 ダンジョンに入ると、自分のステータスが見れる「ステータスオープン」という魔法が使えるようになる。


 人によって、スキルとか魔法とか、ダンジョン内限定で使えるようになるみたいなんだけど、私は残念ながら——


「う〜ん……。やっぱり、何にもスキルも魔法も載ってない。いいなぁ〜魔法撃てる人とか、羨ましいなぁ〜」


 私のスキル欄にも魔法欄にも、何も記載は無し。

 ただ一つ書いてあるのは——


「称号欄の『セノーテ翡翠の支配者』って何だろう……? 相変わらずよく分かんないや」


 今日も何も減っても増えてもいない自分のステータスを確認して、あとはただ遊ぶことにした。



 水着に着替えて泉の方へ向かうと、ブンブンッとふさふさの尻尾を振って、真っ白な大型犬がやって来た。


「ポチ、おはよう! 今日もかっこいいね! ゴフッ!」

「ワフッ!」


 ポチは、白くて長い毛並みがかっこいい大型犬だ。

 ワンちゃんらしく忠誠心が強くて、私がダンジョンに入ると、いつも一番最初に私の所にやって来て挨拶をしてくれる。


——そして、毎回歓喜しまくったポチに突撃されて押し倒されるのがお約束だ。


「会えて嬉しいのは分かるけど、もう少し力加減を覚えようか……?」


 私はポチをわしゃわしゃと撫でながら伝えた。


 嬉しいっちゃあ、嬉しいんだけど……人間って、とっても非力……



「あ、タマだ! かわいい〜!」


 大型猫のタマが、私がゆったり読書できるように張ったハンモックの下で、へそ天して豪快に寝ていた。

 タマは、真っ白な体に、光の加減で淡い色のロゼッタ模様が浮き上がるユキヒョウみたいな子だ。


 私が可愛がって顔周りをなでなですると、迷惑そうに薄目を開けてこっちを見てきた。でも、喉をゴロゴロ鳴らしてるから、そこまでは嫌がってないみたい。


 じゃあ、猫吸いを……ってなると、両方の太い前足で突っぱねられて拒否された。でも、ぱふぱふの大きな肉球が当たって、ご褒美になってる——アリガトウゴザイマス!


 カレンには「アリサって、ネーミングセンス無いよね」って言われるけど、どっちも呼びやすくて可愛いよね!?



 私は、ひとしきりタマをモフって満足すると、泉の方に向かった。


 ダンジョンの天井はものすごく高くて、なぜか日の光っぽい明かりが入り込んでる。


 ダンジョンの研究はまだ始まったばかりだし、分かっていないことも多いから、ダンジョンをただ楽しみたいエンジョイ勢の私は、「不思議は不思議のままで」ってことで気にしないようにしてる。


 ザッパーンッ!


 泉の水は泳ぐのに丁度いい水温だ。

 とにかくどこまでも透き通っていて、水底まで綺麗に見通せる。

 泉の中は日の光が差し込んで、キラキラと輝いていて神秘的だ。


 泉には他に誰もいないし、好きなように泳いでいられる。

 ただ、ちょっと底が深い場所があるので注意!

 泳ぐ時は、いつも無理はしないようにしてる。



 気持ち良く泳いでいると、真っ白な巨体が近くを横切った。


 その大きな生き物は私の下に潜り込むと、水面に急上昇してきた。

 私はその生き物と一緒に、水面までザバンッと浮き上がった。


「あははっ! びっくりさせないでよ〜、ドラ男!」

「クルルルル」


 長い首をぐるりと背中にめぐらせて、雪のように白い鱗の大きなドラゴンが私を見ていた。

 甘えるように鼻づらを差し出してくるので、撫でてあげる。


「ピルルルルッ!」

「あ、ピーちゃん! ……なんかいつもと様子が違う?」


 泉の上空で旋回しているのは、孔雀のように華やかな大型の鳥だ。全身真っ白で、とっても神々しい。


 私がピーちゃんの様子に首を捻っていると、


「わっ! ドラ男? 急にどうしたの?」


 ドラ男が、私を乗せて急に泳ぎ始めた。ピーちゃんが飛んで行く方向に向かうようだ。


 ピーちゃんが泉の岸辺に優雅に着陸すると、そこには男の人が倒れていた。


「えっ……!? 誰か倒れてる!?」


 私はペチペチとドラ男の背中を叩いて、岸辺に急いでもらった。



「だ、大丈夫ですか!?」


 私は倒れている人に近寄って、声をかけてみた。


 胸のあたりに視線を向けると、少しだけ上下していて、息はあるみたい。


 服装が人間の探索者っぽくなくて、もしかしたらミュートロギアの人かもしれない。


 さらりとした少し長めの金髪で、ものすごく顔立ちが整ってる。そして、耳の先が尖っていて長い——エルフかな?


……こんな時に不謹慎だけど、かっこいい……! 結構、好みかも……


「ゔっ……」


 倒れてる人が少し呻いた。


「はっ! 大丈夫ですか!?」


 私が覗き込むと、彼は薄らと目を開けた。

 とても綺麗な緑色の瞳だった。


「……水を……」

「水ですね!?」


 私が水を取りに行こうと振り返ると、そこにはポチがいた。


「ヴワフッ!」


 ポチは、アク◯リアスの五百ミリペットボトルを咥えて、ふぁさふぁさと尻尾を振っていた。


「流石、ポチ! ナイス!」


 私はよしよしとポチの頭を撫でて褒めると、ペットボトルを受け取った。


 エルフの人の上半身を助け起こすと、ペットボトルの蓋を開けて、彼の口元に持っていった。


「飲んで!」


 エルフの人は、アク◯リアスを一口飲むと、カッと目を見開いてゴクゴクと飲み始めた。


 一気にペットボトルの半分以上を飲み干すと、自ら身体を起こして、彼は「ふぅ……」と深く息を吐いた。


「……これは、エーテルか何かか?」


 彼がぼんやりと訊いてきた。


「え……ただのアク◯リアスです」

「……? 一気に体力と魔力が回復した。ありがとう。助かった」


 彼のニカッと目尻に皺を寄せて笑った顔がなんだか可愛くて、ドキッと胸が鳴った。


「えっと、あなたは? なぜここに?」

「俺はエルメルだ。探索者をやってる。ここへは、ダンジョンのトラップで飛ばされて来たんだ」

「そうだったんですね。私はアリサっていいます」

「アリサか。よろしく。それで、ここはいったい? ……っ!? アリサ、下がれ。モンスターだ」


 エルメルさんは私を背中に庇うと、剣を構えた。

 急に広い背中に庇われてびっくりしたけど、ドキッともした。


 エルメルさんの視線の先では、ポチとドラ男がきょとんとした表情で、こっちを見つめている。

 

「あっ、大丈夫ですよ! うちの子ですから! さっきのドリンクはこの子が持って来たんですよ」


 私がポチに近づいてなでなですると、ポチは嬉しそうにブンブンッと尻尾を振った。


 そんな私達の様子を見ると、エルメルさんは少し警戒しつつも剣を鞘におさめてくれた。


「アリサはテイマーなのか? しかもこのモンスター達は……」

「このワンちゃんがポチで、ドラゴンがドラ男です。空を飛んでいるのが、ピーちゃんです。それから、私はテイマーではないですよ」


 私がニコニコとうちの子達を紹介すると、エルメルさんは「フェンリルをワンちゃん……それにドラ男……?」と呆気にとられていた。


 その時、私はピンッとひらめいた——


「そうだ! エルメルさんはお腹空いてませんか? 友達が急に来れなくなっちゃたので、ご飯が余ってるんです!」


 一人じゃ食べきれない分量なんだよね!

 それに、みんなで食べた方が美味しいし!


「だが、その食糧はアリサの友人のためのも……」


 その時、ぐーーーっ……とエルメルさんのお腹が盛大に鳴った。


「…………すまない。可能ならいただけるだろうか?」


 エルメルさんが頬を真っ赤にしてそっぽを向きながら、ボソボソと呟いた。


「もちろん、いいですよ!」


 私はニッコリ笑って答えた。


「あと、少し言いにくいんだが、その、アリサの格好が……」


 エルメルさんが、視線を外したまま言った。


「えっ? あっ! キ、キャンプに戻ったら着替えますね!」


 そうだった! 私、泳いだばかりだから、水着だった!

 ミュートロギアの女性は、あんまり肌見せの多い格好はしないんだったっけ。



 ドラ男の背中に乗せてもらって、キャンプのある岸にまで運んでもらった。


「まさか、Sランクのホワイトドラゴンに乗れるなんてな……雌が単独でいるのも珍しい」


 エルメルさんは、ドラゴンに乗ったのは初めてみたいで、なんだか少しはしゃいでいた。


「私のキャンプへようこそ!」


 岸辺から少し離れた広場に、私はいろいろキャンプ道具を持ち込んでいた。


 こっちの世界でもお泊まりできるように、入り口にキャノピー(ひさし)が付いたドーム型のテントを張っていて、可愛いラグも敷いてある。


 テントの近くにはウッドテーブルと、アウトドア用のチェアを二脚置いている。


 その近くの低木には、ハンギングチェーンをかけていて、シェラカップやタンブラーやタオルなんかを吊るしている。


 今日はカレンと一緒にBBQする予定だったから、BBQセットも置いてある。


「いい所だな」


 エルメルさんが、私の方をあまり見ないようにしつつ、キャンプ地をぐるりと見回して呟いた。


「ちょっと着替えてきますね!」


 私はそそくさとテントの中に駆け込むと、急いで着替えをした。


「お待たせしました!」


 今日はダンジョンで過ごす予定だったから、そんなにおしゃれな物じゃなくて、シンプルなTシャツと動きやすいパンツ姿だ。


 もうちょっと気にしとけば良かった……こういう時に限って、誰かに会っちゃうよね。


「その姿も可愛いな」


 お世辞だと分かっていても、エルメルさんにさらりとそんなことを言われて、ボンッと顔が熱くなった。


 うぅっ……イケメンなのが罪すぎる……!


「ごっ、ご飯の準備をしましょう!」


 私は恥ずかしくなってくるりと向きを変えると、テント脇に置いてある大きなクーラーボックスの方に向かった。


「エルメルさん、これを一緒に運んでもらえますか? お肉とかドリンクが入ってるんです」


 私はクーラーボックスの蓋をポンポンッと叩いた。


「ああ、いいよ」


「わっ! 大丈夫ですか!?」


 エルメルさんは、大きなクーラーボックスを軽々と肩に担ぐと、運んでくれた。「ここでいいのかな?」と訊かれたので、私がコクンと頷くと、その場所に下ろしてくれた。


「ありがとうございます! エルメルさんって力持ちですね!」


 私はクーラーボックスの中から、ウッドテーブルの上にどんどんBBQの食材を取り出していった。


 調味料の焼き肉のタレと塩胡椒はもちろん、お肉には鳥せせり、ホルモン、豚カルビ、豚タン、ウィンナーをボンボンッと豪快に置いていく。魚介類はアヒージョ用にエビとアサリを。野菜は定番の冷凍ポテトとエリンギ、とうもろこしだ。さらに、〆用の焼きそばとキャベツともやしも取り出した。


 うちの子達にもうちょっといいお肉を買って食べさせてあげたいんだけど、いかんせん、社畜OLは薄給すぎて……鳥豚メインで、ごめん。


 このクーラーボックスに入れておくと時間が止まるのか、食材が全っ然悪くならないんだよね。だから甘えちゃって、すぐに何でも入れちゃうんだよね。今までやったBBQで余った食材も入ってるし——本当、うちの冷蔵庫よりも優秀!


「……どれだけこの箱に入ってるんだ?」


 エルメルさんが少し笑顔を引きつらせて、訊いてきた。


「ダンジョンにクーラーボックスを持ち込んだら、入れれば入れただけ入るようになったんです。しかも、本来は氷とか冷やす物も必要なんですけど、なぜかそれも要らなくなったんですよ」


 そうなのだ! ダンジョンに地球の物を持ち込んでもスペックは変わらないって聞いてたんだけど、このクーラーボックスは超進化したのだ!


 他にも、永遠に水が出てくる二リットルペットボトルとか、見た目よりも中の空間が百倍広いテントとか、ミュートロギアに私が持ち込んだ物でいくつか超進化を遂げてる物がある。


 エルメルさんはクーラーボックスの中を物珍しそうに覗き込んで、「この箱に空間無限拡張、時間停止、氷魔法……」と絶句していた。


「あっ! そうだ! お野菜も採って来ないと! ちょっと家庭菜園の方に行ってきますね」


 私って段取り悪いな〜と苦笑いしつつ、エルメルさんに告げると、


「それなら一緒に行って手伝うよ」


 彼も腕まくりしてついて来てくれた。



 家庭菜園は、テントの裏手にある。


 三坪ぐらいの小さめの畑だ。

 私は初心者だし、週末しか来れないから、あまり広すぎても管理しきれないし、このぐらいが丁度いい。


 家庭菜園には、タマが持って来てくれた謎の種を蒔いたり、自分でホームセンターから買って来た苗を植えたりしている。だから、ダンジョン野菜と地球の野菜が入り乱れてるんだ。


 ダンジョン野菜は、「ペポル」っていう小さくて皮の柔らかいかぼちゃと、「ピニャ」っていうほうれん草のような葉物野菜、それから「ソルトプラント」っていうアイスプラントみたいな肉厚でしょっぱい味の野菜が生えてる。


 あとは、自分で持ち込んだミニトマトとナスの苗が、ぷっくりした実をいくつもつけてた。


 それから、そこら辺の藪を探せば、ダンジョン特有のハーブも採れたりする……本当に食べても大丈夫かは、図鑑と睨めっこが必要だけどね。


 ダンジョン野菜はとっても活きがいいみたいで、時々勝手にわさわさ動いたり、鳴き声を発したりするけど、「そういう生き物だから」って、自分に言い聞かせて気にしないようにしてる。


「ペポルは丁度食べごろだな。よく鳴いてる。ピニャも美味しそうだ」


 エルメルさんが楽しそうに目を細めて言った。


……やっぱり、ペポルって鳴くよね? むしろ、鳴き声が食べごろのサインなの??


 ペポルは最後の抵抗とばかりに、丸いオレンジ色の実が「ピギーッ!」と小さな悲鳴をあげて、ゴロゴロと転がり回っていた。


「じゃあ、そのペポルとピニャを採っていきましょう。あと、このミニトマトとナスも」


 私は収穫鋏で、食べごろのミニトマトとナスをパチン、パチンッと採って籠に入れていった。

 どれも瑞々しくて、ツヤツヤしてて美味しそうだ。


 そして、鳴かない、叫ばない、動かない地球の野菜に、なんだかホッとしていた。


「……アリサ……」


 急に気色ばんだエルメルさんの声がしたから、そっちの方を振り向くと、エルメルさんとタマが睨み合っていた。


「あ、タマ。ここにいたんだ。この子もうちの子だから大丈夫ですよ」

「ガルル」


 私がそう言うと、タマも「そうだよ」とでも言うように返事をしてくれた。


「……まさか、変異種のキラーベンガルまで。決して人には懐かないはずなのに……」


 エルメルさんは、警戒を解いて額の汗を拭っていた。


「タマはいい子ですよ〜。いつも畑の様子をみてくれるんです」


 タマは私の前では気まぐれなフリをしてるけど、裏では結構マメだ。


 特に家庭菜園はタマのお気に入りみたいで、この畑を耕す時に手伝ってくれたのも、雑草を掘り返して排除してくれてるのも、タマだ。


 あまりにもダンジョン野菜がうるさい時に、教育的指導をして静かにさせてくれるのも、タマだ——そう、とっても賢い良い子なのだ!


「タマもお肉食べる?」

「ガル!」


 タマの太くて長い尻尾が、機嫌良さそうに大きくゆったりと揺れた。


 私たちは採れたての野菜を洗うと、それぞれ食べやすい大きさに切っていった。


 次は火おこしだ。

 BBQセットに火おこし用の古新聞と炭を入れていく。


「何か手伝うよ」

「わっ! あ、ありがとうございます。今、火をつけますね。ピーちゃん、ちょっと来て!」


 私は、急にすぐそばまで近づいて来たエルメルさんにドギマギしながら、ピーちゃんを呼んだ。

 距離感が、日本人とエルフだと違うのかな……?


「ピルルッ!」

「ここに火をつけてもらえる?」

「ピッ!」


 ピーちゃんは、嘴からフッと小さい炎を吐いて、古新聞にだけ火をつけた。

 その後に、真っ白な翼をふぁさっと羽ばたかせて、ふわりと風を送っている。


 炭が少しずつオレンジ色になっていって、パチパチと小さな音がし始めた。


 ピーちゃんは、とっても火おこしが上手だから、BBQの時はいつも火をつけてもらってるんだ。


「……変異種の極楽鳥にこんな……」


 エルメルさんは口元を手で覆って何か呟いていたけど、あまりよく聞こえなかった。


 炭火が安定してきたら、金網の端にスキレットと火が通りにくい野菜を置いていく。


 スキレットでは、アヒージョを作る予定。温まるまでに少し時間がかかるから、先に種を取り除いた鷹の爪とみじん切りのにんにく、オリーブオイルを入れておく。


「エルメルさん、お肉はどれから焼きます? まずはタンやホルモン、カルビなんかがおすすめですよ!」

「あ、うん。じゃあ、それで」


 エルメルさんは珍しそうにウッドテーブルの上のお肉を眺めていた。そうだよね、ミュートロギアには、こういうお肉は無いもんね。


「ピィ!」

「そうだね、ピーちゃんはせせりだよね!」


 私はタン、ホルモン、カルビ、鳥せせりのラップを開けて、トングで金網の上に置いていった。

 お肉からジュウ……という美味しそうな音と湯気が立ち上がり始める。


「エルメルさんはお酒って大丈夫ですか? 今、これしかなくて……」


 私はクーラーボックスから缶ビールを取り出した。キンキンに冷えて、もわりと白く冷えた空気をまとってる。

 元々、カレンと一緒に飲む予定だったから、飲兵衛の私達用にロング缶だ。


「そ、それは、噂のビール!!?」


 エルメルさんが驚愕の表情で、缶ビールを見つめた。


「噂のビール?」

「人間がミュートロギアに持ち込んだ、最も罪深い麦の魔物と呼ばれている……」

「えぇっ!?」


 何それっ!?


「あらゆる酒飲みを虜にし、一度飲んでしまうと今までのエールには戻れないという……」


 エルメルさんが慄きながら、ゴクリと生唾を飲んでいた。


 確かに、ビール会社さんの企業努力って凄いよね。ビールだけでもいろんな種類もあるし。


「……いいのか? 高級品だぞ?」

「えっ、そうなんですか?」

「おそらくそのビール一本で、エールが十杯は飲める」

「えぇ……地球だとそんなに高くないですけど」


 何それ、ビール一本が高すぎない? ミュートロギアでは輸入品だから?


 とにかく、私はビールを一缶、エルメルさんに手渡した。

 エルメルさんの手は少し震えてた。


 プシュ。カシュ。


 二人してビール缶のタブを開ける。


「それじゃあ、「乾杯!」」


 ゴクゴクッという音と、お肉が焼けるジュウジュウという音だけがその場に響いていた。


「「プハーッ!!」」


 こういう所は人間もエルフも一緒だね。

 どちらからともなく、クスクスと笑いが溢れた。


「……これは確かにモンスターだ。もう今までのエールがただの水としか思えなくなる……」


 エルメルさんが、とんでもなく感動していた。あれ? ちょっと涙目になってない?


「あっ! ヤバい! お肉が焦げちゃう!」


 私は慌ててお肉をひっくり返した。

 端っこが少し……わりと焦げてるけど、本体がギリギリセーフだし、BBQって元々こういうのが醍醐味だよね!?


 スキレットのオリーブオイルもかなり温まっていたから、エビとアサリとミニトマトを入れる。お塩もパラリ。


 シェラカップには焼肉のタレを入れておく。


「焼き終わったお肉から自由に取って食べてくださいね。味が薄かったら、このタレを使ってください」


 私はトングと取り皿代わりのシェラカップを、エルメルさんに手渡した。


 私が見本を見せるように、トングで焼けたお肉をシェラカップに取って、箸でタレを付けて食べると、エルメルさんも見よう見まねでお肉を取り始めた。

 お箸は難しそうだったから、代わりにフォークを渡したら、普通に使ってくれた。


「旨いっ! 初めて食べた肉だが、変な癖がなくて食べやすいし、このタレも旨いな!」


 エルメルさんの顔色がパァッと明るくなった。次から次へとお肉を取っては、バクバクと平らげていく。


 やっぱり美味しいものって、みんなを幸せにするよね。見ているこっちまで嬉しくなるよ。


 野菜もアヒージョも丁度いい感じに焼けてきたから、そっちも勧めると、すごく美味しそうに食べてくれた。


「ピィ!」

「あ、せせりだね」


 私がトングでせせりを掴んで、少しフーフーと息をかけて冷ましてあげると、ピーちゃんが器用にトングからせせりを攫って行った。


 ピィーッピュルルル……、と嬉しそうな鳴き声が、上空から聞こえてくる。


「ポチはホルモンで、タマはお肉ならなんでもOK、ドラ男はエビさんだったね」

「ワフッ!」

「ガル!」

「クルル!」


 みんなにフーフーして冷ました物をあげる。ポイッて投げると、上手に口でキャッチするんだよね。なんだか、イルカとかアシカのショーみたいで、ちょっと面白い。


「……アリサは変わった餌のあげ方をするんだな……」


 エルメルさんが、ポカンと私達の様子を眺めていた。


「いつもこんな感じですよ」


 うちの子達にご飯をあげた後は、私もお肉を堪能する——くぅーっ! やっぱ、BBQサイコーッ!!!



「アリサにはもてなしてもらったからな。とっておきを出そう」


 ある程度食べ終わった後、エルメルさんが手持ちのリュックから、真っ黒にツヤがかっている鉄フライパンを取り出した。


「少しもらうよ」とニンニクを一欠片とると、幅広のナイフの腹で潰して、フライパンに入れて、そのまま火にかけた。


 エルメルさんは、リュックから更に、何か大きな葉で包まれた小包を取り出した。

 葉の小包を開くと、霜降りのお肉が入っていた——なんだかとっても高級そうなお肉だ!


「わぁ……何のお肉ですか?」

「これはレインボーバッファローの肉だ。ダンジョンの深層階でしか食べられないんだ」


 エルメルさんがニヤリと笑って、フライパンに霜降り肉を置いた。ジュワッと音がして、ほんのり甘い牛っぽいお肉の焼ける香りがしてきた——音と香りだけでも既に暴力的だ。


 お肉の両面に焼き目がついたら、ミュートロギアでのほうれん草、ピニャを入れてお肉の脂と軽く絡める。味付けは塩胡椒で、とってもシンプルだ。


「はい、できたよ」


 エルメルさんは、ナイフとフォークで、フライパンの上のお肉を切り分けていった。見ているだけでも、お肉がとっても柔らかいのが分かって、スッと滑らかにナイフが入る。


 フォークを借りて、切り分けてもらったお肉を口に運ぶ。


「ふぅぉおぉお、おいしいぃーーーっ!!!」


 もう、本当にそれ以外に何も言えなかった。


 お肉は口の中でとろけて、すっごくジューシー!!

 ピニャもいい感じに肉汁が絡んでて、旨みがしっかりある。

 シンプルな味付けが、却って元の素材の旨みを引き立てていた。


 私が夢中でレインボーバッファローのお肉を食べてると、エルメルさんが目尻に皺を寄せて「喜んでもらえたようで嬉しい」と笑っていた。



「すまないが、今夜はここに泊まらせてもらえないか?」

「いいですよ」


 BBQの後片付けをしていると、エルメルさんが尋ねてきたので、軽くOKした。


 エルメルさんは危ない人ではなさそうだし、いざとなればうちの子達がいるから、特に問題ないと思う。

 それに、困ってる人には親切にしないとね!


 ダンジョン内では時間帯は変わらないって聞いてたんだけど、この箱庭では時間が移り変わる。


 夕陽色に染まり始めたこの庭を、エルメルさんは警戒するように見回していた。


 私は完全に暗くなる前に、アンティーク風のLEDランタンのスイッチを入れた。


 エルメルさんも、焚き火を起こしてくれた。探索者らしく、ものすごく手馴れてた。


 この箱庭に泊まる時は、いつもはテントの方に寝泊まりしてるんだけど、今日はエルメルさんもいるし、柔らかい草地にアウトドア用のマットを敷いて、その上に封筒型の寝袋を敷いた。


「アリサはいつもここで寝泊まりしてるのか?」

「週末だけですよ」

「時間帯が変わるダンジョンのフロアはかなり特殊だ。その中でも特に夜になるフロアは危険性が高い……結界を張ったりはしないのか?」


 エルメルさんが、焚き火の近くに座り込んだ。いつでも抜けるように、すぐそばに剣を置いている。


「う〜ん……残念ですけど、私、魔法もスキルも持ってないんです。私が持っているのは、謎の称号一つだけですよ」

「称号?」

「はい!『セノーテ翡翠の支配者』っていうんです。今だに何なのか分からなくて……」


 私がそう言うと、エルメルさんは急に血相を変えて、私の両肩をガシッと掴んだ。


「アリサ、それは他の者には絶対に言わない方がいい……まぁ、ここに来れる者もかなり限られているとは思うが……」


 えっ、まさか、誰かに知られるとヤバい系の称号!?

 知られたら、殺されちゃったりとかする……?


 私はともかく無言でコクコクと相槌を打った。


 それを見てエルメルさんは安心してくれたようで、私の肩を掴んでいる手の力を緩めた。


「私には結界は張れないですけど、ここは魔物が出ないですし、今まで危険なことも無かったですよ?」

「……魔物が出ない……」


 エルメルさんは疑わしい目で、チラチラとうちの子達を見ていた。


 私の両隣には、ポチとタマが寝そべっていた。足元にはピーちゃんが丸くなって羽を休めているし、私達から少し離れた所には、大きな体のドラ男がペタンと腹這いになっている。


「この子達もいるし、大丈夫ですよ?」


 私が怖くないですよアピールするために両隣のポチタマをポンポンと叩いた。


 エルメルさんは溜め息混じりに「確かにそいつらがいるなら、誰も手出しはできないな」と肩から力を抜いていた。


「そんなことより、ここは星空がとっても綺麗なんですよ!」


 そうなのだ! 空気が澄んでる山の上で見るような満点の星空が見られるんだ!

 月が二つある所は地球と違うけど、これはこれでとっても綺麗だ。


 私が空を見上げるようにゴロンと寝そべると、エルメルさんも少し躊躇いながら、横になった。


 夜空は満点の星空だった。三日月と下弦の月が浮かんでいて、天の川のような白く輝く星がたくさん集まった空の道も、天空を横切っていた。


「ここは本当に楽園か……」


 エルメルさんが感動して、ぽつりと呟いていた。



 次の日の朝、エルメルさんは荷造りをしていた。

 そして、「世話になった。もう行かなければ」と言われた。


 たった一日しか彼とは一緒に過ごしていないのに、なんだかすごく離れ難く感じた。


 エルメルさんもどうやら同じ気持ちだったみたい——


「その……またアリサに会えたりするだろうか?」

「私はよくここに来ますよ」

「……そうか」


 エルメルさんは、切なそうに眉根を寄せて、なんだか寂しそうだった。


「クルル」


 その時、横からズイッとドラ男が首を突っ込んできた。物理的に。


「何? ドラ男?」

「これは……!」

「何これ、イヤリング? 落とし物?」

「クルル」


 ドラ男はイヤリングの一つを私の手に、もう一つをエルメルさんの手に載せた。

 深い緑色が美しい翡翠がついたイヤリングだ。


「これで、またここに来れる」


 エルメルさんが、信じられない物を見るように、目を丸くして言った。


「えっ? これって、そういう物なんですか??」


 とにかくまた会えそうなので、私は胸の中で、なぜかホッと安堵の息を吐いていた。



 エルメルさんが帰って行った時は、とても不思議な感じだった。


 普段はドアの一つも現れたことがないこの箱庭に、ぽっかりと立派な扉が浮かんでいた。

 ゴテゴテしい飾りが付いた金属製の門で、なんだか「魔王城」って感じの物々しい両開きの扉だった。


 エルメルさんと別れの握手をする。

 エルメルさんの手は、探索者らしくゴツゴツとまめが多くて、それでいて陽だまりみたいに温かかった。


「アリサのおかげで助かった。あのままだったら、俺はのたれ死んでいたかもしれない。ありがとう。それに、ご飯も世話になった。とても美味しかったよ」

「エルメルさんこそ、とっておきのお肉をありがとうございます! 今まで食べたお肉の中で一番美味しかったです! それに、私はエルメルさんと過ごせて、とても楽しかったですよ」

「ああ、俺もだ。また会えたら嬉しい」


 エルメルさんがニカッと笑いかけてきたので、私もニコニコと笑顔で返した。


 エルメルさんは「さようなら。また来るよ」と言って、その扉をくぐって行った。


 扉を閉めた瞬間に、そこには綺麗サッパリ何も無くなっていた。


 私はしばらく、ボーッと扉があった所を眺めていた。

 なんだか今までのことが、夢みたいに感じられたんだ。


 でも、握手した手のぬくもりだけがまだ温かくて、「夢じゃなかったんだな」って思えた。


 なんだろう。エルメルさんとは、また会いたいな……

 珍しく、胸がキュンッと切なく痛んだ。



***



「あいつ、三股もかけてたのよ! 本っ当に、信じらんない!!」


 カレンは缶ビールをゴクゴクと飲むと、プハーッと豪快に息を吐いた。

 今日はBBQのやり直しだ。


「こうなったら、さっさと次の人を見つけて、幸せになってやるぅうーーーっ!!!」


 カレンは、いつもの箱庭で力強い雄叫びをあげた。


 ピーちゃんがその声にびっくりして、バサバサッと飛び立っていった。


「あたしにも、この魅惑のFカップがあれば……」


 カレンは据わった目で、ジロジロと私の胸を見てきた。


 でも、カレンは凛々しい感じの美人だ。モデルさんみたいに背が高くてスラリとしてて、背が低くてぽやんとしてる私とのセットは、いつも周りからは凸凹コンビって言われてる。


 カレンなら、すぐにいい人が見つかりそうなのに。


「むしろ胸にばっかり視線がいっちゃって、『私の価値って胸だけなの?』って逆にこっちが興醒めしちゃうよ? 肩は凝るし、他の所もお肉が付きやすいし」


 私は脇腹のお肉を摘んだ……ゔぅっ、ちょっと成長してない……?

 成長期はもうとっくに過ぎてるはずだよ? 自粛して?


「むぅ……贅沢すぎる悩みよね」


 カレンはむすっと頬を膨らませてそう言うと、やけ食いとばかりに、バクバクとカルビを食べ始めた。



 食後のデザートに焼きりんごを食べていた時、カレンがびっくりして叫んだ。


「へぇ〜、最難関ダンジョン・ウルティマが遂に踏破されたんですって!」


 カレンは最近、ダンジョン系のニュースをチェックするようになった。

 私がダンジョンに入るようになってからだ。


 私はただダンジョンを楽しみたいだけだから、そういったことにはあまり興味が無かったけど、「情報は大事よ!」ってカレンにピシャリと言われてしまった。


 ぽやぽやしてる私と違って、カレンって本当にしっかり者なんだよね。


「ダンジョン・ウルティマ、別名『翡翠のセノーテ』の九十九階層には楽園があって、真っ白な四獣に守られた癒しの女神様がいるんですって! 夢があるわね〜!」


 カレンがざっとニュース記事をまとめて教えてくれた。


「すごいね! ミュートロギアって、本当におとぎ話の国みたいだよね!」

「ねぇ、見て。この人が単独踏破したんだって。エルフのSランク探索者エルメル・エバーグリーン。結構イケメンじゃない? アリサの好みのタイプでしょ?」

「え〜、どんな人? …………えっ!!?」


 私は、カレンのスマホを覗き込んで、びっくりしすぎて固まってしまった——あのエルメルさんだ!


 うそ、ウソ、嘘っ……!?

 もしかして、ダンジョン・ウルティマの女神様って……!!?





最後までお読みいただきありがとうございました!


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