不規則
不規則な生活なんてするもんじゃない。
その日、俺はそう思った。
冬休みあけの始業式。
俺はものすごい眠かった。
まぁ、そりゃそうだと思う。今まで休み中、遅寝遅起きという不規則な生活をおくっていた俺。
いきなり早起きする学校生活が始まって、眠いにきまってる。
そんな眠い中、始まった始業式。
俺たちは体育館に集められ、クラスごとに座らせられている。
さっきから始まった校長の話は俺にとってはいい子守歌だ。
しかし、今、寝るわけにはいかない。
俺の横で担任が見ているから。
「お前まさか寝る訳じゃあるまいな」という風に俺を睨んでるから。
俺は担任の顔を見上げ「いやいや、先生。まさか」という風に半笑いで首を振る。
しかし、俺の瞼は正直言って限界だ。
さっきから瞼を閉じるように脳が命令をしてくる。
「早く始業式よ終われ!」そう念じるが俺の願いは届かず、校長はまだ話を続けている。
やれ生徒のこれからの過ごし方や今日の俺たちの様子や……。
そんな事はどうでもいい! とにかく早く終わってくれ! その子守歌を封じてくれ!
俺が心で叫んでいると、校長の話がやっと終わった。
ホッと安心する俺。
けれど俺の戦いは、まだ終わらない。
次は、生活指導の……。
NO! そうだよ……、これで始業式が終わるわけないじゃないか、ハハハハッ。
あ、やべえ、何か幻覚見えてきた。
俺の周りには今、天使と悪魔という幻覚が見えている。
へ~、こんなのって本当に見えるんだ~。
他人事の様ににそう思っていると悪魔と天使が話しかけてきた。
悪【もう眠いんだろ~寝ちゃえよ~】
ああ、そうだな。もう寝ちゃうか。
天[ダメだよ、そんなの。先生が見てるんだよ。怒られるよ]
ああ、確かに。俺の担任ねちっこいしな~、後からグチグチ言われそう。
悪【そんなの関係ねぇよ。後の苦痛より今の快楽だよ】
ああ、そうだな。今寝たらすげ~気持ちいいんだろうな~。
天[ダメだよ! 君が寝たら横に座ってる深沢さんにも迷惑がかかるんだよ。君、深沢さん好きだろ。その深沢さんによだれをつけることになるよ!]
ああ、確かに。俺、深沢さん、好きだしな。よだれとかつけたら確実に嫌われるな。
悪【そんなの関係ねえよ。深沢さんだってそんなお前をみて「あれ、吉田君、よだれたらして寝てる。かわいい」って思ってくれるよ。】
天[そんな訳ないだろ! さっきからいい加減なことばっか言うなよ!]
悪【うるせぇ! お前さっきからうるさいんだよ!】
フッ、おいおい、天使と悪魔がけんかしだしたよ。なんちゅうベタな展開。
ああ、何かもうどうでもよくなってきた。
そんな時、先生の「全員、起立」という言葉が聞こえてきた。
俺はフラフラと立ち上がる。
そして「礼」の声と共に……前に倒れた。
始業式が終わる前に俺は保健室に直行。保健室でぐっすり眠ることできた。
皆さん、不規則な生活は控えよう。