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トンズラ 一択です

部屋の中には男が背を向け立っている。


男は司教服を着て頭にはミトラを被っている。

ーーファンタジー系RPGの僧侶のようだ。


『なんだ、あの頭は……』


ミトラの両側から禍々しい二本の黒いツノが天に向かって伸びている。


『悪魔神官なのか……』


そして右手には抜き身の黒剣を握っている。


男は徐に黒剣を離し、横へと少し歩いた。


男が移動したことで女性の顔が視界に入った。


『あれが助けを求めていた声の主か』


女性は年齢二十歳前後で容姿が整っている。

しかし、顔には精気も無く瞳も虚ろだ。


男はさらに横に動き立ち位置を変えた。


『あの野郎なんてことしやがったんだ……』


女性は全裸で椅子に座らされ、胸にはあの黒剣が深々と突き刺さっていた。


ーー今、殺されたばかりだろう。


『許さねぇぇ』


拳を強く握り締め男を睨む。


司祭風の男は食い入るように死んだ女性を見ている。


『なんで死人をあれだけ観察してるんだ?これから何か起こるのか、それとも観察するのが趣味なのか……』


気になって俺も観察する。


突然、黒剣の刀身に血管のような細い線が何本も浮かび上がる。

そして刀身が赤く発光した。


急に死者の身体がビクンと跳ね、身体がどんどん乾涸びる。


一瞬にして美しい死体は、皮と骨だけの醜いモノへと変わった。


ーーまるでホラー映画を見ているようだ。


『ちょー気持ちわりぃぃ……』


映画には無い生々しさに胃から何か逆流してくる。


「うえぇぇぇぇぇぇ」と酸っぱいモノが出た。


気配を感じた司祭風の男は振り向きこちらを凝視する。


「そこにいるのは誰だ‼︎」


男の顔は灰褐色の髑髏で、目は赤々と光っている。


『ヤバイ!やはりアイツ魔獣モンスターじゃないか。あんなヤツとは戦いたく無い。

ここはどうにか誤魔化さないと……』


『ピコンッ‼︎』と頭上に電球が閃いた!


「ワンワン」


渾身の犬の鳴き真似をする。

広い部屋に静寂が走る。


「ここには犬なんぞおらんわ!隠れてないでさっささと出てこい‼︎」


不死者アンデットが高々と吠えた。


続けて「出てきた方が利口だぞ!」と殺気の篭った言葉を吐き、ゆっくりと歩みよってくる。


俺は「はぁぁぁ〜〜」と一つ大きくため息をついて広間の中に足を踏み入れた。


俺は注意深く部屋を確認する。


部屋は謁見の間のように広く、天井も高い。

奥の何段も高いところには豪華な椅子一つ置かれている。まるで玉座のようだ。

その下には椅子が五脚置かれていて、その内の一つに殺された女性が座っている。


「お前は誰だ……」


「……」


不気味な赤い視線の不死者アンデットの問いに俺は無言を貫く。

そして女性に刺さったままの黒剣を見た。


「お前その女の男か?それともあのダレンスレイヴが目的か⁉︎」


それにも無言を貫く。


『ラッキー!あれがやはり魔剣か』


漸く目的の物は見つかった。


「その落ち着きよう女じゃないな魔剣が目的か……」


脳味噌空っぽのくせになかなか鋭いな。


『アンタ正解!』と危うく顔に出そうになった。





不死者アンデットが悠長に語りだした。

「最近魔剣を狙う者が増えていてな、しかし、このドルクルビン様が全て返り討ちにしてやったさ。お前はどうかな?」


「がっはっはっはっはぁ」


不死者は天井に顔を向け高笑い。



俺はそんな安い挑発に乗る気は更々無い。


プランは簡単だ。

魔剣を女性から抜いて、すぐここから離脱する。


『あんな猟奇的な不死者アンデットと戦闘などしてられん!』


あの姿を見るに敵はスケルトンだろう。

ゲームだと鈍重で頑丈だけが取り柄の敵だ。


ーー間違いなく逃げ切れる。


『完璧なプランだ……』


俺の速さはあの男性騎士達から逃げ切ったことで既に実証済みだ。


『勝ったぞ!これで依頼達成だぁぁぁぁ』


『はっはっはっはっはっはっは』


悪代官のような笑みを浮かべ、俺も心内で高笑いした。

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