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2.外食って、たまには良いよね

「何?」

「いや、相変わらず美味そうに食べるなと」

「その通りだから、しょうがないよね。それより早く食べたら?こういうのは熱いうちがベストよ」


そろそろウザったいなと感じて目線をあげると。


「まさかの猫舌?」


 一生懸命さは伝わるが、なかなか口に入れられないのか息ばかりを吹きかけている。


「何故もんじゃをチョイスしたのよ」

「旨いから。食べるのは時間かかるけど」


フーフーと子供の様な仕草だが、本人は真面目なようだ。


「前、失礼しますね」


 お姉さんが、キビキビとした動きで次に焼いてくれたのはイカである。銀色の半ドーム型の蓋がぱかりと開けられるとバターと醤油の香りが一気に押し寄せてくる。


「なんで、こう鉄板で作られる食べ物は何もかも食欲をそそられるんだろう」


家で焼くのとは全く違う。


「あ、まだ」

「ほんと美味いよな。アチッ」


 やっと、もんじゃを食べ終えた修がイカを口に放り込もうとしたので絶対に熱いから止めようとしたのに。


「うまっ」


 だが、詰めが甘そうに見えて、実はおさえる箇所は確実にこなしているという事を私は知っている。


「だがなぁ、全部がアツアツだわ」


……いや、やっぱり残念な奴かもしれない。




✻〜✻〜✻



「頼まなかったわりに腹いっぱい」

「ゆっくり食べるしね。全部美味しかったな」


 食べるペースを少しは合わせようとしたのよ。でも流石に遅すぎるし出来立てを食べたいので結局早々に諦めた。


 ちなみに私は、待っている間に珈琲とデザートまで満喫したので大満足である。


 しかし、あの味のバランスの良さよ。締めのデザートである鉄板で焼くクレープがミルク味なんだけどコンデンスミルクと何かが入っていた。薄めに焼かれた生地は、外はカリッと内側はもっちりで、私の好みにドンピシャだった。


「いや、今日もチョイスが最高だった。ありがとう」


 彼氏なし、友達少なめ一人暮らしの私にとって、美味しい食事は活力になる。


「そりゃあ、よかった」

「しかし、いつも外さないよね?」


 学生時代からの付き合いとはいえ共通点は、実家のマンションが棟違いというだけで細々と繋がって現在に至る。


「しかも月末なんて忙しいんじゃない?」


 営業職で日により土曜日も仕事があると聞いていた。分野が違うので分からないが、ノルマとかあるよね。


「凛を相手にしての店選びは自信あるな。仕事はまぁ、終わりはないし」


 働き慣れてきている言い方である。上手く割り切っているようなと言えばよいのか。


「──私、意外と知らないわ」


 両手で足りないくらい、一緒にご飯を食べているのに、あそこまで猫舌だったなんて今日知ったし。


 並んで歩く彼を見るためにチラリと見上げると目が合った。


「関心がでてきた?」

「何に?」

「……忘れて下さい」


 ニヤニヤした笑いは一瞬で、苦い薬でも飲んだような顔になった。しかも、道のりがどうとかブツブツと呟いている。


やっぱり疲れているのね。


「ねぇ、明日は休み?まだ時間平気ならコンビニの珈琲飲みながら駅まで遠回りしない?」


 確か、この近くに遊歩道があり夜景が綺麗だったはず。


「流石に明日は休みいれた。腹が苦しいから歩くのもいいな」

「で、珈琲はアイスでしょ?」

「いや、真夏以外はあったかいの」

「まさかの熱いのかい!」


うーん、人とは難しい。


 ま、美味しいご飯を食べて気を遣わない相手と過ごす休みは悪くないのは確かだ。







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