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占い師

「昨日、マジやばかったねー! タコみたいな怪物が暴れててさー!」

「えー、マジー? 私、めっちゃ見てみたかったなー。それと、なんかマジシャンみたいな人がものすごい速さで廊下を走ってるのを見たよー!」

 バーニング・プリンスだな、それは。間違いない。彼は本当に変わった人だったな。

「へー! 私、何か黄色い魔法少女みたいなコスプレをした人見たけど、やっぱりここで映画撮影とかしてたんじゃない?」


 魔法少女オカリ。彼女は一体何者なんだろうか。

 昨日、ミルフィーに聞いてみたが、妖精はミルフィー以外にもいるようである。

 妖精の誰かが人間と契約し、魔法少女を誕生させたのだろうとのことであった。

 昨日のあの時間、学校に現れたことから考えるに、彼女はこの学校の生徒である可能性が高い。


 ふと窓の外を見ると、グラウンドには警察官の姿があった。

 魔物が現れたなんて警察は信じないだろうが、学校はどうやって説明したのだろうか。

 授業が終わり、ホームルームの時間となった。ホームルームは担任の熊谷が明日の留意事項などを言って終わりとなる。


「えー、先日怪物が現れたという噂が流れておりますが、悪質な悪戯であると考えられております。皆さん、くれぐれも登下校の際はご注意ください。また、遅刻はしないようお願いします」


 担任の熊谷は私に視線を向けた気がして、私は反射的に奴から目を逸らす。

 学校は今の所、魔物の襲撃は悪質な悪戯と考えているようである。だが、この先何度も学校に魔物が出現すれば流石に学校も魔物の事実を認めざるを得ないだろう。

 ホームルームも終わり、私は部活に行くことにした。そういえば、昨日の魔法少女調べも魔物の襲撃により、なあなあとなってしまっていた。


「失礼しまーす!」

 部室内に入ると、既に由奈さん達が来ていた。三人でテーブルを囲み、テーブルの上にはノートが置かれていた。

「お疲れ様、咲さん。昨日は大丈夫でした?」

「はい! あの後、すぐに逃げました」

「そうですか。無事で安心しました。みんなで昨日の活動結果について話していたんですけど咲さんにも参加してもらっていいでしょうか?」

「はい! 勿論です!」

 部員全員で昨日の調査結果について、報告しあうことにした。

「私と鎌田君は昨日、図書館で色々と魔物に関する本を探してみました。そこで見つけたのがこの本です」

 由奈さんは鞄から本を取り出した。それは見たこともないオカルト雑誌であった。


 雑誌をテーブルに置き、ページを捲る。そこには『岩手県で謎の魔法陣出現!?』と大きな見出しが掲載されていた。


「由奈さん、これって……」

「一年前に刊行された雑誌の記事です。この記事によると盛岡市内の某所に魔法陣らしきものが描かれていたとのことです。さらに周辺の住民によると二足歩行で歩く狼らしきものを見かけたなんて噂もあるみたいです」

 二足歩行であるく狼か。多分、それ魔物だな。

「その魔法陣があったっていう場所はどこか分かるんですか?」

「残念あがらそこまでは……頼りになるのはこの写真だけですね」

 掲載されている記事の写真はカラーではないため、場所を特定するのは困難であると感じた。

「けどさ、部長。この記事と魔法少女が何か関係あるっていうのかい?」

「魁斗君。私はこの二足歩行で歩く狼というのは魔物ではないかと考えています。魔法陣を探す価値はあると思います。この場所を突き止めることができれば良いんですけど……」

「由奈さん。僕はこの記事を書いた人に聞いてみるのが一番だと思います。雑誌の会社に電話すれば教えてくれるかも……」

「鎌田君。実は私も同じことを考えて昨日電話してみたんです。しかし、この雑誌の会社には繋がりませんでした。どうやら既に廃業してしまっていたみたいで……」

 廃業って……そんなところの雑誌の記事、信じて大丈夫なのだろうか。

「それじゃ、どうするんですか? 場所を知る術がない。完全に手詰まりですよね?」

「はい。なので、ここは一つ。占い師の力を借りたいと思います。咲さん、一緒についてきて貰えますか?」

「う、占い師!?」


 由奈さんはこの記事を超当たるという噂の占い師に見てもらおうという考えのようであった。

 私と由奈さんは盛岡市の繁華街である大通りへと足を運び、雑居ビル内へと入る。

 ちなみに魁斗さんと鎌田君には学校で魔法少女や魔物の聞き込み調査を行ってもらっている。


「知りませんでした。ここに占い屋があったんですね。由奈さんもよく来るんですか?」

「いえ、確か去年一度見てもらったくらいです」

「そうだったんですか! 何を占ってもらったんですか?」

「それは、うふふふ……秘密です」


 何だ、その不敵な笑みは……何を占ったのか凄い気になるじゃないか。

 黒いカーテンを潜り、仕切りの中に入ると中には黒い烏帽子を被った一人の老人が椅子に座り眠っていた。テーブルの上には水晶と占いの本が置かれていた。


「すみませーん。吉田さん、起きてくださーい」

 由奈さんが占い師の肩を揺すって話しかけると、その占い師はゆっくりと目を開けた。

「やぁ、いらっしゃい。お嬢さんたち、今日は何のことについて占いますか?」

「この雑誌の場所、占いで分かったりしますか?」

 由奈さんは雑誌の写真を占い師に見せた。占い師は写真を凝視すると、ため息を漏らした。

「うーん……お嬢さん達、占い師を探偵か何かと勘違いしてないか?」

 ですよねぇ。私も正直、占い師に聞くことじゃなくないって思ったけど由奈さんが余りにも自信たっぷりなもんだからツッコメずにいた。

「吉田さんは超凄腕の占い師だと聞いています。どうか私に力を貸してくれないでしょうか?」

 由奈さんが上目遣いでお願いすると、吉田さんは照れ臭そうに顔を逸らした。

「そ、そう言われちゃほっとけねぇな。よし、ここは占い師歴十年のこの俺に任せておきな!」

「はい、ありがとうございます!」

 おお、さすが由奈さん。人心掌握に長けている。吉田さんは水晶に手を翳した。

 これで本当に雑誌の場所が分かるのだろうか。

「雑誌の場所、雑誌の場所……よし分かった!」

 これで分かったのかよ、すごいな。吉田さんは何やら消費したのか額から大量の汗を流していた。

「この雑誌の場所はな、舞潟のブックオン跡地のところだと出た」


 舞潟とは高速インターチェンジが隣接しており、大型商業施設サオンを初めとする店々が連なっている盛岡市有数の商業地である。

 舞潟のブックオンは確か既に潰れてしまっているはずだ。


「吉田さん、助かりました! 本当にありがとうございます」

「おう! 一体、何でそんなことを知りたがっているのかは知らないが頑張れよ!」

 由奈さんは料金の千円(通常価格は三千円であるが女子高生ということで割引してもらった。やったね!)を支払い、雑居ビルを後にした。

「やりましたね、由奈さん! それで、どうします? 今日、このまま舞潟のブックオン跡地に行ってみますか?」

「いえ、今日のところは一度学校に戻りましょう。明日、みんなでブックオン跡地に行ってみましょうか」

「分かりました」


 学校に戻る前、魁斗さんと鎌田君に学校に戻ることを連絡した。部室で集合し、それぞれの活動結果について話し合うことにした。

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