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光と共に  作者: 藤咲梗花
序章 その日々が、光だった。
15/24

4話 王族(3)

 



「そう。古代英語こだいえいご大昔おおむかしに使われてた英語のことだよ」


()()()の人はオースティン英語です」


 そう、魔界まかいしろの人が使う英語のことを答えれば、とおくんはオースティン? とこぼしてまゆをひそめる。



「オースティンって、あのオースティン? 〈種族戦しゅぞくせん〉が起きた原因げんいん魔王まおうオースティン?」


 あたしはその言葉がちずに、かえす。



「〈()()()()()()〉の原因って、人間の()()()()()()ローを()()()()? したのが原因じゃないんですか……?」


 あたしは誘惑ゆうわくっていう言葉の意味いみもよくわからずに口にした。ただ母さんから聞いた伝承でんしょうの言葉を、子供だったあたしはそのまま話したんだ。


 とおくんを見つめているあたしは、聖くんがあたしの言葉にまゆせたのには気づかない。



「そっちの昔噺むかしばなしはそうなんだ」


 そう反応はんのうする透くんが、魔族まぞくらしいね。と思っていたことなんて、あたしは知りもしなかった。



「……あの」


 いままでだまって話を聞いていたみちくんが声をらす。満くんに視線しせんが集まった。



「〈しゅぞくせん〉って、あの〈しゅぞくせん〉ですか?」


 満くんの言葉に、透くんが説明せつめいはじめる。



「そう。聖族せいぞく魔族まぞく、人間を中心にあらゆる種族しゅぞくあらそった大昔のたたかいのことだよ。――そのすえに、人間は争いがイヤになってこの世界せかいにやって来た。そうわれてるね」


 あたしはその言葉に目を見開みひらいた。


()()()()がイヤになって……? 魔族とあの聖族をててげたんじゃないんですか……?」


 疑問ぎもんげかければ、透くんは答える。



「まあ見方みかたによっちゃ逃げたとも言えるね。……〈ひかり御子みこ〉の話は知ってる?」


 透くんが話せば、その話はやめろ。とでも言うように、透琉とおる。と聖くんが透くんの名をんだ。あたしは聞きおぼえのない単語たんごに、光のみこ……? とつぶやく。



「アメリアには関係かんけいないんだから、はなしたっていいでしょ聖」


 透くんが聖くんに顔を向けてそう口にして。



「……」


 聖くんは何も言わない。さらに止めない聖くんの様子を見て、透くんは話を続ける。



「〈光の御子みこ〉。聖族せいぞくと人間の間に生まれたハイブリット、奇跡きせきの子。――本来ほんらい、2つの種族しゅぞくの間に生まれても、その力は半減はんげんするだけ。純血じゅんけつじゃないからね。それぞれの血脈けつみゃくうすくなることで、力、つまり魔法まほうよわくなるんだよ。だから同種族どうしゅぞく純血じゅんけつおもんじる」


 でも、〈光の御子〉はちがった。その力は絶大ぜつだいだった。そう透くんは語った。



「そんなむずかしいはなし、してもわかんないと思うけど。それに何が言いたいの」


 おさないあたしが話を理解りかいできずにいると、聖くんがそう言った。すると、透くんがあたしにたずねる。



「ごめん。アメリアはいくつ?」


「えっと、5さいです」


 そう言えば、透くんはあやまる。



「ごめんアメリア。てっきり満瑠みちると同い年位どしぐらいかと思ってた。、高いんだね」


「そうですか……?」


 自分では身長しんちょうが高いことなんてわからなかったから、あたしはそう反応する。



「まあ何が言いたいかというと、〈光の御子〉には魔族まぞくほろぼす力があったんだよ」


 あたしはその言葉に耳をうたがった。魔族を滅ぼす力、とてもしんじられる話じゃなかったんだ。透くんはかまわず続ける。



「でもそれをしなかった。そのわり、2度(にど)あらそいが起きないよう、聖界せいかい魔界まかいへだて、人間をこの世界せかい移住いじゅうさせたんだよ」


 だから、人間はげたわけじゃない。平和へいわ解決出来かいけつできる方法を実行じっこうしただけなんだよ。そう透くんは話した。



「まあね、信じられないと思うけど、これがこっちの言いつたえだよ」


 そう口にする透くん。あたしは透くんの話に一驚いっきょうしてしまって。信じられない……そう思った。


「な、なんで……そんなウソがあるんですか」


「ウソ?」


 透くんがあたしの言葉にそうき返す。



「だって、それが本当なら、母上が教えてくれた話がウソになっちゃいます!」


 あたしは感情かんじょうが高ぶって、そうきそうになりながら口にした。自分の国の言い伝えがウソなんて、そんなことはおさなかったあたしが受け入れられるわけもなくて。母さんに教わった話が正しくないだなんて考えたくもなかったんだ。


 そんなあたしに満くんは近づいてハンカチをし出す。あたしは、……すみません。と口にしてハンカチを受け取った。目元めもとく。



事実じじつは1つ。でも真実しんじつほしの数ほどあるものだよ」


 透くんはあたしを見ながら口をひらくとそう話す。



「……どういうことですか……?」


 あたしは透くんにそう言う。



 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 そして新年明けまして、おめでとうございますっ。 今年もどうぞよろしくお願いします。 今回の話しは過去の戦について触れていますね。 どちらが正しいのか、それは今後…
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