表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光と共に  作者: 藤咲梗花
序章 その日々が、光だった。
12/24

3話 神に愛された男(5)

 



 おれはレンガせい凹凸おうとつになった、狭間胸壁はざまきょうへきとつの部分を足場あしばにしていきおいよくび上がった。


 おれは柚葉ゆずはのいる狭間胸壁はざまきょうへき屋上おくじょう内側うちがわへと着地ちゃくちする。背中せなかげて前のめりになった姿勢しせいから上体じょうたいを元にもどすと、柚葉ゆずはに声をかけた。



「おまえこんなトコにいたのか」


 柚葉はかえることもせず、動くこともない。そんな様子ようすに、あいかわらずの柚葉だとおれは思いながら続ける。


 かすかな風にかれて、おれと柚葉のかみれた。



きよがおまえを探してたけど」


「……それで」


 そのあいかわらずの反応はんのううすさに、おれは切りんだ話題わだいを出した。



「おまえのことだから、全部ぜんぶ気づいててこんなトコにいるんだろ?」


 切りんだ話題わだいを出しても、柚葉の様子ようすわらない。しろ屋上おくじょうから見える国の景色けしきや、青々(あおあお)として所々(ところどころ)くものある空を視界しかいうつしているだけだ。



「――なにを」


 そう反応はんのうするその言葉ことば淡々(たんたん)としていて、ひっそりとした様子で。



香花こうかさんのことだよ。魔力まりょくが同じなんじゃないわけ?」


「……――生物せいぶつっていうのは転生てんせいすればべつの自分になる。当然とうぜん魔力まりょくわる」


 ――なら、魔力まりょくが同じっていうのがどういうことかわかる? と柚葉は口にする。



「おれらの場合ばあいちぎりじゃないわけ」


「じゃあアイツは?」


宿命しゅくめいあかしか?」


「それもそう。でもちがう」


 ――アレはのろい。だれがなんと言おうと。柚葉はしずかにそう話す。


 柚葉がどんなおもいでその言葉ことばを口にしたのか、おれには想像そうぞうしかできない。



「たとえ、聖花せいかさんが、香花こうかさんが否定ひていしたとしても――ってわけ?」


 柚葉は何も言わない。


 おれはんだ。


 普段ふだん、柚葉は何にも興味きょうみがなさそうなヤツだ。それでも、あの人のことになると少なからず感情かんじょうあらわれる気がしたからだった。



大切たいせつなら、メンドがらずにみちびいてやれよ。こまった時はたすけてやれ。古今東西ここんとうざい魔道まどう鬼才きさいならな」


「……」


 おれは予想通よそうどおり反応のない柚葉にかまうことなく、狭間胸壁はざまきょうへきえて。そのまま、下へ落下らっかしていく。


 下へ下へと落下していけば真下ましたにあるバルコニーがちかづいてきて。おれはそこに着地ちゃくちした。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 徐々に登場人物達が増えて物語が進行していくことによって、謎が解明していく展開にドキドキしながら次回の話を待とうと思っています。 [一言] 感想の件、場違いだとは思いま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ